第8回 最終回:家族がいるメリットって何ですか?
※ FP=ファイナンシャルプランナー。 ※「みんかぶFP相談室」は実在しません。本記事の個人名、固有名詞などは全てフィクションです。
自分の人生は自分で決めていくことができます。たとえ困難な状況が変わらなかったとしても。
「正解の人生」がなくなりつつある時代、ライフプランを立て、自分の望みを明確にすることが誰にとっても必要です。
一度こじらせてしまった関係も、自分のライフプランを持ってからパートナーと話し合ってみると、新しい可能性が見えてくるかもしれません。
【登場人物】
- 深瀬さん ………… みんかぶFP相談室の室長、アラフィフの女性
- 青木くん ………… みんかぶFP相談室の助手、23歳男性
- Fさん ………… 深瀬さんの元部下、本日の相談者、31歳女性 既婚
- Gさん ………… Fさんの夫
【Fさんのライフプラン】
- 離婚しなくても経済的自立を目指す
- 個人のライフプランを作る
【相談内容】
- 離婚する前にできることはありますか?
- 個人のキャリアや資産形成はどんなふうに考えたらいいですか?
深瀬さんは過去の離婚話や生活保護を受けたときの話、そしてわたしの夫(Gさん)との関係も包み隠さずに話してくれた。
それを聞いて、結婚する前からずっとモヤモヤしていた疑問がスッキリした。
やはり深瀬さんは信頼できる先輩だね。夫との関係はキレイに清算してた。
「実は喧嘩をしたとき、夫の口から深瀬さんの名前が出て……だから疑っていたんです、夫と深瀬さんのこと。会社を辞めてからもずっと連絡を取り合って、ひと月に一度、わたしに内緒で会っているんだって」
「全くの誤解よ。連絡先も知らないもの」
「そうですよね。とんでもない勘違いをしちゃった……すみませんでした」
怒りも疑いも自分だけの思い込みだった。迷惑かけちゃったな、と思いながらも今は自分のことだけ考えるワガママを許してもらおう。なんてったって、わたしはまだ、人生最大のピンチなのだ。
Fさんの個人的なライフプランは?
「さあ、今度は現状でのFさんの個人的なライフプランについて考えてみましょう」
と言いながら、深瀬さんは新しい書類を用意した。
「離婚をしてもしなくても自分自身が何を望むのかをハッキリさせて『自分軸を持つ』こと。これは1番目のステップよ。『夫婦の話し合い』はその次のステップね」
「わたしが望むこと、か……」
最近、夫の浮気のことで頭がいっぱいで、毎日、時間が溶けるように過ぎていた。自分が何をしたいか考える余裕なんてなかったと、改めて気付いた。
「フリーランスで得た収入は家計に入れているの?」
「自分名義の口座に入金しています。やっと月数万円単位でお仕事をもらえるようになってきたところなんです」
「じゃあ、今年Fさんが見込める収入額でシミュレーションをしてみましょう」
離婚のことは考えずに、自分の仕事のことだけ考えながらチェックシートに記入していく。月々8万円というささやかな収入は、今のピンチをどう解決してくれるんだろう? 楽しみだな。
ひと通り記入し終えたら、タイミングよく青木くんが2杯目のお茶を持って来てくれた。
「おいしい」
思わず声が出た。このお茶、なんとなく甘味があって緊張がほぐれていくな。青木くん、ありがとうございます。
【Fさんの個人財産チェックシート】
【理想のライフプラン】
「今は、Fさんの収入を家計に入れる必要がなく、Gさんの収入だけで生活できる状況ね。では、このお金を上手に振り分けてみましょう」
と言うと、深瀬さんは「4つのお金」について教えてくれた。
「4つの目的別に収入を振り分けておくと、ライフプランが叶いやすくなるの。具体的な振り分け金額は、こまめに見直すようにして、収入が増減したら表の金額も同じように変えてね。常に表が目に入るようにしておけば、目標が明確になって実現しやすくなるわ」
【Fさんへのアドバイス1】
4つの目的別に収入を振り分けるようにする。 1.使うお金 毎月使ってもいい金額を決める。 例)フリーランスの仕事のための経費や勉強代。ちょっとした楽しみに使う費用など 2. 貯めるお金 実現させたい目標のために貯める金額を決める。使う用途を明確に決めて、定期預金などで貯める。 例)個人事業主として独立するための費用。子供のライフイベントのための費用(教育費、成人式、結婚式)。海外旅行に行くための費用など 3. 増やすお金 個人の老後資金として資産形成をする金額を決める。10年以上の長い期間での運用を考えると安定した運用になる。 例)NISAでインデックス投資信託を積み立てる 4. 備えるお金 想定外の出来事に備えるために蓄えておく金額を決める。他の目的のお金とは別に預金口座を作ったり、生命保険に加入したりする。 例)病気やケガに備えて生命保険に加入する費用 |