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自民党が新たな連立政権を作る際の最悪シナリオ「どうしても下野したくない」憲政の常道を守らない自民党が最も連立を組みたい意外すぎる政党

 参院選で与党が大敗を喫した。自民、公明両党の獲得議席数は計47議席で、非改選を合わせても、参院全体の過半数(125議席)に届かなかった。

 どうしても下野したくない自民党が、新たな連立政権の枠組みを作る可能性も高まってきた。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏にそのシナリオについて聞くーー。

みんかぶプレミアム連載「渡瀬裕哉の常識革命」

目次

どうしても下野したくない…憲政の常道を守る歴史観もない今の自民党

 与党が衆議院・参議院で過半数割れしたことで、政局展望が流動的な状況となっている。しかし、幾つかの軸を立てることによって、参議院議員選挙後の政局シナリオを分析することは可能だ。

 第一の軸は「自民党は下野したくない」ということだ。自民党の国会議員は2009年に旧民主党に敗れた際、霞が関や業界団体が水が引くように離れていったことを覚えている。権力を一度手放せば、それがもう一度自らの手に戻ってくる保証はどこにも存在していない。自民党にとって最も容易に過半数を取り戻す方法は、政権運営をそのまま野党に丸投げすることだ。その後に大混乱することは誰でも予測でき、自民党はその阿鼻叫喚を尻目に政権をゆっくり取り戻したらいい。

 しかし、政局に100%はないのだ。今の自民党はそもそも権力と利権を手放す勇気どころか、石破首相を選挙前に変える勇気すらなかった。したがって、自民党が下野する道を選ぶことは考えにくい。現在の自民党は歴史的教養に欠けるテクノクラート的な学歴エリートも多く、敗者の責任として憲政の常道を守る歴史観も持ち合わせてはいないだろう。

自民党の連立相手はどのように決まるのか

 第二の軸は「連立相手は選挙の都合で決まる」ということだ。権力の亡者たる政治家にとって自らの政治生命がかかる選挙の都合は全てに優先する。

 したがって、連立相手の選択基準としては「選挙区調整が楽であること」が求められる。つまり、「衆議院・参議院でお互いの候補者が競合しないor競合していても勝敗は明白」である相手が連立相手として魅力的である。そのほうが連立時の国会議員のエゴの調整が少ないからだ。

 そのため、組む相手の議員数は必要最低限の議席しか持ち合わせていない相手が望ましい。なおかつ、それが自民党内の政治闘争に役立つ相手なら尚更だ。

次の首相の決まり方の力学…実はこういう人が総理になりやすい

 第三の軸は、「今後3年間は国政選挙をやらなくて良い」ということだ。衆議院の解散をしなければ、今後3年間は国政選挙がない。

 仮に自民党が何らかの形で衆参で過半数を形成する連立に成功した場合、自民党には衆議院解散するインセンティブは何もない。自分たちが更に大敗する可能性がある衆議院議員選挙を進んで行う政治的な自殺志願者はいない(とは言っても石破首相で参議院議員選挙に挑んだという事実もあるが・・・)。

 したがって、次の内閣総理大臣は場繋ぎ内閣となる可能性が高く、わざわざ選挙に強い首相候補を据える必要はない。むしろ、当たり障りがない人物を選ぶ方が後に別党と連立を組みなおすことになった場合でも都合が良い。一見すると選挙に強そうな首相候補が本当に選挙に強いかは約2年後の統一地方選挙で見極めれば良いだけである。

 以上の3点から考えた場合、自民党は「地味で目立たない堅実な首相候補を選び、連立候補を選挙の都合が良い順で検討し、なるべく3年間は国政選挙を行わない」という方針を選ぶ可能性が高い。もちろん、これ以外の選択を取る可能性もあるが、それは非合理な選択肢であり、政治混乱の末、自民党の強制的な下野の引き金になるだろう。

え、意外…連立を組む政党の筆頭候補はこの党だ!

 では、連立相手の筆頭候補はどの政党になるのだろうか。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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