第3回 フリーターの人生設計 夢と現実と
※ FP=ファイナンシャルプランナー。 ※「みんかぶFP相談室」は実在しません。本記事の個人名、固有名詞などは全てフィクションです。
夢を見ることは素敵なこと。でも、夢が叶わなかったときは?
いつか王子様が私を迎えに来てくれる――――と思っている間に、年月はどんどん過ぎていきます。
大人になって収入を得るようになったら、夢を追いかけながらも同時に現実的なライフプランを考えるようにしましょう。
ライフプランはどんな時でも、未来を幸せに生きるための準備をサポートしてくれますよ。
【登場人物】
- 深瀬さん ………… みんかぶFP相談室の室長、アラフィフの女性
- 青木くん ………… みんかぶFP相談室の助手、23歳男性
- Cさん ………… 本日の相談者、23歳 女性 独身
【Cさんのライフプラン】
- 結婚して専業主婦になって子供2人を育てる
(今はまだ相手を探している最中。今すぐ資産を運用したい。お金にお金を生んでほしい)
この前、ネットですごくいいことを知ったよ。投資ってね、お金がお金を生むんだって!
わたしでも投資ってできるのかな。わくわくしてきちゃった。
今は実家に住みながらアルバイトをしているけど、いつか結婚して子供が2人欲しいんだ。その時のためにお金だって貯めたいし!
結婚相手はまだこれから出会う予定なんだけど、投資は早く始めた方がいいって書いてあったから、ネットで調べてFPって人に相談することにしたよ。
どうしたらお金が増やせるのか、サクッと教えてもらおっと!
夢をみることは大切、でも……
「はーい! こんにちは。助手の青木です」
相談室のドアベルを鳴らすと、イケメンじゃないお兄さんが出てきた。
「こんにちは!」
「どうぞ、お待ちしておりました……Cさん!」
ん? なんだ??
「この相談室では、匿名で相談に乗らせていただいてるんです。とりあえずCさんとお呼びしますね」
かわいくない名前。ま、いっか。
「運用の相談をしたくて来ました。お金って、どうやったらたくさんお金を生むんですか?」
「………」
生温かい目で見てるよ。わたしに気があるのかな?
◇ ◇ ◇
お兄さんに案内されて相談室に入ると、中央にある応接セットにおばさんが座ってた。
「こんにちは。FPの深瀬です。早速ですが、ご相談に入る前にこちらのシートに記入してくださいね」
深瀬さんか。愛想ないな。年をとっても笑顔は大事だよ、おばちゃん!
まあ、いろいろ教えてくれるんだから大目に見てあげよっかな。
家計状況チェックシート?
難しい言葉がたくさん書いてあるけど、分かるところを埋めとけばいいや。
深瀬さんはシートをさっと見た後、話し始めた。
「結婚のご予定はいつなの?」
「えっとー、30歳までには!」
「……失礼ですけど、お相手は?」
「今、探し中でーす」
「………」
「あのさー。婚活パーティーにも行ってるしー、マッチングアプリもやってるんだけどー」
「………」
深瀬さんが無表情になった。いや、もともと無表情だったけど、さらに。片手で持ったファイルの上で指をトントンしながら、ずっと考えている。
このピリッとした雰囲気、知ってる……もしかして今から説教されちゃうの!?
乙女のピンチにお兄さん(青木くん?)が反応した。ソーサーの上のカップとスプーンをカタカタ鳴らしながらやって来ると、ティーポットからカップに紅茶を注ぎ始めた。青木くんってイケメンじゃないけど、優しい性格みたい。彼女いるのかなあ。
「い、いや」
「?」
「僕、彼女いるんで」
ギラギラした視線で見てしまったか。反省反省。
未来は不確実、だからこそ考えて備えよう
「夢があるのはとても素敵なことね。投資に興味があることも、とてもいいことだわ。でもね…」