初任給30万円超え相次ぐ…就職氷河期世代「オッサンはもう不要なのか」あまりに報われない人「老後資金の大事な収入源すら失いかねない」

新卒の初任給を引き上げる企業が相次いでいる。人口減少社会の到来を背景とする人材獲得競争は熾烈で、大手企業を中心に新卒社員の初任給を30万円台にアップさせる動きが加速しているのだ。近年、高水準にある賃上げも含めれば若者にとっては歓迎すべき流れと言える。一方、「悲劇の世代」といわれる就職氷河期世代は恩恵をなんら得ることなく、2040年代から苦悩の老後を迎える。経済アナリストの佐藤健太氏は「『世代間格差』が激しく、40代後半から50代前半のサラリーマンは『もう、やっていられないよ』というのが本音だろう」と見る。その悲惨すぎるワケとは――。
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オッサンはもう不要なのか
オッサンはもう不要なのか。このような嘆きが「就職氷河期世代」からは聞こえてきそうだ。1971~74年生まれの団塊ジュニア世代に続く彼らは、「就職氷河期に遭遇」「給与が上がらない」「退職金も低下」という三重苦を嫌というほど味わってきた。2040年代には第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアが高齢者となり、就職氷河期世代もシニアの仲間入りをする。
団塊ジュニア世代の前までは高度経済成長、あるいはバブル経済の恩恵を何らかつかんできた。経済成長とともに月給も上昇し、退職金をガッポリもらいながら年金とともにシニアライフを満喫することが可能だったと言える。だが、団塊ジュニア世代や就職氷河期世代はバブル崩壊に伴い人件費削減の流れが生じた最悪のタイミングで社会人となったのだ。
1990年代から2000年代は「就職氷河期」といわれ、特に1974~83年生まれの「就職氷河期世代」は新卒就業率(大卒)が69.7%と平年よりも10%ポイント以上も低かった。正規雇用比率を見ても、それ以前の世代に比べて30歳前後(男性)で約10%も低いという“最も悲惨な世代”だ。
筆者の周りにいる就職氷河期世代は、大学を卒業しても思うように就職先が見つからず、今や死語になったであろう「就職浪人」の末、やむなく非正規雇用の道を歩んだ人も珍しくはない。学歴で区別され、圧迫面接で「キミの代わりはいくらでもいるんだ」などと嫌みをいわれながら、やっとの思いで内定を勝ち取った人々も「給与が上がらない」「バブル入社組が上に詰まっていて出世できない」「退職金制度がまた改悪された」と悲惨な待遇を嘆いてきた。
最近は「パーカー着るな」とまで言われる
親ガチャならぬ、世代ガチャという言葉が脳裏に浮かびながらも懸命に日本社会を支えてきたヒーロー、ヒロインと言える。にもかかわらず、最近は「パーカーを着るな」「若い世代を理解しろ」などと突き放されることも少なくない。転職するにしてもシニアの再就職は難度が上がり、流行りのAI(人工知能)などの活用に手を焼くケースもみられている。