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S&P500の2倍リターン!チャットGPTが選んだ株式ファンド「銘柄名を出すのを渋るチャットGPTに銘柄を吐かせてみた」

本稿で紹介している個別銘柄:NVIDIA (NVDA)、Tesla (TSLA)、Pfizer (PFE)、Vertex Pharmaceuticals (VRTX)、First Solar (FSLR)、Enphase Energy (ENPH)、Procter & Gamble (PG)、Coca-Cola (KO)、Palantir Technologies (PLTR)、Rivian Automotive (RIVN)、ソフトバンクグループ (9984)、ソニーグループ (6758)、任天堂 (7974)、キーエンス (6861)、三井物産(8031)

 生成AIが登場して久しい。着実にわれわれの生活に定着してきているのだが、登場した当時の「驚き」みたいのはなんだか薄れてきているような気がする。当時経済誌などがこぞって生成AI特集を組んだが、最近はそういった盛り上がりもない。しかし、それでは生成AIは更なる進化を続けている。では成長した生成AIは未来の経済状況をどう見通すのか。どんな銘柄を推すのか。そんなことを直接的なプロンプトで聴くとどこか個別銘柄名を挙げるのを躊躇する生成AIだが、作家で経済誌プレジデントの元編集長・小倉健一氏が無理矢理回答させてみた。どんな銘柄をピックするのか。

目次

S&P500を大きく上回るリターン

 例えば、ChatGPTが選んだ株式で構成される「ChatGPTファンド」のパフォーマンスだ。このファンドは2023年3月6日に設立され、現在38銘柄で構成されている。設立時から2024年10月22日までの期間で、このファンドは42.49%のリターンを記録している。同じ期間におけるイギリスの人気投資信託10本の平均リターンは22.67%であり、ChatGPTファンドは約20ポイント上回っている。

 さらに、同期間のS&P500指数のリターンは約20%であり、ChatGPTファンドはこれを大きく上回る成績を収めている。このファンドは、設立後の85週間、全408取引日中404日、つまり99%の期間で人気投資信託をリードしている。銘柄選定には、負債比率の低さ、持続的な成長、競合に対する優位性といった基準が使用された。選定された銘柄には、マイクロソフトやアマゾン、ジョンソン&ジョンソン、テスラなどが含まれる。これらは全て均等な比率でポートフォリオに組み込まれている。

 ChatGPTファンドと比較対象となった10本のファンドは、イギリス国内で最も人気のある投資信託である。これには、FundsmithやVanguard LifeStrategyシリーズなどが含まれ、信頼性の高い基準として機能している。これにより、ChatGPTが生成したポートフォリオの性能が市場全体とどの程度一致しているか、あるいは差異があるかを明確に示すことができる。

ベンチマークを大きく上回る!株式ポートフォリオの作成能力

 ChatGPTを投資に活用するための実践例として、香港大学ビジネススクールの研究もある。この研究では、ChatGPTが投資アドバイザリーとして機能する可能性を検証している。特に、ニュースや政策発表を分析し、株式のポートフォリオを作成する能力に焦点を当てた結果、ChatGPTが従来のテキスト分析を超える成果を挙げた。

 研究では、アメリカのWall Street Journalの記事や中国政府の政策発表を使用し、ChatGPTに株式推奨を行わせた。その結果、特に政策関連ニュースに基づくポートフォリオで月次3%のアルファを達成した。これは市場のベンチマークを大きく上回る成績である。ファインチューニングによって、ChatGPTはニュースの内容をより深く理解し、推奨精度を向上させた。政治関連ニュースやエネルギー政策のような特定のテーマでは、特に高い成果を示した。

 投資家もこの研究から学ぶべきことが多い。まず、ChatGPTのような生成AIをニュース分析や株式推奨に活用することで、投資判断の幅が広がる。次に、専門データを用いてモデルを最適化すれば、より正確で効果的な投資判断が可能になる。例えば、特定の政策に関連する企業をピックアップし、タイミングよく投資する戦略が考えられる。この方法を実践すれば、個人投資家でも市場を上回るリターンを狙えるはずである。

 現時点でのChatGPTを投資に活用する際の鍵は、直接銘柄を聞くのではなく、銘柄に影響を与えるもの(この論文では「ニュース」)をChatGPTに分析させることである。このアプローチのほうが効率的かつ効果的だと言える。冒頭で紹介したファンドも同様に、あくまで人間が与えた指標に基づいてChatGPTがポートフォリオを作成するという仕組みだった。しかし、今後はこの指標を与えるという人間の役割さえも、ChatGPTが担えるようになる可能性がある。果たしてそれが現実となるのはいつなのか。技術の進化とともに、その日は思ったより早く訪れるのかもしれない。

 そこで今回、実際に、チャットGPTにどんな銘柄に投資をしたらいいのかを聞いてみた(12月19日に実施)。

ーー来年上がる株を教えて

(そうお願いすると、チャットGPTは個別の銘柄を出さず二以下のような回答を出した)

「違う、そうじゃないんだ」答えをはぐらかすChatGPT

1、成長産業の選定

成長産業を特定することは有望銘柄の予測に役立ちます。

AI・テクノロジー関連: AIやクラウドコンピューティング、IoT、バイオテクノロジー関連企業は引き続き注目される可能性があります​​。

再生可能エネルギー: グリーンエネルギー政策の推進により、再生可能エネルギー関連企業が引き続き成長する見込みです。

2、財務データの分析…(略)

3、 トレンドに基づく取引…(略)

(投資に必要な視点をダラダラと提供しているだけで、これでは銘柄がわからない。銘柄を出すのを渋っているのか。そこで次のような質問をした)

いいから具体的な銘柄を教えろって

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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