「ドル建て終身保険」が今、絶好のチャンスなワケ…長期の資産形成に最も適している
「米ドル」を活用した資産運用を勧める老後資産形成コンサルタントの浦井麻美さん。特に効率よく運用するためには「米ドル建て終身保険」と「米国株式」または「米国ETF」を組み合わせる「コア・サテライト戦略」が有効だと話す。浦井さんが提唱する「コア・サテライト戦略」とはーー。 全4回中の3回目。
※本稿は浦井麻美著『老後資産はドルで増やしなさい 毎月3万円で1000万円貯まる方法』(かんき出版)から抜粋・再編集したものです。
第1回:9割の人が知らない「iDeCoの落とし穴」 …リターンが大幅に悪化する恐れ
第2回:1ドル=150円で生活こう変わる! やっぱり資産運用は世界最強の通貨「米ドル」一択な理由
第4回:究極のほったらかし投資「ドル建て終身保険」の凄まじい威力! 50歳から預けてみたら…
ポートフォリオを分散させる「コア・サテライト戦略」
私はこれからの長期的な資産運用について、米ドル建て終身保険と米国株式や米国ETFの組み合わせが最良だと考えています。この2つをどう組み合わせればよいのか。これについては「コア・サテライト戦略」の考え方を用いると良いでしょう。
コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオをコア(中核)とサテライト(非中核)とに分けて投資するという戦略です。たとえば株式投資のコア・サテライト戦略であれば、コアの部分は銘柄分散が十分に効いていて、かつ市場平均的な値動きをするインデックスファンドにして、サテライト部分にはハイリスク・ハイリターン狙いで個別銘柄に投資します。
米ドル建て終身保険+米国株式の組み合わせ運用については、米ドル建て終身保険をコア部分に、米国株式や米国ETFをサテライト部分にして運用します。両者の「配分比率」ですが、基本的にサテライト部分の比率が高まるほど、ポートフォリオの性質はハイリスク・ハイリターン型になっていきます。
したがってポートフォリオを、より大きく成長できるようにしたいのであれば、米国株式の投資比率を高めるわけですが、基本的にコア・サテライト戦略は、守りと攻めを両立させるのが狙いですから、サテライトの比率は最大でも50%以下にとどめるべきでしょう。
資産運用で長続きさせるコツは、面倒な手間をできるだけ排除すること。大事なのは、コアとサテライトを分けて、マーケットが大きく変動したときでもストレスなく資産形成を続けることにあるのです。
米ドル建ての保険で為替差益をゲット
では、私が長期の資産形成に最も適していると考えている米ドル建て終身保険について説明していきます。日本人は一般的に生命保険になじみがあります。生命保険文化センターの調査によると、令和元年度における日本人の生命保険加入率は、男性が81.1%、女性が82.9%。大半の人が何かしら生命保険に加入しているということです。
ただ、恐らく日本人の多くが加入しているのは、円建ての生命保険でしょう。つまり円で保険料を納めて、保険が満期を迎えたり、途中で解約したり、あるいは不幸にして被保険者が死亡したりした場合の保険金ならびに解約返戻金が円建てで支払われるというタイプです。これに対して米ドル建ての生命保険は、保険商品としての仕組みは日本の生命保険会社が扱っているものとほぼ同じですが、保険料の払い込みが米ドル建てであると同時に、保険金や解約返戻金も米ドル建てで支払われます。
ポイントは米ドルで保険料を払い込み、保険金や解約返戻金が米ドル建てで支払われるという点です。「米ドルで保険料を払い込んだり、米ドルで保険金や解約返戻金が支払われたりするなんて面倒くさい!」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。その時々のドル円レートで、保険料や保険金、解約返戻金は円に換算されます。これによって、ドル円為替レートが「米ドル高・円安」になればなるほど、受け取る保険金や解約返戻金が有利になるのです。
なぜなら、為替差益が得られるからです。基本的に米ドル建て終身保険は保険料を月払いで納めていくのですが、ここでは仮に全期前納にしたとしましょう。「全期前納」とは、全保険期間分の保険料を保険会社に預けるような形で1回で支払う方法です。途中で保険事故が発生したときや解約したときに、まだ経過していない未経過分の保険料が返還される仕組みです。
全期前納保険料が1万7500米ドルだとしましょう。保険料払い込み時の米ドル/円のレートが1米ドル=107円だとすると、払い込む保険料は187万2500円になります。この保険に12年間加入した後に解約したところ、1万8500米ドルの解約返戻金を受け取ることができました。そして、解約時の米ドル/円が1米ドル=120円だったら、解約時に受け取れる円建ての解約返戻金は222万円になります。
