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対トランプ政権交渉の切り札がもう一つあった…なぜ?トランプ大統領のおかげで日本でも「消費税減税」の絶好のチャンス到来だ!

 米国のドナルド・トランプ大統領は3月6日「アメリカは日本を防衛しなければならないが、日本は我々を守る義務はない」と日米安保の片務性に不満を表した。「日本はアメリカに基地を提供する義務を負っている。これは他のどの国も負っていないもので、一方的にアメリカが日本を守り、日本は一方的に守ってもらっているという、そういう関係だけではない」と反論した。また日本メディアもトランプを批判する言説を展開した。早稲田大学招聘研究員で国際政治アナリストの渡瀬裕也哉氏は、日本におけるトランプ報道の問題点を解説するーー。全3回連載の第2回。

目次

対トランプ政権交渉の切り札がもう一つ

 トランプ政権が相互関税導入に向けた準備を進めている。トランプ大統領及び同政権幹部が日本の関税や非関税障壁について言及する同時に、日本に対して様々な要求事項を突き付けている。

 石破首相が約束したエネルギー資源の輸入やアラスカ開発を真剣に進めることによって、トランプ政権からは一定の評価を得ることはできるだろうが、日本政府には対トランプ政権交渉の切り札がもう一つ残っている。

 それは「消費税減税」である。トランプ政権はVAT(付加価値税)を非関税障壁と見做しており、日本の消費税に関してもそのターゲットになるだろう。VATが非関税障壁となるか否かは議論の余地があるが、日本側としては米側のロジックを利用して減税の大義名分とすることが望ましい。

 1990年代の日米構造協議の際、米国は日本に対して貿易赤字の是正を求め、日本国内における大規模な公共事業や所得税減税を行う内需拡大に繋がった。小渕内閣は9兆円超の所得税減税を行う形で大減税を実行し、当時サラリーマンだった人々はボーナスが1回分増えたような感覚に陥ったことだろう。

国内マーケットを活性化することは極めて妥当な政策

 一方、2000年に53%労働人口は2025年現在では40%程度にまで減少しており、高齢者人口が増加していることから、内需拡大を引き起こすためには所得税だけでなく消費税の減税が重要となる。

 もちろん、消費税減税は外国に強制されて実行するものではない。しかし、現在の日本経済・社会に鑑み、消費税減税は極めて妥当な政策だ。

 そもそもトランプ政権が相互関税を導入することで、日本が米国市場にアクセスするためにも様々なハードルが設けられることは避けがたい。たとえ日本政府の対米交渉が首尾良く進んだとしても、最低限の何らかの関税措置は行われるものと推測される。また、米国が実施している貿易政策は世界各国にも影響を与え始めることは避けがたい。やがて世界的に保護主義的な動きが政治的に波及していく可能性も否定できない。そのため、消費税減税によって国内マーケットを活性化することは極めて妥当な政策であり、世界情勢の見通しを考えるなら常識的な政策である。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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