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2026年の米中関係が「一時休戦」に向かう理由…トランプが中間選挙に「戦わずして勝つ」ための秘策

(c) AdobeStock

 日中関係が冷え込んでいる中、米中関係はどうなのか。2016年のトランプ大統領当選を言い当てた国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「2026年の米中関係は一時休戦が演出される」という。その背景にはもちろん、2026年11月に控える米国の中間選挙がある。今後、米国はどのような戦略で動いていくのか。渡瀬氏が綴るーー。

 みんかぶプレミアム特集「2026年大予測」第4回。

目次

2026年の中間選挙でトランプは勝利できるのか…支持率は落ち込んでいるが

 第二次トランプ政権発足後、トランプ大統領支持率は落ち込んだ状況となっている。現在の支持率は2018年に第一次トランプ政権で連邦議会中間選挙に負けた数字と同程度だ。そして、戦後の米国史の中で、中間選挙での下院議席増を実現したのはクリントン大統領とジョージ・W・ブッシュ大統領のみだ。トランプ大統領はこの狭き門を突破することができるだろうか。

 現在の下院情勢は220対215議席であり、共和党は僅か3議席を失うだけで過半数割れする。その結果として、民主党に予算・法律の策定で大幅に譲歩せざるを得なくなり、更に下院ではトランプ政権の様々なスキャンダルを追及する調査会などが立ち上がる可能性がある。これらの弊害は2028年の大統領選挙にも深刻な影響を与えることが予測されるため、共和党としては絶対に負けることが出来ない戦いだ。

トランプ政権に重く圧し掛かっているインフレ問題

 トランプ政権は中間選挙勝利のために2つの戦いに勝利する必要がある。1つ目はインフレとの戦いであり、2つ目は選挙区見直しだ。

 中間選挙情勢が米中貿易交渉やFRB人事に影響を与えることは明らかだ。なぜなら、トランプ政権にインフレ問題が重く圧し掛かっているからだ。

 トランプ大統領はバイデン政権が残した高インフレ状態を鋭く批判してきた。もちろん、エネルギーを始めとした規制政策、そしてバイデン政権のインフレ対策とは名ばかりの放漫財政はインフレの原因であった。しかし、トランプ政権であってもインフレが沈静化しているとは言えない状況だ。不法移民取り締まりや関税政策は、その政策的な意図や是非は別として、インフレの要因になっていることは疑い得ない。そのため、中間選挙に際して「誰のせいでインフレが終わらないのか」という問いは重要となる。

 2026年夏ごろの世論調査で共和党支持者、民主党支持者、無党派別の「インフレの原因」がどのように回答されるのかは興味深い。仮に、共和党支持者や無党派の回答で、トランプ大統領の政策のせいである、と回答が一定数を超えれば、トランプ政権・共和党政権は厳しい大統領選挙を戦うことが予測される。

今後の米中関係が「一時休戦」に向かう理由…FRB人事はどうなるのか

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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