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イラン・ホルムズ海峡封鎖で国際的投資家「あらゆるモノの値段が上がり、物価上昇・円安が止まらなくなる」有事の円買いはもう起きない…相場の逆回転はもうすぐそこなのか

(c) AdobeStock

 中東情勢が相場の大きな不安定要因として浮上してきている。株式評論家で、各国投資家との国際的なネットワークも有している木戸次郎氏は「イラン・ホルムズ海峡封鎖で物価上昇が危惧される中、高市政権は財政出動しようとしている。その効果は懐疑的だ」と警鐘を鳴らすーー。

 みんかぶプレミアム特集「もう退場したくない! 高市トレードの『乗り方』」第4回。

目次

円はもはや安全通貨ではない中、戦争であらゆる商品のコストが上がる

 世界は「戦争を望んでいない」のに、「戦争に近づく条件」だけが静かに揃い始めている。それが、いま我々が立たされている現実だ。

 ホルムズ海峡が封鎖されたというが、そうなると原油価格は跳ね上がる。完全封鎖に至らなくとも、そもそも「封鎖の可能性」「航行リスクの高まり」という言葉が流れた瞬間に、市場は先回りする。保険料が上がり、運賃が上がり、為替が動く。日本は石油備蓄があると胸を張るが、それは物理的な欠乏を防ぐ話であって、価格上昇を止める備蓄ではない。原油が上がれば、電気、ガス、輸送、食品、日用品、あらゆる生活コストが連鎖的に上がる。物価高は金融の話ではない。生活の話だ。

 この局面で「責任ある積極財政」で乗り切れるのか。私は極めて懐疑的だ。インフレ局面で財政を拡張すれば、それは景気対策ではなく、インフレを財政で追認する行為になる。原油高、円安、物価高が同時に進む中で、財政出動は万能薬ではない。むしろ国家の耐久力そのものが、静かに削られていく。

 そして忘れてはならないのが、これらすべての局面で、日本はすでに「通貨の防波堤」をかなり失っているという現実だ。円はもはや安全通貨ではなく、危機が来れば買われる通貨でもない。かつて、市場で疑われることなく親切に語られてきた「有事の円買い」は、いまやほとんど死語と化している。地政学リスクが高まっても円は買われず、原油高が来れば真っ先に売られる。物価が上がれば円はさらに棄損し、その悪循環を止める決定打を、日本は持たない。

有事の円買いはもうおきない…それが相場の逆回転が始まるタイミングだ

 ここで直視すべき事実がある。

 円安を容認し、その果実を享受してきたツケが、いま一気に回ろうとしている。

 輸出企業の収益は押し上げられ、株価は史上高値圏に達し、「円安は国益」という言葉が半ば常識のように語られてきた。為替が下がれば企業が潤い、税収が増え、景気が良く見える。その甘美な成果の裏で、通貨の信認という国家の基盤は静かに削られてきた。

 円安ホクホクという軽い発想は、平時の会計感覚としては分かりやすい。しかし有事が重なった瞬間、その軽さは国家全体の重さとして跳ね返る。通貨を企業収益の道具として扱い続けた結果、有事の円買いは起きなくなり、エネルギー危機では真っ先に売られ、戦争や災害のコストを割高で請求される国になった。

 通貨とは国家の信用であり、有事における最後の防波堤だ。その防波堤を削りながら安心感だけを積み上げてきたのであれば、それは逆回転に他ならない。

 有事の円買いが起きなくなったという事実は、日本が「危機の避難先」ではなく、「危機の当事者」として見られ始めていることを意味する。

 さらに厄介なのは、これが単発の危機ではないという点だ。東海、南海トラフ、首都圏直下、富士山噴火。戦争リスク、エネルギーショック、物価高、そして大規模自然災害。これらが同時に来ない保証はどこにもない。そのとき日本に十分な有事の資金余力があるのか。国債の信認、円の価値、財政の持久力、そのすべてが同時に試される。

一方で、年収300万円以下の世帯が約4割、さらに貯蓄ゼロの世帯が1000万〜1500万世帯存在する現実

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この記事の著者
木戸次郎

1965年生まれ。明治大学政治経済学部卒。 地場証券会社を経て投資顧問会社の代表取締役。その後、ベトナム国営バオベト証券バオベトジャパン理事、ベトナム国防省タイソングループ顧問、外資系ファンドの戦略アドバイザーを経て現在はTMI総合法律事務所顧問。著書にベストセラーとなった『修羅場のマネー哲学』(幻冬舎)『修羅場の鉄則』(幻冬舎)、『木戸次郎の大化け株』(宝島社)、『株はあと2年でやめなさい』(第二海援隊)、『常勝の株』(講談社)ほか多数。

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