億万長者が持つ「趣味」とは…【統計】金融教育を受ければ「年収も資産も多くなる」

 2020年に株式会社野村総合研究所が発表した調査によると、金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」が1億円を超える世帯は約2.5%。遠い世界の話と感じる人も少なくないだろうが、40歳で資産1億円を達成した「たぱぞう」さんは、「1億円をつくることはそれほど難しくない」と話す。たぱぞうさんが歩んだ道筋と、子どもに伝えたい「億万長者」になるための考え方とは――。 

※本稿はたぱぞう著『僕が子どもに教えている1億円のつくり方』(KADOKAWA)から抜粋・再編集したものです。 

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「億万長者」は誰でもなれる 

 私が資産形成に興味を持って投資を始めたのは20代の前半のことです。大学卒業後に通信系の会社で約1年間働いた後、人材開発系の組織に転職し、最初にもらった給料は、全額株式の購入資金としました。当時は、倹約で投資のタネ銭を作り、それをひたすら株式投資に充てていました。 

 当初の投資対象は日本株でしたが、30歳で運用資産が1000万円に到達した後の2010年ごろには米国株式投資に切り替えました。米国企業の収益性の高さや成長性などのさまざまな要因から、米国株式投資こそが資産形成への近道だという確信があったからです。確信は現実になり、資産は6000万〜7000万円と順調に増加しました。 

 米国集中投資という軸は変えずに、10~20銘柄に分散しつつETF(上場投資信託)を買うことで、集中投資から分散投資へ舵を切っていきました。2017年には資産1億円に到達しました。私は40歳前後で「億万長者」になったのです。その後、資産はさらに増え、2019年3月にはセミリタイアしました。資産を作ったことで、資産がお金を生むようになり、セミリタイアという選択が可能になったのです。 

 これはあくまでも私の例にすぎません。しかし、誰にでも達成可能なことなのです。とくに人生の残り時間がたっぷりあるお子さんであれば、1億円くらいは十分達成可能な “手の届く夢” です。子育て世代は後回しにしがちなことかもしれませんが、お金のことは大人になる前に知っておいた方がいいです。まずお子さんに、この2点を伝えてください。 

  • 今すぐたくさんのお金が必要なわけではないけれど、いずれお金は必要になる
  • 億万長者への近道は時間をかけること 

 「近道は時間をかけること」なのは矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、早くスタートした方が余裕を持って取り組めるということです。夏休みの宿題と同じだと伝えましょう。 

金融リテラシーは高収入に結び付く 

 「金融広報中央委員会」は2016年から3年に1度「金融リテラシー調査」を実施しています。18〜79歳の個人の金融リテラシーの現状把握をする大規模調査です。2022年の調査を見ると、高リテラシー層と低リテラシー層を比較するのは極端かもしれませんが、お金の知識や判断力が高い人の方が年収も金融資産も多いという結果が出ています。 

 そして、高リテラシー層は家庭で金融教育を受けたと認識している人の割合が高いです。つまり親などから金融教育を受けたと認識している人の方が、年収も金融資産も多いと言えます。残念ながら、日本では学校教育における金融教育が乏しいです。2022年度から高校などの授業に盛り込まれつつあるものの発展途上と言えます。 

 ですから、現時点では家庭での教育が金融リテラシーを左右する結果になっていますし、今後しばらくそのような状況が続くと思われます。私自身、資産家の生まれではなく普通のサラリーマン家庭に生まれました。資産を相続できる環境を持つ人がまぶしく見えたこともあります。 

 ただ、それをまぶしく眺めていても何も変わりません。私は、社会の構造を理解したうえで適切な行動を取るように注力した人間です。周囲に期待するより自分を変えるための行動を起こした方が建設的と考えるからです。 

 行動を起こすといっても、それほど難しいことではありません。資産形成はまずは親が実践しましょう。そしてそのプロセスをお子さんに伝えていきましょう。 

億万長者になるために必要な覚悟 

 「億万長者」になるためには、必要なことが四つあります。一つ目は、明確な目標を持つことです。たとえば、「1億円をつくり億万長者になるんだ!」という目標です。二つ目は誘惑を断ち切って、自分がやるべきことに集中することです。世の中には誘惑が多いですね。しかし、億万長者になるためには、時にそのような誘惑を断ち切る勇気が必要です。 

