3か月の勉強で取得できる簿記3級が第一歩!月100万円の売上を目指せる「社外CFO」のススメ

中小専属CFO養成アカデミー 主宰社外CFO・財務コンサルタントの長友大典氏は、報酬とやりがいを高める仕事として「社外CFO(最高財務責任者)」という働き方を勧める。しかしそもそも、社外CFOとは何なのか?どうやったらなれるのか?その一歩を踏み出すための方法について、長友氏が解説する。全3回中の1回目。
※本稿は長友大典著『社外CFOになって、たちまち年収1200万円を稼ぐ方法』(すばる舎)から抜粋、再構成したものです。
第2回:まずは名刺に「社外CFO」と書いてみよう!高単価ゲットまでの3ステップ
第3回:「高単価」は顧客のため!「月3万円」と「月50万円」の契約を取る人の決定的な違い
目次
「経理がひとり」の中小企業が狙い目
私は、「中小企業に特化したCFO」という働き方をお勧めしています。すると、「そんなに多くの会社が、本当にCFOなんて必要としているんですか?」といった質問を受けることがあります。
結論から言えば、すべての会社ではありませんが、かなり多くの会社に潜在的なニーズがあります。しかも、それは一部の特別な業種や規模の会社に限られたことではなく、我々が日常的に接しているような、ごくふつうの中小企業での話です。
その根拠となるデータを紹介します。日本には約336万社の中小企業が存在しています。
少し古いのですが、「平成26年度 中小企業における会計の実態調査」という資料では、そのうち経理担当者が「1名」の企業が58.2%、「ゼロ」の企業が12.2%もあることが明らかになっています。つまるところ、実に約70.4%の会社では「経理担当者がひとり以下」しかいないということです。
この割合を約336万社に当てはめると、約236万社が経理担当ひとり以下の体制で業務を回していることになります。想像以上に多くの企業が、ギリギリの体制でやり繰りしているわけです。
しかも、これらの企業における「経理1名」の実態は、多くの場合、請求書の発行、現金精算、仕訳入力といった日常業務で手いっぱいになっています。予算管理や資金繰りへの対応といった財務レベルのことまでは、まったく手がまわっていないケースがほとんどでしょう。もっと言えば、経理が1名どころか、事務員が経理を兼務しているような状況も珍しくありません。
当然のことながら、社長とすれば「もっと数字にもとづいた意思決定をしたい」とか「もっと自分の判断に自信を持ちたい」と思うでしょう。しかし、社内には相談できる相手が誰もいないというのが現実なのです。
経営者の孤独はAIでは埋められない
「この設備投資、本当にやって大丈夫かな?」
「新しい人材を雇うと、月いくらくらい固定費が増えるのかな?」
「借入してでも、このチャンスをつかむべきか?」
「資金がショートしないか?いつまで大丈夫なのか?」
このような意思決定における孤独が、中小企業の社長にとっては一番堪えます。あざといように聞こえるかもしれませんが、その孤独に入り込める存在こそが、まさに社外CFOです。多くの社長は、こういった悩みや疑問を数字に落とし込んで一緒に考えてくれる“右腕”を強烈に欲しているからです。
もちろん、すべての企業がCFOを必要としているわけではありませんが、「経理がひとり以下」の企業が236万社もあるということは、社長が判断で悩み、誰にも相談できていない会社が山のようにあるということです。
しかも、先に紹介したように「役員報酬」や「交際費」、「資金繰り」などは、社員にはなかなか相談しにくい内容です。だからこそ、社外という第三者の立場から、冷静かつ安心感を持って話を聞ける相手が求められています。
さらに言えば、今後AI化やDX化が進んだとしても、「経営判断の相談相手」までをデジタルに置き換えることはできません。数字は出せても、その数字から「何を読み取るか?」「どう判断するか?」、ましてや「銀行との関係をいかに構築するか?」といったことは、生身の人間にしか対応できません。社外CFOというポジションは、これからますます求められる存在になるでしょう。
「請求書発行や会計入力をしてくれる人はいるけれど、経営の相談はできない」という声が、いままさに日本全国の社長から聞こえてきます。これは決して大げさな話ではなく、社外CFOという働き方には、236万社もの潜在需要が存在しているのです。
非常に魅力的なビジネスチャンスが、みなさんの目の前に広がっています。
「簿記3級」程度の知識がスタートライン
では、そうした社外CFOのニーズに応えるには、どれほどの専門性や経験が必要となるでしょうか?
