第3回 100歳まで充実した良い人生を送るために欠かせない「無形資産」って何だろう?
「お金か、お金以外か」。100歳まで充実した人生を送りたいと考えたとき、どちらが大事だと思いますか。
答えは「両方必要」です(当たり前の答えでごめんなさい)。
今回はお金では価値を測れない「無形財産」についてお話しします。
目次
お金で表せない資産の相乗効果が人生を豊かにする
無形資産については『LIFE SHIFT』の第4章に書かれており、3つに分けて紹介されています。
①生産性資産 |
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②活力資産 |
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③変身資産 |
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リンダ・グラットンさんは資産を「管理せずに、放置したり使用したりすると価値が減少するもの」と定義しています。
例えば「②活力資産」の中の「友人関係」は、連絡を取らなかったり何年も会う機会がなかったりすると友情があるかどうか分からなくなります。また「健康」は運動不足や食生活の乱れが原因で失うことがあるかもしれません。
100年という長い人生の中で「放っておいたら友人も健康もいつの間にかなくなっていた」ということにならないように「形はないけれど、貴重な財産」として大切に維持管理したいですね。
①生産性資産 所得の増加につながる「スキル」
『LIFE SHIFT』によると機械やAI(人工知能)の進歩した社会では、仕事をする上で「人間ならではのスキルと共感能力を発揮できるようにすること」が求められます。
高度な直感的判断、意思決定に関わるスキル、幅広い対人関係などが重要度を増すというわけです。
また「生産性資産」すなわち所得の増加につながる「スキル」には、実践力が身に付く「経験学習」や能力を発揮させてくれる「評判」「仕事上の人間関係」を含むそうです。
「仕事上の人間関係」とは、信頼関係のある人脈、組織、知人、同僚などのことを指します。
例えば『LIFE SHIFT』に出てくる「ポッセ」という小規模な仕事仲間ネットワークは、似たようなスキルと専門知識を持つ者同士が仕事を紹介し合ったり、貴重な助言をし合ったり、職業上の成長を支え合ったりする小さなグループ。
仲間同士で知識を共有し、1人でやるよりも広い視野を持つことができるため、個々の生産性が上がり所得を増やせると言います。
同業種の人との横のつながりや勤務先の会社の外にあるネットワークは、時間やお金を投資して育む価値があるということですね。こうした横のつながりや社外のネットワークは、転職、独立、定年退職など、人生のステージが大きく変わる時期には自分をサポートしてくれるでしょう。
たとえ人脈がなくても、現代はSNS上で気軽に情報交換や交流ができます。フェイスブックやTwitter、インスタグラムなどのネット上での交流や、地元での人間関係は重要になりそうですね。
②活力資産 精神的・肉体的な健康と幸福をもたらす
「活力資産」は、文字通りわれわれに「生きる活力」「やる気」を与え、人生に幸福感や充実感をもたらしてくれるものです。前出の「友人関係」や「家族」など個人的なつながりの深い人間関係は、多くの人にとって幸福な人生の重要な要素です。
加えて本書では「健康」の大切さを主張しているのが印象的です。特に「脳の健康」が100年ライフを充実させるのに欠かせないと言います。
確かに脳の認知機能が低下した状態で長生きすることと、脳の機能が若々しさを保っている状態で長生きすることを想像すれば、人生の充実度がものすごく違ってくるのが分かります。
脳は加齢とともに衰えると考えられてきましたが、筋肉が鍛えればつくように、脳も使えば使うほど衰えるスピードは遅くなるということが科学的に判明しているようです。
「もう年だから」は通用しない時代になってきました。「筋トレ」ならぬ「脳トレ」として投資の勉強をする、なんていかがでしょうか。思考力や決断力を鍛えるのに最適ですよね。
③変身資産 人生の変化に柔軟に対応する能力
100年生きる時代には、人生の大きな転機が今までより多く起こることが予想されますが、リンダ・グラットンさんは、こうしたとき一番役に立つ資産は「変身資産」だと書いています。
変身資産とは、変化を繰り返すマルチステージの生き方の中で、柔軟に対応していく能力や意欲の原動力となる性質のこと。