バフェット「金融は不勉強が許されぬ世界だ」…なぜ無名経営者銘柄はリスクが低いのか

給料が上がらない中、インフレだけが進んでいる日本。「もう投資でお金を増やすしかない!」。そう考える投資初心者に、経営コンサルタントの小宮一慶さんは「投資は楽して儲かると考えるのは大間違い」と警鐘を鳴らす。投資初心者が持つべき心構えと、選ぶべき投資戦略とは――。
個別銘柄は「長期的に需要がある会社」を選べ
今後、日本の国力が落ちていくことはまず間違いないでしょう。さらなる円安が進む可能性も十分にある中、アメリカを始めとする海外の企業の株を買おうと考えている人も少なくないかもしれません。ただ、日本に住む私たちが海外の企業の情報を集めて分析するのは難しいですよね。投資の大前提として、自分が理解できない企業の株を買うべきではありません。
経営コンサルタントとして企業分析に自信のある私でも、アメリカの株は個別銘柄ではなくS&P500やNYダウのインデックスファンドを選んでいます。手数料も安いですし、自分で分析しなくてもある程度のパフォーマンスが期待できますからね。
たとえGAFAであっても、将来を楽観視はできません。それどころか、もうピークアウトしたのではないかとすら考えています。その理由の一つは個人情報保護の締め付けが厳しくなったこと。GAFAのうち、特にグーグルやフェイスブックのビジネスモデルでは広告収入が大きく収益に影響します。今後、個人情報の扱いに厳しい制限がかかってくるとなると、彼らがこれまで打ち出していたターゲティング広告の継続が難しくなります。
もう一つは独占禁止法(反トラスト法)による締め付けです。バイデン米大統領は2021年、市場の競争を促すため、大手企業による利益の独占を厳しく取り締まる大統領令に署名しました。これにより、GAFAへの規制も厳しくなるとみられています。
アメリカは新しい企業が次々に出てくる国です。20年前といまの企業の時価総額ランキングを比較すると、企業の顔ぶれが大きく変わっていることがわかります。ならば20年後を考えたときにも、新しい産業が興隆し、いま存在しない企業がランキングに名を連ねていると予測するのが自然です。いずれにしても、日本企業を分析するよりも米国などの外国企業の分析は難しいという前提は理解しておく必要があるでしょう。