結論から言えば、実務経験がなくても、日商簿記3級程度の基礎知識さえあれば、十分にスタートラインに立てます。実務を行っていくうえでは、そこに本書で後述する財務のスキルを追加することが前提となりますが、最初の一歩は簿記3級レベルで十分です。
私自身も、かつては簿記の資格はもちろん、経理職としての勤務経験すらありませんでした。それでも社外CFOとして活動を始められたのは、最低限の会計の基礎だけは押さえていたからです。
と言っても、特別な勉強をしたわけではありません。最初は、自社の会社の会計入力を試しにやってみることからスタートしました。しかも、過去に税理士が入力した仕訳を見ながら、「なるほど、こうやって処理するのか」と感覚的に理解していった程度です。
試しに仕訳を入力し、わからないことは都度、税理士に確認していました。「この仕訳で合っていますか?」と聞くだけで、ひとつずつ理解が深まっていきました。
ここで大切なのは、社外CFOに求められているのは“会計処理のプロであること”ではない、という点です。
もちろん会計の知識もあればあるほどよいのですが、我々の役割は、社長と一緒に考えて、社長の未来への意思決定を支援することであって、複雑な税務処理や会計監査を行うことではありません。だからこそ、最初から完璧なスキルを求める必要はなく、簿記3級レベルの知識があれば、財務の世界への入り口としては十分なのです。
「次の一手」は簿記3級レベルでも打てる
では、日商簿記3級とはどの程度のレベルかと言うと、一般的には「合格に必要な学習時間はおよそ100時間」と言われています。1日1時間の学習を3か月ほど続ければ、十分に合格圏内に入る計算です。
また、その内容も決して難しいものではありません。
・複式簿記の基本構造(借方と貸方)
・基本的な会計用語の理解
・現金や売掛金などの仕訳や帳簿のルール
・貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の構造
このような基礎が頭に入っていれば、決算書を読む際にも「なぜ、この数字がこうなっているのか」が理解できるようになります。
そして、そのような基礎的な理解があればこそ、社長の「次の一手」を考える際に、適切な財務的視点から提案できるのです。
たとえば、「いま、新しい人材を採用するべきか?」という相談を受けたとします。そのときに「固定費がどれだけ増えて、利益率にどれだけ影響するか」を踏まえたうえで社長に提案ができるのは、仕訳や帳簿の意味をある程度理解しているからです。
実務経験がなくてもCFOにはなれる
逆に、仕訳や会計知識がまったくなければ、こうした数字にもとづいた経営判断のサポートはできません。そのため、簿記3級程度の理解は「最低限の基礎知識」として不可欠なのです。
とは言え、あくまで“最低限”です。専門家レベルを求める必要はありません。
実務に入ってから必要に応じて覚えることもできますし、現場で見る仕訳のパターンはある程度限られているため、繰り返し見ていくうちに自然と慣れていきます。
私自身、CFOとして実務を進めながら帳簿や決算書を見続けることで、数字の読み方や流れが自然に理解できるようになっていきました。
大事なのは、実際に見て、触れて、ときに質問したりすること。そうした行為を積み重ねていくことで、実務経験がなくても、確実に“読めるCFO”になれます。
また、仕訳や税務に関して判断が難しい場面では、顧問税理士に確認すればよいのです。
「この処理で合っているか」
「この経費はどう扱えばよいか」
こういった実務的な疑問は、外部の専門家の力を借りて解決すればいい。社外CFOがすべてをひとりで抱える必要はありません。重要なのは、社長のビジョンを達成するために必要な判断材料を整理してあげることです。
このように、3か月で学べる簿記3級レベルの知識があれば、社外CFOとしての第一歩を踏み出す準備は整います。特別な資格や実務経験がないことを理由にあきらめる必要はありません。私自身が、その証拠です。
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「社外CFOになることはそこまで難しくない」と話す長友氏。一方で、財務知識を勉強した後、どうやって仕事を受注していけばいいのか。第2回では、経営者に関心を持ってもらうためのシンプルな方法と、単価をどうやって高めていくかのステップについて、紹介する。
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