なぜ、安倍晋三はトランプにもオバマにも愛されたのか…天才的な外交術に日本は救われた
オバマ政権、トランプ政権…2つの難物政権と向き合った
安倍元首相が凶弾に倒れた。まずご冥福をお祈り申し上げる。
安倍政権はオバマ政権・トランプ政権という2つの難物政権と向き合った稀有な政権であったと言えるだろう。
そして、安倍氏はオバマ政権の関心をインド太平洋地域に引き戻し、トランプ政権との間で強固な日米同盟、そしてクアッド(日米豪印)の対話の枠組みを作ることに成功した。
米国の政治的分断が深刻化した現代において、米国の政権交代に対応し適切な外交政策を行うことは難しい課題だ。なぜなら、前政権で是とされた政策が次の政権ではアッサリと否定されて覆されてしまうからだ。たとえば、オバマ政権が進めたTPP加盟をトランプ政権が掌返ししたことは衝撃的なものだった。ジキルとハイドのような二面性を有する米国に対し、安倍政権が日本側カウンターパートとして毅然と対応し続けることは至難の業であった。
いち早くトランプに会いにいった安倍の判断力
しかし、安倍政権はこの難題をやってのけた。特に西側諸国首脳の中で孤立することが明らかであったトランプ氏にいち早く接近し、蜜月を演じたことは日米関係を円滑に進めるために決定的な役割を果たした。そして実は、首脳間の個人的信頼関係構築は日本の政治では極めて珍しいことでもあった。