もし保険料を払い込んだときと同じ1米ドル=107円でしたら、解約返戻金は197万9500円ですから、払い込んだときと解約したときのドル円レートが107円と変わらなくても、払い込み保険料との差額10万7000円が収益になります。
これが米ドル建て終身保険の最大の魅力です。ドル建て終身保険の場合、円建て終身保険と比べて予定利率が高いので解約返戻金は放っておけばおくほど増えていくのです。長期的に米ドル高・円安が進むという前提で、有効な資産形成を行おうとした場合、これが大きな武器になります。
好きな株式を買えばいい
私が米ドルへの投資が有望であると考えているのと同様、米国株式の未来にも非常に期待するところがあります。なによりも米ドルの資産を持つことができます。アメリカは世界でも最強といっていいほどの経済力と軍事力を持ち、基軸通貨国であり、先進国のリーダーであり、安心して投資できるだけの法的な整備もなされている国です。
さらに言えば、人口がまだまだ増える余地があり、日本のような超高齢社会になりにくい構造を持っています。なぜなら他国から若い人が次々とアメリカを目指して移り住んでいるからです。しかも、優秀な頭脳がたくさん集まっています。それは「世界大学ランキング」を見ても一目瞭然。最新のランキングを見ると、ベスト10のうち5校がアメリカの大学です。そういう国の株式市場が弱いはずがありません。
え? 何を買えばいいかわからない? 実は皆さんは、いくつもアメリカの会社をご存じのはずです。買い物でお世話になっているアマゾン・ドット・コム、調べ物をするときによく利用している検索エンジンはグーグル(会社名はアルファベット)、スマホやタブレットはアップル、自宅で映画やドラマを見るためにネットフリックスに加入している人もいるでしょう。
化粧品や衛生用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、世界最大のヘルスケア企業といえばジョンソン・エンド・ジョンソン、清涼飲料水のトップブランドであるコカ・コーラ、今回のコロナ禍で巣ごもり銘柄として注目されているドミノ・ピザ、リモート会議で一躍急成長したZoom(ズーム)、スポーツ用品のナイキ、といったように挙げればキリがありません。
そのくらいアメリカ企業は、皆さんの日常生活に浸透しているのです。ですので、まずは皆さんが知っている、聞いたことがあるアメリカの企業に投資してみると良いでしょう。しかも、アメリカの株式は1株単位で買うことができます。なかには驚くような高値の銘柄もありますが、1株単位であれば、大半の会社の株式は比較的安価に買うことが可能です。興味がある人はインターネット証券会社に口座を開いて、どんな会社の株式を売買できるのか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
初心者にもお勧めな米国ETF
ETF(Exchange Traded Fund:証券取引所に上場されている投資信託)の魅力について見てみましょう。米国の投資信託は情報が少なく、投資信託を売買できるのは市場が終わってからの1日に1回です。そして運用会社がその投資信託を運用するため、コストが高めです。一方、ETFは市場が開いているどの時間でも売買することができ、指数に連動させるための銘柄調査等のコストがかからないので信託報酬が安い(コストも抑えられている)のが特徴です。
たとえばどんなETFがあるのかいくつか見てみましょう。
QQQ……これはナスダック100指数に連動しておりIT関連銘柄47%、通信サービスと消費財が19%ずつ、アップル、アマゾン、マイクロソフトで36%を構成しているETFです。(「米国会社四季報2020年秋冬号」による)
SPY……米主要指標であるS&P500指数に連動する巨大なETFで、GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)が構成銘柄の上位を独占しています。
このように1つのETFでその業種に関連する複数の銘柄に投資ができるような魅力的な投資対象のものなのです。これもコア・サテライト戦略にぜひ入れてみたい投資対象です。またSPYでしたら、円建てで上場しているので、日本時間で為替を加味した価格で1株単位から買えます。ETFはインデックス型の上場投資信託なので、基本的に運用者の巧拙がリターンに現れません。あくまでも市場平均のリターンになります。個別銘柄を探すのが苦手な人は、ETFを購入するのもひとつの手です。