第2回 生活の基盤、それは家計と健康
※ FP=ファイナンシャルプランナー。 ※「みんかぶFP相談室」は実在しません。本記事の個人名、固有名詞などは全てフィクションです。
「ライフプラン」という長期的な計画を立てることで、わたしたちは充実した人生を送ることが可能になります。
それでは、その長期的な計画を支える土台になるものはなんだと思いますか?
それはずばり、あなたの健康です。
健康の維持、つまり毎日の運動と食事に気を使うことは、一見お金のこと(ライフプラン)と関係ないように思えますが、あなたの生活の基盤となる大切な要素であり、その延長上にしか未来はありません!
今回は、ライフプランの土台の部分に注目しましょう。毎日の積み重ねがあなたの未来を作ります。
【登場人物】
- 深瀬さん ………… みんかぶFP相談室の室長、アラフィフの女性
- 青木くん ………… みんかぶFP相談室の助手、23歳男性
- Bさん ………… 本日の相談者、35歳 男性 独身
【Bさんのライフプラン】
- 特になし。
(将来について考えてなかった。収入は多いのに、資産がマイナスになっている)
オヤジが突然倒れた、という連絡を受けたのは2週間前のこと。病名は脳梗塞だった。
元気だったから安心していたのに。
病室で見たオヤジは、急に痩せてしまい元気がなかった。
ずっと、オヤジの背中を見て仕事をしてきたから、オヤジの弱った姿を見てオレは動揺した。
去年定年を迎え、これから旅行やゴルフを楽しもうという矢先の出来事だった。
「オレも働けなくなる時が来るんだ……」
自分が年を重ねて老いていくことが、急に現実味を帯びてきた。
オレはエキストラなのか?
今日は、上司の紹介で予約を取っていたFPに相談に来た。
上司が「将来のことを考えるのも仕事のうちだ」と言うから仕方なく予約を取ったのだが、正直、FPと会っても何も相談することがないし、相談したからといって何も変わらないだろう。なぜならオレは30代にしてはかなり稼いでいるし、できるオトコだからだ。
そう思いながら部屋のベルを鳴らした。
「はーい!」という男の声がした後、6秒後にドアが開いた。
「こんにちは。助手の青木です。どうぞ、お待ちしておりました……Bさん!」
「私はやま……」
「Bさんと呼ばせてもらいますね! ここでは匿名で相談に乗っているんです」
名前を名乗ろうとしたら、なんともお気楽に生きていそうな若い男に、ドラマの台本に出てくるエキストラみたいな特徴のないニックネームを付けられた。
なんだ、ここは? FPって匿名で話すものなのか? しかもBはAの次だから今日は2人目? あ、そうだ、オレもニックネームを付け返してやれ。んんん、お気楽小僧でどうだろう―――
とどうでもいいことを考えている間に、オレはドアから少し離れた場所にある応接ソファに案内された。
そこには顔の造作よりまず着ている服の派手さに目が行くような、どこにでもいる50歳前後の女性が先に座っていた。しらっとした表情で、客を出迎えるときに振りまく愛想や笑顔のカケラもない。
「こんにちは。FPの深瀬です。さっそくですが、ご相談に入る前にこちらのシートに記入してくださいね」
要件から先に話し出すなんて不躾なヤツだな。営業なら0点だ。こんな接客態度では、たいていの客は気分を害し「こんなFPの言うことなど聞くものか」と心を閉ざしてしまうに違いない。そうだ、コイツにもニックネームを付けてやろう。大阪のおばちゃんが着ているようなトラ柄の服を着ているから「FP.オカン」でいいや―――
そう思ってはみたものの、昼下がりの妙にぬくぬくとした雰囲気にのまれて、オレは家計状況チェックシートに文字を記入していった。
家族構成 | 年齢 | 職業 | その他 |
本人 | 35歳 | 不動産営業 | |
収入 | 給与 | 月平均 | 500,000円 | |
ボーナス | 年間 | 1,130,000円 | ||
計 | ||||
支出 | 日常生活費 | 450,000円 | ||
内、住居費 (賃貸マンション) | 200,000円 | |||
ローン | 車 | 25,000円 | ボーナス払い | |
iDeCo | 積み立て | 20,000円 | ||
計 | 495,000円 | |||
収支計 | 収入−支出 (ボーナス別) | 5,000円 | 784,000円 |
資産 | 負債 | ||
現預金 | 500,000円 | ローン | 4,700,000円(車) |
有価証券 | 840,000円 (iDeCo積み立て) | ||
不動産 | |||
計 | 1,340,000円 | 計 | 4,700,000円(車) |
資産−負債 | △3,360,000円 |
ライフプランはありません
【理想のライフプラン】と書かれた紙には何も記入しなかった。
「特に将来やりたいこともありませんね。現状の生活で満足しています……」
FP.オカンは、ライフプランが空白であることには触れずにこう訊いてきた。