 三つめは、信念を持つことです。他人と同じことをしていても億万長者にはなれません。他人と違う道を進んでいても、これが私の歩む道!と信じることが大事です。そして、自分を信じるために大事なことが、正しい知識を持つことです。これが四つ目です。 

 お金が果たす役割の一つは、モノや(やりたい)コトとの交換手段です。新しいデジタルデバイスを買う。旅に出る。おいしいお酒を飲む。これらはお金があればすべて解決できます。だけど、自分が欲しいものを全部買って、やりたいコトをすべて実現させていたら、お金はいくらあっても足りません。お金持ちは本当に必要なもの、必要なコトにしかお金は使わないのです。 

 「欲しいもの(コト)」と「必要なもの(コト)」の違いは何でしょうか。実は答えは難しいです。「欲しいもの(コト)」と「必要なもの(コト)」は、あなたとあなたの兄弟や友達とは同じではないからです。それは自分で判断しなくてはいけません。そのような状況に置かれたときのアドバイスも四つあります。 

 一つ目は時間をおいてみることです。1カ月経っても1カ月前と気持ちが変わらないのなら、今のあなたに必要なものである可能性が高いと言えるでしょう。だけど、1カ月後にそんなに思いが強くなかったら、今お金を出す必要がないということだと思います。二つ目は悩んだら買わないことです。「どうしようか」と迷う状態は、少なくとも今「必要」ではないということです。 

 三つ目は代わりがあるかを考えることです。すでに持っているものなどで同じ役目が果たせるかを考えてみてください。借りられるかも考えてみましょう。四つ目は優先順位をつけることです。これはお金の使い方に限らず、仕事や家事でも重要なことですね。何を優先させたいか、優先させるべきかを自分の中で明らかにしておくことで、あなたの中で迷いが減ります。 

趣味は「貯金」でいいじゃないか

 皆さんの趣味は何でしょうか? 読書、スポーツ観戦、映画鑑賞、音楽鑑賞、ゲーム、庭いじりなど趣味になりそうなものが今はたくさんありますね。そんな趣味の片隅でいいので、「貯金」を趣味の一つにぜひ入れてほしいです。どんな形でも構いません。たとえば、毎日財布の中から100円を貯金箱に入れるだけでも構いません。 

 「貯金が趣味なんてさみしい」と思うかもしれません。だけど、思い出してください。億万長者になるために必要なことは「信念を持つ」ことでした。人よりも早くコツコツとお金を貯めることが億万長者への近道です。一獲千金なんてないと思った方がいいのです。ですから、億万長者になるためには周りがどう思うかを気にしてはいけません。あなたの周りにいちいち話す必要はありませんが、こっそり貯金を趣味にできたら、億万長者への道のりは少し短くなります。 

 モーガン・ハウセル氏はベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(ダイヤモンド社刊)の中で、「目的のない貯金をすれば、選択肢と柔軟性が手に入る。貯金があれば、待つべきときはじっと待てる。チャンスが来たら飛びつくこともできる。考える時間もつくれる。自分の意思で人生を軌道修正できるようになる」と言っています。 

 貯金を趣味にすることは、億万長者への道のりを短くするだけでなく、未来の可能性を広げることでもあるのだと改めて認識してほしいです。もう一つこの趣味にはいい点があります。誰でもいつでもすぐ始められることです。仲間も不要です。目標を立てたらマイペースでできます。お金もかかりません、むしろお金が貯まります。いい趣味だと思いませんか?

たぱぞう著『僕が子どもに教えている1億円のつくり方』(KADOKAWA)

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この記事の著者
たぱぞう

2000年より投資を始め、2010年以降、米国株投資を中心に行っている。2016年には自らの投資観をブログにて書き始め、現在平均月間100万PVを記録。「誰でもできる投資術」「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。2019年刊の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』がベストセラーに。21年8月に開設したYouTubeチャンネルは現在登録者21万人

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