人類史上初の4回転アクセル認定…羽生結弦『天と地と』右足首が壊れようとも跳んだ。そして採点から自由になった

世界の歴史に名を刻むことを約束された存在として
4回転アクセルを跳びたい。
競技生活の最終章、羽生結弦の夢見た4回転アクセルは『蒼い炎IV -無限編-』でも重要な位置を占める。
しかし周知の通り、羽生結弦は点数が欲しいとか、勝ちたいとか以上に「跳びたい」というアスリート。表現者としての「羽生結弦という存在」とその理想が優先され始めていたのかもしれない。
もちろん、点数や勝利といった前者は結果として否定されるべきではないが、羽生結弦はすでにこの段階で、2014年ソチ、2018年平昌と2大会連続の金メダルを成し遂げ、男子シングル唯一のスーパースラム(五輪、世界選手権、グランプリファイナル、四大陸、世界ジュニア、ジュニアグランプリファイナル)の達成者であった。世界の歴史に名を刻むことをすでに約束された不世出の存在――、しかし他者による採点である限り、その羽生結弦が「美しい」と思うものが必ずしも思う点数にはならない、という現実もあった。むしろそうした不世出の存在だからこその採点、という現実もある。書き方が難しいが、これは事実だ。
4回転アクセルを実現するためのマスターピース
羽生結弦自身も率直に語っている。