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中国による「台湾と尖閣諸島の同時侵攻」の可能性がきわめて低い理由…ジャーナリスト峯村健司「台湾有事は私の読み通り動いている」

(c) AdobeStock

 数年前から、着実に忍び寄る台湾有事への警鐘を鳴らし続けてきた元朝日新聞編集委員でキヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司氏。そんな峯村氏は「台湾有事は私の描いたシナリオ通り進みつつある」と話す。峯村氏が描いたシナリオや、日本の取るべき道についてうかがった。みんかぶプレミアム特集「危機の時代を生き抜く」第8回。

目次

描いたシナリオ通りに動いている「台湾有事」

 【中国軍の東部戦区と南部戦区は、台湾周辺を含む東シナ海一帯で特別重要軍事演習を合同で実施すると発表した。演習実施地域として、東シナ海から台湾海峡、そしてバシー海峡に至る計十四カ所で実弾射撃訓練を実施する予定で、期間は二月二十日から十四日間。

 あわせて、福建省海事局は微信(ウィーチャット)の公式アカウントを通じて、二月二十日から台湾海峡を通過する船舶に対して「海上臨検」を実施することを明らかにした】

 これは私が2024年2月19日に出版した「台湾有事と日本の危機」(PHP新書)の中で記した一節です。当然、執筆はもっと前ということになります。では現実世界では何が起きたのか。同年2月19日、中国海警局は台湾の観光船に対して海上臨検を行いました。一部では「峯村が本を売るために習近平氏にお願いしたのではないか」といった噂さえ生まれたほどのタイミングでした。

 これは事実ではなく、偶然の一致です。ただこのような噂が流れるくらい、事態は私の読み通りに進んでいるということです。

 私が主任研究員を務めるキヤノングローバル戦略研究所は2022年7月、「ポスト・ウクライナ戦争後の東アジア国際秩序」と名付けた研究会を立ち上げました。そこでとりわけ議論の焦点となったのは、やはり台湾有事です。一年かけて、研究会では台湾有事のシナリオと、日本・自衛隊が抱える課題を洗い出しました。

 シナリオでは、いくつかの段階を経て、中国による武力行使が始まることを描いています。これは極めて蓋然性の高いシミュレーションとなっています。

日本では台湾有事を防げない

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この記事の著者
峯村健司

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。1974年、長野県生まれ。朝日新聞入社後、北京・ワシントンで計9年間特派員を務める。ハーバード大フェアバンクセンター中国研究所客員研究員、朝日新聞編集委員を経て現職。2011年、優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田賞を受賞。著書に『十三億分の一の男』(小学館)、『潜入中国』(朝日新聞)など、監訳書に『中国「軍事強国」への夢』(劉明福著、文春新書)がある。

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