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石破総理に聞いた「ムダ遣いを止めずに増税や赤字国債を優先する理由」減税は現実無視か

 令和7年(2025年)1月8日、NHK「首相動静」の表記によれば、<16:29 ネットメディア「みんかぶマガジン」のインタビュー(~17:02)>に、石破茂首相へのインタビューを行った。インタビューは、SNS規制、地方創生、減税、経済政策など国政の主要課題について行われた。なお、掲載にあたって読みやすさや話題のまとまりを重視して、順序を入れ替えた部分がある。今回は「実質賃金」「103万円の壁」「歳出削減」について。(聞き手は、鈴木聖也みんかぶ編集長、小倉健一)全5回の第3回。

目次

物価上昇に賃金上昇が追い付いていない現状

  前政権である岸田政権では、実質賃金が24カ月連続でマイナスとなり、比較可能な1991年以降で戦後最長のワースト記録を樹立した。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、物価変動を加味した実質賃金は、2023年3月に前年同月比2.5%減少した。名目賃金は伸びているが、物価上昇がその効果を相殺している状況が続いたのだ。

 岸田政権を引き継いだ石破政権でも実質賃金の低下が続いている。2024年11月の実質賃金は前年同月比0.3%減少し、4カ月連続でマイナスとなった。名目賃金は平均30万5832円で、前年比3.0%増と35カ月連続のプラスを記録したが、物価の上昇に追いついていない。所定内給与の伸びは32年ぶりの高水準である2.7%増となったが、購買力の低下を反映する実質賃金のマイナス傾向は止まらなかった。防衛増税や子育て支援金、社会保険料のアップなど、国民負担が続々と増える中で、政府は有効な手立てを欠いたままだ。

「103万円の壁」はどうなるのか

――社会保険料や社会保障についてお伺いしたい。現在、社会保険料や国民負担が増え続けている状況がある。一方で、これに対する国民の不満や不安の声も多く聞かれるように思う。石破政権として、この課題にどのように対応していくのか。また、国民民主党が提言している103万円の壁について、どのように考えているのか。

石破茂総理大臣

 103万円の壁について、現時点で、与党としては123万円まで引き上げを表明している。しかし、「これでは話にならない」と言われていて「178万円を目指す」ことになっている。この問題については、これから議会で各政党が話し合い、一致点を見出していく必要がある。

 だが、控除を上げることで税収が減少するのは避けられない。そのため、その減少分をどのように補填するかという課題がある。減税は嬉しいことだが、それに伴う財源不足を解決しなければならない。この議論を通じて最適解を見つけるのが議会の役割だ。

 財源の問題は避けて通れない。次の世代に負担を押し付けるような借金をして済ませるわけにはいかない。これは物価上昇の問題と似た構図がある。世論調査を見ても、国民が政府に最も求めているのは物価上昇への対応だ。物価上昇は低所得者層への負担が大きい。そのため、燃料支援や低所得者への補助などを行っていく。しかし、本質的な解決策は、物価上昇を上回る賃金上昇を実現することである。

 昭和40年代には物価が年20%以上上昇する「狂乱物価」の時代があった。田中角栄元総理の時代だ。これは大変な物価上昇であったが、その時代は賃金も同時に上昇したため、生活水準が改善した部分もあった。現在も物価上昇に対応するためには、賃金がしっかりと上昇する仕組みを整えることが重要だと考える。

デジタル・AIの活用で社会保障を最適化する 

――社会保険料や税金、国民負担の増加に対してはどのように取り組むのか。

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