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チームみらいはなぜ、衆院選で大躍進を遂げたのか…中道改革連合崩壊によって示された「中道」という言葉が持つ道徳的欺瞞性

(c) AdobeStock

 先の衆院選で、中道改革連合は歴史的な大敗を喫し、旧民主党系議員の多くが落選した。その一方で、新興政党のチームみらいは大躍進した。この差はどこからきたのか。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が分析するーー。

 みんかぶプレミアム特集「戦後・リベラルの終焉」第7回。

目次

 中道改革連合は所詮、寄せ集めにすぎなかった

 中道改革連合の崩壊は、日本の政党政治における「中道」概念が本質的に抱える道徳的欺瞞性を露呈させた点で、きわめて重要な政治現象であると言える。

 中道改革連合は、左右の対立を超克する「穏健で理性的な勢力」を自称し、政治的中立性と調整能力を備えた存在として自己を位置づけようとした。

 しかし、その政治的実体は、立憲民主党系のリベラル・左翼勢力と公明党の宗教組織票という、政策志向・価値観・政治文化のいずれにおいても大きく異質な勢力を、理念的調整を欠いたまま「中道」という語の曖昧性によって接合した寄せ集めにすぎなかった。

有権者は政治屋のレトリックに騙されず、正しい評価を下した

 この野合的な姿勢やその老害体質が露呈した結果として中道改革連合は崩壊したが、それ以上に大多数の国民は中道という曖昧なイデオロギーの欺瞞性自体を拒否した可能性がある。中道路線の崩壊は世界的な現象であり、国民は中道という響きが持つ胡散臭さに気が付いているのではないか。

 中道改革連合が掲げた「中道」は、理念的矛盾を覆い隠すための道徳的装飾として機能させることを狙ったはずだ。しかし、中道という言葉は、極端を排し、穏健で理性的であるという肯定的イメージを喚起するが、同連合はこの象徴的価値の利用に失敗し、理念的統合の欠如を露呈してしまった。

 政治的に異質な勢力を「中道」という言葉のもとに統合することで、左右の対立を不毛な争いとし、その言葉の持つ道徳的ニュアンスを獲得する象徴操作は政治的誠実さを欠く行為である。そのため、政治家の言葉の倫理的退廃を示すものと評価されるべきものだ。有権者が政治屋のレトリックに騙されず、正しい評価を下したことは大変望ましい。

 リベラル層は公明党との合流に強い違和感を示した

 中道改革連合の「中道」が欺瞞的であったことは、何より支持基盤の反応において最も明確に示された。

 リベラル層は公明党との合流に強い違和感を示し、支持離れを起こした。他方、公明党支持層は左派的な立憲色の強い候補者らに警戒感を抱き、積極的支持を示さなかった。両者の支持層は「中道」という言葉を必ずしも共有しておらず、政党側が掲げる「中道」は、有権者にとって実体のない言葉として受け取られた。

 さらに、中道改革連合の「中道」は、政策的中庸を意味するものではなく、政治的責任を回避するための曖昧戦略でしかなかった。

 「中道」のポジションは、チームみらいや国民民主党がある程度上手に奪うことに成功

 本来の道徳的優位性を得るための中道とは、左右の極端を排し、現実的で調整的な政策を提示する立場をとることが必要だ。しかし、同連合は、具体的な政策軸をほとんど提示することなく、「中道」や「改革」といった抽象的な言葉を反復することで、立場の不明確さを正当化し、「中道」という語が持つ道徳的欺瞞性が更に強調されてしまった。

 中道改革連合は、この「中道」の曖昧性を最大限に利用しようとしたが、結果としてその空虚さを露呈することになり、理念的基盤を欠いた「中道」は政治的説得力を持ち得ず、むしろ政党の存在意義を希薄化させることが明らかになったのである。

 一方、中道改革連合が目指した「中道」のポジションは、チームみらいや国民民主党がある程度上手に奪うことに成功した。チームみらいは10議席以上の議席を獲得し、国民民主党も厳しい環境下で善戦した。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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