小6の夏にサピックスで我が子を最高に成長させるために親がやるべき3つのこと…意外なところに潜んでいる学力低下の盲点

中学受験生の小6にとって、最後の夏がまもなくやってくる。夏期講習でどこまで我が子の偏差値が伸びるのか、期待と不安が入り混じっている親御さんも少なくないだろう。教育当時ジャーナリストの戦記氏が、小6のサピックス生が成績を伸ばすために親がすべきことを解説するーー。
みんかぶプレミアム特集「中学受験 夏休みで伸びまくるコツ」第1回。
目次
小6の夏、サピックスで子供が最高に成長するにはどうすればよいのか
教育投資ジャーナリストの戦記(@SenkiWork)と申します。
今年のゴールデンウィークもあっという間に終わりました。小5以下の中学受験家庭は塾の時間の隙間を縫うようにして家族旅行を楽しみ、小6受験生は塾に缶詰で必死に勉強をしたかと思います。夏休みまであと少しですので、今回は「小6の夏にサピックスで我が子を最高に成長させるために親がやるべきこと」というテーマで掘り下げたいと考えます。
親が実行すべき原理原則
サピックスという塾は、他の大手塾(早稲アカ・四谷大塚・日能研)とは大きく異なる点があります。それは、「成績上位層が集まるという母集団形成に成功しているため、カリキュラムの内容や分量が上位層向け」であることです。
娘は小1の2016年から小6終わりまでの2022年1月までサピックスに在籍し、6年間学ばせて頂きました。2022年以後のサピックスの進化を取材している限りでは、2026年現在でも内容は大きくは変わっていないようです。
上記前提条件の中、親が夏前にしなければならないことは、以下の3点になります。
①我が子への期待値を上げすぎない
これができれば中学受験は80%は成功した、と考えても良いくらいに重要な論点です。
中学受験の世界にどっぷり浸っていると忘れてしまうのですが、日本全体というマクロで考えると、首都圏中学受験市場というのは極めて特殊な市場です。2027年中学受験に挑むのは2014年生まれですが、この同世代人口は約100万人であり、首都圏の中学受験人口は約5万人ですから、日本全体でみればたったの5%です。首都圏での同世代人口は約30万人なので、首都圏でみても18%にすぎません。
その5万人の中での偏差値60以上(おおむね上位15%以上)の世界ともなると約7,500人です。これは首都圏中学受験市場全体での上位15%にすぎませんから、サピックス偏差値換算した場合は良くても偏差値50程度でしょう。こういった、マクロ的にはかなり特殊な母集団の中で、僅かな点数の差を競うことで相対的評価である偏差値が決まるわけですから、そもそも我が子の次の組み分けテストの偏差値に対する期待値を高くするのは合理的な行為ではないことが分かるかと思います。
中学受験において、親による我が子へのマネジメントにおいて重要なのは、「適切な期待値を持つ」ことに尽きます。「期待値を上げすぎる」のは家庭崩壊にもつながりかねない危険な行為だと考えます。資産運用における株式投資の世界に例えるならば、「1年で20%のリターンを確保できたら上出来」なわけですが、「1年で2倍(ダブルバガー)を目指す」ような期待値形成をすると、個別株に集中的に投資したり、あるいは日々の値動きに夜も眠れない状況に陥ったりします。そんな簡単に成功することはできません。
それと同じように、「我が子の偏差値をあと5ポイント上げれば・・・」と考えたり、「もう1ランク上の学校に挑戦できれば・・・」と考えることは、偏差値が上に行けば行くほど困難な所業となります。たとえば、偏差値50から偏差値55への進化は上位50%から上位30%ですが、偏差値55から偏差値60への進化は上位30%から更に半減して上位15%の世界になります。偏差値50の層が「所属する母集団における標準的な姿」だと考えると、偏差値60の世界は上位15%なわけですから、競争環境はますますシビアになります。
中学受験が特殊なのは、12歳の小学生という、脳や心身が急激に発達するタイミングで行うものであり、個々のお子さんの成長度合いはばらばらであることです。それゆえに、ごくたまに「ものすごい成績が伸びて夏に偏差値が10アップした」ような事例が出てくるわけですが、母集団全体をみたらその成長速度も平均に回帰しますから、つまるところ、サピックスのカリキュラムを皆と同じように対応しただけでは、相対的な成長速度は変わらず偏差値は上がり辛いことになります。
上記を理由に、「夏に偏差値が下がらなければ良くやった」くらいの期待値形成をしておかないと、8月終わりの組み分けテスト結果を見て地獄を見ることになります。期待値は高いのに、勉強時間をいかに積み増しても偏差値が上がらない。そんな家庭の夕食での親子の会話が楽しいはずがありません。