インフラ、建設、グローバル内需・・・年間配当800万円投資家が伝授する高市相場の「狙うべきセクター」

本稿で紹介している個別銘柄:トリドールホールディングス(3397)、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)、良品計画(7453)
日経平均株価は一時5万円台を付けたものの、その後は4万8000~5万1000円前後のレンジでもみ合い、足踏み状態が続いている。
そんななか、「今から買ってもいいのか?」「梯子を外されるのでは?」と疑心暗鬼になっている投資家も多いのではないだろうか。
今回は、多くの個人投資家が最適解を模索する中、高配当株と株主優待株投資のエキスパートであるペリカン氏(@Pelican_Blog)にインタビューした。
ペリカン氏に2025年末を見据えた投資戦略と、狙い目のセクターと避けるべきセクターなどについて話を伺った。インタビュー連載全2回の最終回。
目次
「内需株だからダメ」は思い込み
ーーまず、成長セクターについて伺います。やはり注目はハイテクや半導体になりがちですが、一方で建設やインフラといったオールドエコノミーは、成長性が低く地味だという印象があります。
「地味なセクターには成長がない」と決めつけるのは早計です。私はむしろ、今のような環境だからこそ「インフラ(建設)関連」に注目しています。
日本のインフラは高度成長期に作られたものが多く、老朽化が進んでいます。道路や水道の更新、ビルの建て替え需要は、景気の良し悪しにかかわらず必ず発生するものです。実際、ゼネコン各社は豊富な受注残を抱えています。
逆に、華やかなハイテク株でも、インフレ時代に「価格転嫁」ができない企業は苦しくなります。コスト増を価格に転嫁できる強みを持ったインフラ企業のほうが、着実なリターンが見込めると考えています。
ーー日本株全体で見ると、人口減少による内需縮小は懸念材料です。内需企業への投資は、将来的な成長余地が限られるようにも思えます。
たしかに“国内市場だけ”を相手にしていては厳しいでしょう。ですが、内需で培った強みを武器に、海外へ展開している企業はまったく別の評価が必要です。
先日シンガポールを訪れた際、現地の物価高に驚くと同時に、日本のサービスの質の高さを再認識しました。
例えば、「丸亀製麺」のトリドールホールディングス(3397)や「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)、「無印良品」の良品計画(7453)などがよい例です。
日本国内で磨かれた高品質な商品・サービスは、海外でも十分に通用します。国内市場(1億人)での評価で時価総額が決まっている企業が、世界市場(数十億人)を相手に成功すれば、企業価値の桁が変わります。
単なる「内需株」ではなく、「グローバル・ニッチ」あるいは「日本発グローバル・サービス」へと脱皮しようとしている企業を、中期経営計画などから読み解くのがおもしろいですね。
だから「内需株だからダメだ」と切り捨てるのではなく、海外で通用するポテンシャルがあるかを見極めることが重要になります。
いまこそ「現物投資」をすすめる理由
ーー新NISAの普及で投資熱が高まっていますが、資金効率を上げるために、信用取引などを活用して積極的に利益を狙いに行くべきでしょうか。
個人的には、現物投資を基本にすべきだと考えています。特にいまの世界情勢を考えると、過度なレバレッジはリスクが高すぎます。
現在の中国情勢などの地政学リスクや、金融政策の変更など、相場を揺るがす要因は常にあります。相場がよい時は信用取引で利益を膨らませることもできますが、何か起きた時に一気に資産を失うのもそういったポジションです。
私は「現金も一つのポジション」だと捉えています。株価が上がりすぎたら一部を売って現金を増やし、暴落して皆が投げ売りしている時に、その現金で優良株を安く買う。
このシンプルなリバランスを繰り返すことが、資産を守りながら増やす近道です。
ーーSNSなどでは情報があふれていて、何が真実かわかりません。「この銘柄がくる」といった話に飛びつきたくもなりますが、どのように情報を判断していますか。
ニュースや噂に振り回されず、企業の「公式の約束」を見ることが大切です。私が銘柄選びで重視しているのは非常にシンプルな指標です。一つは「累進配当」。「減配しない」と公言している企業には安心感があります。
もう一つは「DOE(株主資本配当率)の採用」です。単年度の利益だけでなく、純資産に基づいて配当を決めるDOEを採用している企業は、株主還元への姿勢が一貫しています。
株価は短期的に乱高下しますが、配当政策は企業の意志を表します。こうした明確な基準を持っている企業を選べば、一時的な値動きに一喜一憂することなく、どっしりと構えていられます。