日経平均45,000円突破、総裁選と半導体相場が交錯する日本株の行方

本稿で紹介している個別銘柄:ソフトバンクグループ(9984)、アドバンテスト(6857)
2025年9月16日、日経平均株価はついに45,000円の大台を突破した。国内外の投資家にとって、日本株の好調な動きは目を離せない状況だ。
しかし、この株高がすべての投資家に均等に恩恵をもたらしているわけではない。特に中小型株やIPO株を主戦場とする個人投資家にとっては、特定の銘柄に資金が集中する状況が続いており、慎重な目線が求められる。
国内中小型株やIPO株のスペシャリストとして知られる、fundnote株式会社のファンドマネージャー川合直也氏は、この動きを冷静に分析する。
目次
半導体関連株と政治イベントが相場を牽引
直近の日経平均をけん引しているのは、半導体関連株と政治イベントの二本柱だ。特に米国オラクル【ORCL:US】のOpenAI向け大型受注ニュースは市場に大きな影響を与えた。AIインフラ整備に伴い、ソフトバンクグループ(9984)やアドバンテスト(6857)といった関連株が強く買われ、短期的には日経平均を押し上げる要因となった。
川合氏は、「アドバンテストがここまで上がる理由は正直、はっきりしません。NVIDIAやSOX指数の動きが影響しているかもしれませんが、GPUの主役も入れ替わってきており、ブロードコムの存在感も増しています」と話す。半導体関連株の動きには単なる材料株の上昇以上のテーマ性が絡んでいるが、不確定要素も意識する必要がある。
また、川合氏は「短期的な材料株の動きだけで飛びつくのは危険です。テーマ性のある企業であれば、中長期の視点で業績や資金動向を見極めることが重要です」と指摘する。
半導体やAI関連株は話題性が大きく、個人投資家の注目度も高いが、乱高下に備えた慎重さが求められる。
総裁選の動きが市場心理に影響
国内要因としては、自民党総裁選が株式市場に影響を及ぼした。
石破氏の続投観測も一時あったが、最終的には2025年9月7日に辞任が決定。一部のSNSでは「悠仁さまの20歳の儀式を待っていたのでは」という説も流れたが、真偽は不明だ。それでも、政治イベントの注目度の高さが投資家心理に影響を与えたことは間違いない。
石破氏の退陣発表翌日から2日目にかけては、高市氏が有力視され、防衛やサイバーセキュリティ関連株が買われる場面もあった。しかし、「高市相場」は長続きせず、支持率や議席状況、インフレ対応力の制約から一時的な上昇にとどまった。川合氏は、「高市氏が首相になった場合、インフレが落ち着く見通しは立たない」と指摘する。
現時点で最有力候補は小泉氏だ。石破氏の続投よりも自民党支持率の改善が期待され、株価にはプラス材料となる見通しだ。さらに総裁選後には衆議院解散・総選挙の可能性もあり、短期的には「選挙ラリー」が起こる可能性が高い。
こうした不確実な政治状況に対して、川合氏は次のように考えている。
「株価はニュースフローと業績の2度動きます。総裁選は一つのニュースフローですが、期待だけで動くのは短期的です。結局、トップが決まり、政策が具体化してから各企業の業績に反映されるタイミングでの投資で十分間に合います」
つまり、現時点の総裁選や次期首相への期待だけで慌ててテーマになりそうな株を予想して買う必要はないというわけだ。