第9回 オミクロン株[その2]大流行の兆候あり、コロナ政策を把握し、家計を徹底防衛せよ!

前回はデルタ株の流行期に感染し療養したAさんのケースを取り上げ、治療にかかる費用や休業補償についてご説明しました。
今回は、オミクロン株の感染爆発時に家計を助けてくれる行政支援(生活・暮らしへの支援)についてご紹介いたします。
目次
生活・暮らしへの支援の概要
昨年10月末に総選挙が終わり、岸田政権が本格的に始動しました。
目玉となる生活支援策は2種類の10万円給付のみ。
アルファ~デルタ株流行時の生活支援策の中で期限が延長されなかったものがあるため、オミクロン株対策の点では、やや心細い印象を受けました。
令和3年11月19日 閣議決定
新政権のコロナ支援の概要は昨年11月19日の閣議で決定しています。
【コロナ克服・新時代開拓のための経済対策「生活・暮らしへの支援」(令和3年11月19日 閣議決定)】
住民税非課税世帯に対する給付金(仮称)/ 新型コロナの影響により厳しい状況にある学生等の学びを継続するための緊急給付金(文部科学省)/ 緊急小口資金等の特例貸付(厚生労働省)/ 住居確保給付金の支給(厚生労働省)/ 新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の支給(厚生労働省)/ 新型コロナウイルス感染症セーフティーネット強化交付金(厚生労働省)/ 子育て世帯への臨時特別給付/ マイナポイント第2弾(総務省、厚生労働省、デジタル庁)/ 雇用調整助成金の特例措置等(厚生労働省)/ 雇用保険財政の安定(厚生労働省)/ 産業雇用安定助成金等による在籍型出向の活用促進(厚生労働省)/ トライアル雇用助成金の活用促進(厚生労働省)/ コロナ禍での非正規雇用労働者等の労働移動支援事業(厚生労働省)/ 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金(厚生労働省)/ 求職者支援制度による非正規雇用労働者の再就職、転職、能力開発への支援の強化(厚生労働省)/ ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援(厚生労働省)/ 生活困窮者等支援民間団体活動助成事業(厚生労働省)/ 新型コロナウイルスの影響に伴う国民健康保険料・介護保険料等の減免を行った市町村等に対する財政支援(厚生労働省)/ 孤独・孤立対策の強化(孤独・孤立対策連携プラットフォーム(仮称)設立準備等)(内閣官房)/ 国産農林水産物等販路新規開拓緊急対策事業(農林水産省) 【再掲】/ フードバンク支援緊急対策事業(農林水産省)/ 政府備蓄米の子供食堂等への無償交付の民間利用促進(農林水産省)/ 地域女性活躍推進交付金(内閣府)/ 子供の未来応援地域ネットワーク形成支援事業(地域子供の未来応援交付金)(内閣府)
(2021年第14回経済財政諮問会議 資料1「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」より引用改変)
しかし、上記の生活支援策には
・生活者に直接給付されないもの(自治体の相談活動への支援、トライアル雇用助成金の活用促進等) ・コロナ流行の有無にかかわらず実施されるもの(ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援等) ・コロナ被災者への支援とは言えないもの(マイナポイント第2弾等) |
が含まれており、この3つについてはここでご説明する必要はないと感じました。
そこで本記事では、オミクロン株の流行に的を絞ってお伝えするため
- 岸田内閣が新たに打ち出した2種類の10万円給付
および従来の施策を延長するもののうち
- 家計への支援
- 子どもへの支援
について取り上げることにしました。
新たに打ち出した支援策
岸田内閣が新たに取り組む2つの支援策は、いずれも対象を限定して10万円を支給するものです。
ニュースで繰り返し報道されており内容はご存じと思うので、ここでは簡単に確認するにとどめます。
子育て世帯への臨時特別給付
児童手当の支給方法を使って、0歳から高校3年生(平成15年4月2日から令和4年3月31日までの間に出生)の子どもを扶養する人に、子ども1人当たり10万円相当の現金やクーポン券を「プッシュ型」で給付します。
ただし扶養者の所得制限については、テレビなどで語られている「一律960万円以上」ではありません。
内閣府の資料では「年収960万円以上」は「扶養親族等が児童2人と年収103万円以下の配偶者の場合の目安」とされていますし、本給付が利用する児童手当の仕組みでは、所得制限は「扶養親族等の数」によって異なる金額が定められています。
[参照]内閣府ホームページ「子育て世帯への臨時特別給付 概要」「児童手当制度のご案内」
住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(仮称)
住民税均等割非課税世帯や令和3年1月以降に新型コロナウイルス感染症の影響で家計急変のあった世帯を支援する新たな給付金です。1世帯あたり10万円を現金給付します。
世帯全員の「令和3年度 住民税均等割」が非課税の場合は申請の必要はありません。
令和3年1月以降の年収が減少し「住民税非課税相当」の収入となった場合は、住民登録のある市区町村に申請する必要があります。
[参照]内閣府ホームページ「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(10万円 / 1世帯)のご案内」
従来の支援策の期限を延長するもの
2020年から2021年前半にかけて相次いで実施されたコロナ支援の期限を延長したものです。
「家計への支援」「子育て支援」の2分野に分けてご説明します。