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ドル円相場大波乱へ…トランプの24時間口先介入に警戒せよ!金融政策で巨大地殻変動「暗号資産『激推し』のワケ」

 米大統領選挙は共和党ドナルド・トランプ元大統領の勝利で終わった。もともと拮抗しているいわれた民主党カマラ・ハリス現副大統領との闘いであったが、ふたを開けてみればトランプの圧勝であった。さて、トランプは一体どんなアメリカを目指すのだろうか。それに伴い日本は何をすることになるのだろうか。我々の生活はどう変化していくのか。アメリカの政治情勢に詳しい国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が全3回にわたって解説していく。第3回は外交政策についてだーー。

目次

トランプの口先介入は24時間常に警戒

 トランプ政権の金融政策の方向性は極めて不透明である。そこで、まずは常識的な範囲での話をしていこう。

 トランプ政権が実施する関税政策・不法移民対策は再びインフレを加速させ、エネルギー規制廃止や政府支出削減はインフレ抑制に繋がる。そして、実際にそれらの各政策がどの程度までインフレに影響するかは現状ではまだ分からない。そのため、インフレがこのまま収束するとも安易に言えず、FRBは現在の再調整プロセスを一時中断し、金利の引き下げに慎重になってもおかしくない。

 しかし、トランプ氏は同時に貿易赤字の是正を訴えており、金融引き締めの継続によってドル高が維持されることを望ましいとは思っていないはずだ。そのため、トランプ氏が貿易赤字に関して言及すると、為替はドル安に向かって激しく反応するとともに、政治的な金利の引き下げ圧力が働くことにもなる。トランプ氏の口先介入は常に警戒されるため、金融市場は24時間365日のフル稼働が要求されることになる。

米国の金融政策には更に大きな地殻変動

 FRBのパウエル議長は、新たなトランプ政権下でも「中央銀行の独立性が低下するリスクを懸念していない」と述べており、金融政策の決定に関しては「政治から完全に切り離すべきだ」とも主張している。しかし、FRBが政治から何の影響も受けずに独立した存在であるということは、FRBが金融政策に関して専制的に振る舞うに等しいものであり、その在り方に疑問がつけられていることも事実だ。実際、FRBは近年インフレ見通しについて外してきた経緯があり、共和党保守派の一部からはFRBの独立性や恣意性について問題視されている。財務長官に指名されたベッセント氏は、次のFRB議長を早期指名することで金融政策の見通しに影響を与えることを示唆しており、FRBの独立性を実質的に弱める動きが実施される可能性がある。

 しかし、ここまでは通常の金融政策に関する既存の議論の範疇内のことだ。今後、トランプ政権及びその先の共和党政権まで見据えると、米国の金融政策には更に大きな地殻変動が起き始めている。

 それは暗号資産を巡る新政権の動向だ。トランプ氏は今年7月に連邦政府が持つ約21万BTCを売却せず、国家戦略備蓄とすることを明言している。また、暗号資産に敵対的な証券取引委員会のゲイリー・ゲンスラー委員長を政権発足日に解任し、暗号資産の推進派であるポール・アトキンス氏を指名すると発表している。さらに、ホワイトハウスに暗号資産担当者を設置するという力の入れぶりだ。

トランプ氏が暗号資産のスタンスを180度転換

 ビットコイン準備金はシンシア・ルミス上院議員によって今年既に法案として提案されたものであり、フロリダ州は州政府として準備金を持つ検討に入るなど具体的な動きを見せ始めている。トランプ政権の実務を支える共和党保守派のシンクタンクが作ったプロジェクト2025の金融政策の部分では貨幣発行自由化論に実質的に言及する箇所が存在している。(もちろん、直ぐに実現するものではなく、FRBの金融政策の恣意性に制限をかけるほうが当面のメインの政策だとは思うが。)

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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