「彼は3万枚のチケットを完売させる人気者」ロシア番組『フィギュアスケートショーは衰退しているか?』羽生結弦についての言及とその「わかってない」感(後)

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「羽生結弦のために世界中を旅したファン」
ほんと、わかってない。
羽生結弦に集められているのでなく、命がけの積み重ねの果てにある羽生結弦の人の心、その心から浮かび上がる「いま・ここ」という本物のアウラ、みなそれを信じてついて行く。みな意志を持って、ついて行く。だから成功する。真の評価を受ける。
ロシアのフィギュアスケート専門ポッドキャスト番組「Clean Tail」(以下、クリーンテール)では、それについてこうも語る。
「そのようなユニークな個人(羽生結弦)は確かに存在します。(競技会時代)羽生結弦のために世界中を旅したファンを思い出します。あれは例外です」
「観客は忠実に、常に羽生結弦のショーのチケットを買う。ショーは毎回驚かせてくれる。彼は責任を持ってこれを受け止めています。ショーはすべてうまくいきます」
「日本人にとってフィギュアスケートなんて何でもない、役に立たない、スケートと人気は別物であり、羽生結弦は別なのです」
このあたりは的を射ている箇所もある。とくに3つ目、こうした忌憚のない意見は海外メディアならではと思う。それでもやはり「わかってない」感が強い。
「羽生結弦は巨大で強力で献身的な活動で自分自身の番組を創りました。これらのショーは大成功、しかし(羽生結弦以外の)ショーは非常に深刻な問題を抱えています」
ここはFaOIの絡みでもあるのだが、率直に言わせてもらえば羽生結弦がどうとか関係なく、単にチケットが売れない、お客が入らないというだけである。
口汚いことをあえて承知で言うなら「こっち見んな」である。羽生結弦の興行に成功しかないことと他が不入りなことに因果関係はない。羽生結弦のファンだって他のスケーターは観るし、むしろ羽生結弦のファンは他のフィギュアスケーターも俯瞰して観ることのできる愛好家が多い。それを踏まえての、羽生結弦という選択でもある。
私だって古今東西好きなフィギュアスケーターはたくさんいる。それでも実際にチケットを買って現地に行くか、行かないかの話は別、羽生結弦のショーには行く価値がある、消費者としての至極真っ当なそれしかない。
「日本市場をどう思いますか? 羽生結弦が市場を救う。業界、観客を惹きるけるために何をすべきか」
「新しいスターが必要。アメリカは2000年代初頭に人気が終わった。どこも波がある。日本がピークなのは認めるか、(ロシア市場でも)なにかできるはずです。プロデューサーさん、どう思いますか?」