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「事実上の言論制限」紀伊国屋ポスト削除の大問題!NHK党元秘書が抗議の市議に疑問「著者と内容を批判して公開の場で議論を深めるべき」

(c) AdobeStock

 紀伊國屋書店の本町店(大阪市)が同店の公式SNSで石神賢介著『おどろきの「クルド人問題」』を“おすすめ”し、炎上した。きっかけは「ヘイト本」だと埼玉県鶴ヶ島市の福島恵美市議(無所属)らが抗議したことだ。福島氏は産経新聞との書面のやりとりで、「クルド人をことさらに危険視・問題視させる当該書籍は差別を扇動する」と同書を批判した。紀伊国屋書店本町店はすでに騒動となったSNS投稿は削除しているが、そのことに対しても福島氏は「謝罪の言葉はありましたが、典型的な『ご不快構文』でした」と対応方法を疑問視した。しかし、NHK党議員の元秘書として「表現の自由」問題について取り組んできたライターの村上ゆかりさんは「著者の表現を迂回的に封じることにつながりかねない」と批判する。村上氏が詳しく解説していくーー。

目次

「ヘイト本を宣伝しないで欲しいです」

 紀伊国屋書店が大阪市の本町店公式X(旧ツイッター)で新刊を紹介したところ、「ヘイト本だ」との批判を受け、投稿を削除して謝罪する事態が起きた。この出来事は一つの書店炎上事案にとどまらず、日本社会における言論の自由と歴史の教訓の軽視を浮き彫りにしたものであると筆者は考える。

 今回批判を行ったのは埼玉県鶴ヶ島市の福島恵美市議(無所属)である。紀伊国屋書店が紹介したのは石神賢介著『おどろきの「クルド人問題」』(新潮新書)であった。本町店は8月29日に同書を「おすすめの新書」として紹介し、宣伝文では「埼玉県川口市に住んで見えてきた『多文化共生』という理想と現実のおどろくべきギャップ」と説明した。

 この投稿に対し、福島市議は8月31日に自身のXアカウントで次のように述べた。

「書店としてさまざまな本を置くのは100歩譲って認めるとして、せめてヘイト本を宣伝しないで欲しいです」

「今からでも宣伝をやめ、ヘイト本は『ヘイト本研究棚』でも作ってそこに収めてください」

 この発言はすぐに拡散され、多くの賛否を呼んだ。市議の主張は「販売の禁止ではなく宣伝の制限」であるとされるが、宣伝の制限を行うということは、読者の接触機会を奪う効果を持つということにつながる恐れも十分にある。

 福島市議は、著者本人や編集部への抗議は行わず、出版社や販売者を批判の対象とした。産経新聞の取材に対して「著者には抗議をしていません。執筆は自由です」と述べた一方で、「出版社や販売者には社会的責任がある」と強調した。

市議は読者を過度に受動的な存在と見なしている

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