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2026年、日本は韓国に負ける…株高の裏で進む「市場改革戦争」の行方「なぜ俺たちの株は伸びない?」怒れる1400万人が政治を動かす

(c) AdobeStock

 株価は、国の変化をもっとも早く映し出す。いま東アジアの市場では、日本と韓国がそろって高値圏にある。しかし、その上昇が何を意味するのか、どこから生まれたのかについては、評価が分かれている。改革が実を結んだ結果なのか、それとも別の力が押し上げているだけなのか。表面的な指数の動きだけでは、答えは見えてこない。とりわけ韓国市場をめぐっては、「コリア・ディスカウント」について問いが繰り返されてきた。近年の変化は、単なる企業業績や産業構造の話にとどまらない。政治、世論、制度、そして市場参加者の意識が絡み合い、資本市場そのものの性格を変えつつある。一方で日本も、株価上昇と引き換えに、これまで以上に厳しい説明責任を突きつけられている。日韓市場を分ける本当の争点はどこにあるのか。日経新聞編集委員・小平龍四郎氏が、その構造を読み解くーー。

目次

「コリア・ディスカウント」は終わったのか?市場を動かす“政治と世論”

 韓国総合株価指数(KOSPI)が年初来で6割を超える上昇ーー。この数字だけを見ると、「コリア・ディスカウント」は終わったように見える。だが、株価の上昇は“結果”であって、“原因”ではない。原因はもっと厄介で、もっと人間くさい。政治、世論、財閥、そしてアクティビストと個人投資家が入り乱れる「市場を舞台にした権力闘争」だ。

 ここで日本が危ないのは、「韓国の株高=半導体だけ」と結論を急ぎ、改革競争の本質を見誤りかねない点にある。半導体が火種なのは事実だとしても、火がついた場所が問題だ。韓国では市場改革が“政治の言葉”になり、“有権者の欲望”になり、ついに“法律”の領域にまで入ってきた。いったんそこまで行くと、改革は簡単には引き返せない。勢いがつく。

 11月、OECDがタイ・バンコクで開いた会議で、延世大学客員教授で韓国コーポレートガバナンス・フォーラム(KCGF)会長のイ・ナムウ氏が「変化が始まりつつある」と語った瞬間、聴衆が「おっ」と反応したのは、その言葉が希望ではなく“宣言”に聞こえたからだろう。韓国は、改革を口先だけで終わらせない可能性を、制度で示し始めた。

 言い換えれば、韓国は「できる・できない」の議論を超え、「やるしかない」地点に入りつつある。

 一方、日本はどうか。

日韓株高は似て非なるもの。市場改革で分かれた二つの国

 日経平均はバブル期の最高値を34年ぶりに更新し、5万円台も超えた。それでも海外投資家の口から漏れるのは、意外なほど冷ややかな言葉だ。「改革は進んだ。でも信頼は薄い」。高市早苗首相の国会答弁の一節が「改革後退」と受け止められかけた事実は、日本の改革がなお“片言隻句”に揺れる段階にあることを示す。

 ここが痛い。日本は株価が上がった分だけ、改革の“次の説明”が必要になる。ところが、政治の言葉一つで疑われる。つまり、市場の見立てはこうだーー「日本はまだ、本気で“株主と向き合う国”になり切っていない」。

 日韓の株高は、アジアの市場改革が一段上の局面に入ったことを意味する。だが、その中身は同じではない。韓国は「政治と世論に押されて改革が加速する国」であり、日本は「市場の合意形成で改革が進む国」だ。どちらが強いのか。答えはまだ出ない。ただ、次の一年で決まる可能性はある。

 そして、何もしなければ日本が負けるーーそれだけは、かなり確度が高い。

韓国は日本を「教科書」にした 改革を“模倣”で終わらせなかった理由

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この記事の著者
小平龍四郎

1964年生まれ。静岡県出身。早稲田大学第一文学部卒業。日本経済新聞入社後は主に金融・証券畑を歩き、「山一証券破綻」「村上ファンド登場」などの特報にかかわる。欧州総局(ロンドン)やアジア総局(バンコク)を経験し、現在は日経新聞の編集委員。専門は証券市場、ESG/SDGs、企業統治。著書は「グローバルコーポレートガバナンス」「アジア資本主義」「ESGはやわかり」。 Twitter:@Kodaira_Nikkei

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