まずは名刺に「社外CFO」と書いてみよう!高単価ゲットまでの3ステップ

中小専属CFO養成アカデミー 主宰社外CFO・財務コンサルタントの長友大典氏が勧めるのが、「社外CFO(最高財務責任者)」という働き方だ。しかし、一体どうやって仕事を受注すればいいのか?受注の方法から単価の高め方まで、長友氏が語る。全3回中の2回目。
※本稿は長友大典著『社外CFOになって、たちまち年収1200万円を稼ぐ方法』(すばる舎)から抜粋、再構成したものです。
第1回:3か月の勉強で取得できる簿記3級が第一歩!月100万円の売上を目指せる「社外CFO」のススメ
第3回:「高単価」は顧客のため!「月3万円」と「月50万円」の契約を取る人の決定的な違い
目次
威力を発揮するのは「名刺」
「社外CFOという働き方に興味があるけれど、本当に私にできるのだろうか?」
そう思われている方も多いでしょう。しかし、安心してください。特別なスキルや難しい資格がなくても、あなたがすぐに社外CFOとして“最初の1件”を獲得できる“具体的な最初の一歩”を紹介していきます。
最初にお伝えするのは、ある特定の状況において非常に効果的な方法です。その「特定の状況」とは、経営上のお金について相談できる相手を、すでに探している社長と出会ったときのことです。
具体的には、
「これから売上を伸ばすために営業に専念したいが、将来の資金面が心配で、任せられる人を探している」
「投資の判断や銀行との交渉をどう進めればいいのかわからないので、誰か代わりにやってくれないか」
こういった状況を指します。
こういった悩みを抱えている社長は想像以上に多くいます。あなたの身近にも、同じように「誰か信頼できる相談相手がいないか」と感じている経営者がいるはずです。ところが、社内にはそうした役割を任せられる人がなかなかいません。だからこそ、社外に信頼できる相談相手を強く求めるのです。
そんな社長と初めて出会ったときに威力を発揮するのが、実はあなたの『名刺』です。「名刺でそんなに変化があるの?」と思うかもしれませんが、実際に、すでに相談相手を探している社長が見ると驚くほどの効果を発揮します。
「社外CFOとは何か」を語れば経営者は関心を持つ
具体的な方法はシンプルです。名刺の裏面に「社外CFO」と入れるだけです。これだけで、多くの社長が興味を持ち、「社外CFOって、具体的には何をしてくれるの?」と質問をしてくれます。
名刺交換だけで相手がこのように興味を示してくれる状況はなかなかありません。ただ、偶然そのような社長に出会えた場合には、向こうから積極的に質問をしてきてくれます。営業やセールスの経験がない方でも、すぐに実行できる戦略でしょう。
私自身、この方法を初めて試したときには、予想以上に質問が多くて驚きました。出会う社長の半数以上の方から「社外CFOってなんですか?」と質問を受け、自然と具体的な経営の悩みを相談されるようになったのです。
ここで重要なのは、社長から質問を受けた際の答え方です。
難しい説明や専門用語は一切不要。ポイントは「うちには税理士がいるから」と言われないための答え方です。多くの社長は、「会計」「税務」と「財務」の違いを知らず、すべて“お金のこと”でひと括りにしています。だからこそ、あなたがこの違いを明確に伝える必要があります。
「会計と税務は、すでに起きたことに対して処理をする仕事です。それに対して財務は、未来のお金のやり取り、具体的には、“これに投資してよいか?”“お金は足りるか?”“資金調達が必要か?”こういった問いを数字の視点から一緒に考えることです」
このようにはっきりと伝えられれば、まずは合格点です。実際にお金を任せられる人を探している社長と出会ったときには、このシンプルな説明をするだけで、「ぜひ、詳しく話を聞かせてほしい」とか「実際にお願いできないか」と関心を示してくれます。
それほど多くの社長が「社外CFO」という存在を知らず、お金の問題で途方に暮れている状態なのです。
私の講座を受講した方にも、同じ経験をした方が多くいます。税理士や税理士補助をしている方が、名刺に「税理士」や「税理士事務所」と書くのをやめて、「社外CFO」と書いただけで、初対面の社長から具体的な経営相談を受け、その場で契約に至ったという事例もありました。
年商の規模で報酬を変えていく
もちろん、名刺を使ったこの方法だけで、すべての社長と“即契約”になるわけではありません。すぐに結果につながるのは、「すでに悩みが顕在化している社長」だけです。
それ以外の多くのケースでは、もう少し丁寧なステップを踏む必要があります。
社外CFOとして活動を始めるにあたって、「いくらで提案すればいいのか?」という悩みにぶつかる方が大勢います。結論から言うと、私は本来、最初から高単価で提案することをお勧めしています。価格の出し方ひとつで、受注できる確率が上がったり、販売できる商品の幅が広がったりするからです。
とは言え、「いきなりそんな金額を提示するのは怖い」「まずは経験を積んでからにしたい」という方々も当然いるはずです。特に営業が初めての方、苦手意識がある方にとっては、高単価での提案は不安を感じるものでしょう。ここでは、そういった方々に向けて、徐々にステップを踏んで単価を上げていく方法をお伝えします。
私自身、これまで何百人もの受講生と接してきましたが、「まずは低単価から始めて自信と実績を積み、そのあとで高単価へ移行する」という流れをたどる方は少なくありません。ここでは企業の規模を基準に3つのステップで単価を分ける方法を紹介しますから、あなたがスタートしやすいステップから始めてください。
3つのステップの基準は、ズバリ「会社の年商規模」です。
会社の規模が大きくなるにつれて、財務に関する課題の種類やボリュームが変わるため、報酬設定もそれに応じて段階的に上げていくのが自然です。
「月7万円」から「月50万円」までのステップ
第1ステップは、年商8000万円までの企業を対象とし、月額7万円を目安に提案します。この規模の会社では、銀行からの借入がほとんどなく、借入するとしても年に1回あるかどうかです。むしろ社内の数字の整理や、社長の相談相手としての役割が中心となるでしょう。仕訳数もそこまで多くないため、数字の可視化や資金繰りのシンプルな整備だけでも、大きな価値を感じてもらえます。
第2ステップは、年商8000万~1億5000万円までの企業を対象とし、月額15万円程度の提案をします。この段階の企業では、売上が伸びてきたことで銀行との取引が増え、1行だけではなく複数の銀行ともかかわりを持ち始めます。また、商品点数も増え、取引先や従業員も増えてくるため、経営における意思決定が複雑になり、社長の相談相手としての役割がより重要になります。未来を見据えた資金計画や、投資タイミングの判断といったアドバイスが必要とされるようになります。
第3ステップは、年商1億5000万円以上の企業を対象に、月額30万~50万円の報酬で提案をしていきます。この規模になると、銀行との取引は毎年のように発生し、場合によっては定期的な資金調達が必要になります。販売先・仕入先の数も大幅に増え、従業員数も多くなっているため、人件費や設備投資についての中長期的な判断を求められる場面が多くなります。
こうした経営判断に対して、数字をもとにアドバイスし、社長と一緒に戦略を組み立てる、まさに社外CFOが本格的に価値を発揮するステージです。
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本稿では「単価の高め方」を紹介したが、それでも「自分のスキルで、こんなに高い単価にしてしまっていいのだろうか」と不安を覚えるケースも少なくない。そこで第3回では、単価の高低をわける決定的な考え方の違いと、高単価にしたほうがいい理由について、長友氏がお伝えする。
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