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米ウ罵倒会見の真実「共和党議員の事前助言を完全無視したゼレンスキー」米国と納税者に敬意がない!…戦争は一触即発へ、唯一残された解決策

(c) AdobeStock

 2月28日に実施されたゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会見は世界に衝撃を与えた。アメリカとウクライナの2国間関係は決定的なダメージを受けたとみられているが、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「まだウクライナにも関係改善のチャンスはある」とみる。どういうことかーー。みんかぶプレミアム特集「資本主義の終わり」第5回。

目次

ゼレンスキー・トランプ・バンスの衝撃会見

 ゼレンスキー大統領とトランプ大統領・バンス副大統領の喧嘩会見は世界に衝撃を与える事態となった。そして、予定されていた会見後の協議も見送られることになり、怒り心頭のトランプ大統領によってウクライナへの軍事支援を一時停止された。この驚くべき事態は一体何故起こってしまったのか。トランプ大統領・バンス大統領は激怒したのか、そして今後どうなってしまうのか、注目される展開となっている。

 筆者はゼレンスキー大統領が黒のシャツのスタイルで現れた時点で、「あー、これはやってしまったな」と感じた。バイデン政権は非常にリベラルであるため、会談相手の服装を明確に指摘することはない。民主党は内心はともかく表面上は自由な服装を許容するスタイルだ。しかし、共和党の保守派はそのようなヒッピー的な感覚を許すことはない。フォーマルな場ではフォーマルな服装をすることを求める人々は共和党保守派である。つまり、常識を重視する政党だということだ。

 そのため、外国指導者であったとしても、フォーマルな服装で面談することは礼節として最低限必要なこととなる。ゼレンスキー大統領は戦時であることを表現したかったのだろうが、それを右派のジャーナリストからも突っ込まれる隙を見せたことは認識が甘かったと言えよう。

米Facebook社員のようなリベラルな服装は米保守派からしたら認められるものではない

 共和党保守派の年次総会であるCPACでは参加者(少なくとも展示会場でブースを出す人々)はスーツが基本である。そして、飲み物は会場備え付けのコーヒーだ。しかし、何年か前のCPACに参加した際、Facebook(現在のメタ社)がブースを出していたのだが、ちょっとイケてる感じのテトラポット型ブースで、カジュアルな私服のスタッフが、身体に良さそうなお茶を提供していた。リベラルな雰囲気の同社のブースが会場の中で異常に浮いていたのは明らかだった。ゼレンスキー大統領の服装は当時のFacebookの感覚と似たようなものであり、共和党の大統領と困難な交渉を行う際に着衣するようなものではなかった。バンス副大統領に、その言動も含めて「米国と納税者に敬意がない」と評されても仕方がない非常識な服装であったと言えよう。

 イーロン・マスク氏も閣議で同様にラフな格好で出席しているが、それはトランプ大統領の権威を背景とした行為であり、皆が本心では快くは思っていなくても面従腹背していると言ったところだろう。

ゼレンスキーの態度は最悪…話し合いの準備が出来ていないと判断されても当然だった

 その上で、ゼレンスキー大統領の態度は最悪であり、ウクライナに親和的な共和党のリンゼー・グラム上院議員による助言を無視したものだった。グラム上院議員はゼレンスキーに対して、「まずは鉱物資源と武器供与に関する話を進めること」「その後、戦争の終わりについて議論すること」「会見の場では礼儀正しい態度を取ること」という助言を行ったが、ゼレンスキー大統領がそれを全く無視したことは相当ショックであったようだ。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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