テンバガー投資家Xがたどり着いた「勝ちパターン」…買っていいIPO銘柄と買ってはいけないIPO銘柄の見分け方
本稿で紹介している銘柄:アズーム(3496)、アルバック(6728)、東芝(6502)、シャープ(6753)、三菱重工(7011)、メドレー(4480)、QDレーザ(6613)、JTOWER(4485)、三井松島HD(1518)、IIJ(3774)、プロジェクトC(9246)、NCHD(6236)、モノタロウ(3064)、ジャパンエレベーターサービス(6544)、チャーム・ケア・コーポレーション(6062)、ファーストリテイリング(9983)、FPパートナー(7388)
投資歴20年、数々の失敗を経て、IPO(新規株式公開)直後の銘柄を対象とした “IPOセカンダリー投資” にたどり着き、2022年にはアズーム(3496)でテンバガーを達成した、その名もテンバガー投資家X氏。どのような失敗を経て、現在の投資スタイルにたどり着いたのか。その軌跡をうかがった。
目次
奨学金を元手に投資開始。全くうまくいかなかった
私は投資歴20年になりますが、始めてからしばらくは、全くうまくいきませんでした。投資を始めたのは大学1年生のとき。元手は奨学金でした。大学に入学してから半年後に月10万円の奨学金を申し込んだところ、入学時からの分をさかのぼって借りることができたんですね。半年分ですから、60万円がドンと振り込まれたわけです。そこで何に使おうかと考えたとき、思いついたのが投資でした。
当時すでに、銀行に預けてもほとんど金利がつかない状況でした。そんな中である日、通りがかった銀行のショーウィンドウで、アルゼンチン国債の案内を見かけたんです。金利が7%を超えていて、「これはいいな」と惹(ひ)かれました。結局アルゼンチン国債は買わなかったのですが、そこから投資に興味を持つようになっていたのです。
最初に購入したのは、新しい技術を持つ会社の株です。たとえば当時出てきたのが有機EL。テレビで綺麗な映像を映すことができるということで、注目を集めていました。そこで有機EL関連の事業を行うトッキ(キヤノンに買収され上場廃止)や上場したばかりのアルバック(6728)の株を買いました。ただ、残念ながら有機ELはあまり普及しませんでした。
そこで次は、安定的な収益があった上で、新しい事業やサービスを展開する企業に目を向けてみることにしました。たとえば、太陽電池の研究開発を推進すると発表したばかりの昭和シェル石油(経営統合により2019年上場廃止)。若干儲かりはしましたが、日本産の太陽電池は中国勢に負けてしまい、大きく勝ったとまではいきませんでした。ライブドアやインボイスといったIT企業の株も買いましたが、どちらも上場廃止してしまいました。