老後資金「貯めた後、どう使うか」・・・マネーコンサルタントが教える「現役時代とは違う発想」

新NISAの開始以降、インデックス投資に踏み出す現役世代は一気に増えた。毎月積み立てをしながらも、「本当にこのペースで老後資金は足りるのか」という不安の声も多い。
「オルカンやS&P500を毎月必死に積み立てをしている人は多いかもしれません。そんなみなさんに朗報です。大丈夫です。老後はなんとかなります」──。マネーコンサルタントの頼藤太希氏は断言する。
そもそも老後に必要なお金はいくらか。ゆとりある老後を送るにはいくら必要か。定年前後で取るべきお金の戦略とは。
ライフプランニングと資金戦略のプロが語る、いまからやっておくべき人生戦略。連載全3回の第2回。
目次
定年後は「資産運用しながら取り崩す」が大前提
現役世代の多くは、「老後までにいくら貯めるか」を一生懸命に考えています。新NISAやiDeCoで毎月積み立て、目標額に向けてコツコツ資産を積み上げる。これは、資産形成としては正しい姿勢です。
ただ、意外と見落とされているのが、「貯めた後、どう使うか」という視点です。定年を迎えたとき、あなたが築き上げた資産は、今度は「取り崩していく資産」に変わります。そして、この取り崩しのフェーズでは、現役時代とはまったく違う発想が必要になります。
そこで大事なのが、金融資産を一気に現金化せず「老後期間も運用を続けながら、取り崩す分だけ引き出す」という考え方です。これが、現役時代の資産形成と定年後の資産活用の、もっとも大きな違いです。
具体的に見てみましょう。65歳から85歳までの20年間、年金にプラスして月10万円を使いたいとします。これを貯蓄の取り崩しだけで賄おうとすると、月10万円×12カ月×20年で、2400万円が必要になります。
ところが、年4%の利回りで運用を続けながら、20年間、月10万円の取り崩しを行う場合、用意しておくべき資産額は1650万円で足りるのです。利回りが上がれば、必要な元本はもっと少なくて済みます。
細かな計算方法などは割愛しますが、資産運用の利益を老後も得続けることができれば、老後に必要な資金は大きく減るということは覚えておいてください。
取り崩しを始めた後も、残った資産が運用によって増え続けるので、減るスピードを運用による増加が補ってくれる。だから、少ない元本でも長く使い続けられるんです。
老後に持つべきは「ボラティリティが低い」商品
「運用しながら取り崩す」という発想に切り替えたら、次に考えるべきは「どんな金融商品で運用するか」です。ここでカギになるのが、「値動きの大きさ」です。
金融商品には、日々の価格の上下が激しいものと、穏やかなものがあります。専門用語ではこれを「ボラティリティ」と言います。一般的にオルカンやS&P500のような株式ファンドは値動きが大きく、債券ファンドは値動きが小さい傾向にあります。
65歳までの資産形成期、つまりお金を貯めているフェーズでは、値動きの大きさはそれほど気にしなくて大丈夫です。なぜなら、長期・分散・積立という3つの原則を守って投資していれば、短期的に値下がりしても、長く持ち続けることで価格は回復し、最終的に資産は増えていく可能性が高いからです。新NISAやiDeCoでオルカンやS&P500を毎月コツコツ積み立てる、というやり方は、まさにこの考えに沿っています。
ところが、65歳を過ぎて取り崩し期に入ると、話がまるで変わります。
取り崩し期は、運用していた資産を「売却して現金化し、生活に使う」フェーズです。「ずっと持ち続ける」ことができた資産形成期と違って、定期的に売却するタイミングが必ず訪れます。ここで問題になるのが、値動きの大きさなんです。
旅行を前にお金を取り崩すタイミングで、相場が大きく下落したとします。「こんなに値下がりしているときに売るのはもったいない」と感じますよね。逆に、上昇局面で売ろうとすれば、「もう少し持っていれば、もっと増えるんじゃないか」という気持ちが出てきます。値動きが大きい商品は、上がっても下がっても、売りどきがつかみづらいんです。