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トランプ主張「日本のお米関税700%」デタラメ原因は農水省が2013年まで「お米の関税は778%」虚偽を言っていたから

(c) AdobeStock

​​ インフレの波が生活の隅々にまで及ぶ中、食卓に欠かせない「コメ」も例外ではない。価格高騰が続き、消費者の負担は増す一方だが、その裏には単なる需給の問題では語れない、日本の農政の深い闇がある。なかでも象徴的なのが、数百パーセントとも称されたコメ関税──その数字は、果たして現実を反映していたのだろうか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が、農政に潜む欺瞞を徹底的に問う。

目次

ホワイトハウス報道官が日本の市場障壁を強く非難

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は、日本の貿易慣行、特に農産物に対する関税について、繰り返し厳しい姿勢を示してきた。その象徴的な例が、2025年3月11日、ホワイトハウスのレビット報道官が記者会見で日本のコメ関税を名指しで批判した一件である。レビット報道官は、各国の関税率を示す資料を手に、「日本がコメに課している関税は700%だ」と断じ、「トランプ大統領は相互主義を信じている。彼が求めているのは公正でバランスのとれた貿易慣行だ」と述べ、日本の市場障壁を強く非難した。

 この「700%」という数字は、日本のコメ関税の実態とは大きくかけ離れている。日本はミニマムアクセスとして年間約77万トンの米を無関税で輸入しており、その最大の供給国はアメリカである(2023年度実績で34万トン超)。この枠外の輸入には1キロあたり341円の従量税が課される。農林水産省は過去、WTO交渉において特定の低い国際価格を基準に「778%相当」と説明した経緯があるが、それはあくまで限定的な状況下での試算に過ぎない。

日本のコメ関税の仕組みは複雑怪奇

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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