「原油高=超インフレ」はウソ? 資産億超え著名投資家が語る“イラン攻撃本当の脅威”とウクライナ・ショックの教訓

初めてとなる「ホルムズ海峡の実質的閉鎖」。このニュースを受けて株式市場は大きく動揺しているが、一般の生活者にとってもっとも気がかりなのは「自分たちの生活にどのような影響が出るのか」ということではないだろうか。
連日、テレビやネットでは「原油価格の高騰」「物価のさらなる上昇」といった見出しが躍り、不安を煽り立てている。だが、本当に私たちは明日からの生活を過度に心配し、パニックになる必要があるのか。
今回は『Financial Free College』(FFC)CEOの松本侑氏に、地政学リスクが私たちの実生活に与える“本当の影響”と、ニュースの正しい読み解き方について伺った。
みんかぶプレミアム特集「激動 トランプ一強時代の勝ち方」第3回。
目次
パニックは長く続かない。収束が早い構造的理由
ーーホルムズ海峡の実質的閉鎖で、物流が長期停止し「モノ不足になるのでは」と不安の声もあります。今回の事態は、どれくらい続くと見ていますか。
封鎖が長引けばイラン自身が深刻な経済的ダメージを受けるため、長く続けるメリットが彼らにはありません。
加えて、ホルムズ海峡を通らない迂回ルートの開拓も各国で急ピッチで進むはずです。
そうした対策が進むことも踏まえると、皆さんが想像しているよりも早い段階で、パニック的な状況は落ち着きを取り戻すでしょう。
原油高のニュース、どこまで本気にすべきか・・・
ーーそれでも、連日「原油価格が高騰し、私たちの生活を直撃する!」とかなり強いトーンで報じられているのを見ると、どうしても焦ってしまいます。
そうですね。メディアはどうしても視聴者の目を引くために、最悪のシナリオを前提にしたり、過度に煽るような切り取り方をしたりする傾向があります。そこは少し冷静になって数字を見る必要があります。
ニュースにある通り、原油価格は一時1バレル110ドルまで上昇しました。たしかに平時と比べれば高い水準ではありますが、歴史的に見れば過去の地政学リスク局面でも見られてきた価格帯です。 つまり、直ちに「異常事態が固定化する」と決めつける段階ではないのです。
ーーしかし、このまま封鎖が続けば、80ドル、90ドルと際限なく上がっていく危険性はないのでしょうか。
すでに一時110ドルまで上がる場面はありましたが、一時的なショックや思惑でさらに価格が乱高下する可能性は十分にあります。ただ、先ほど申し上げた通り、この危機そのものが長期化する可能性は低いです。
事態の収束のめどが立てば、高騰していた原油価格や天然ガスの価格も再び下落に転じます。つまり、「ずっと上がり続ける」という前提でニュースの煽りを受け止め、過剰に不安がる必要はまったくないということです。
「原油高=すべて爆上げ」とはならない
ーー現実問題としてガソリンや灯油の値段が上がっていくと、日々の家計へのダメージは避けられないのではないでしょうか。
はい、短期的にはガソリンスタンドでの給油価格や、物流にかかわる軽油、あるいは家庭用の灯油といった、直接的なエネルギー関連の値段が少し上がるなどの影響は出るでしょう。実生活において、そうした出費が増えることは事実です。
でも、だからといって「日本中がとんでもない物価高に飲み込まれる」と悲観的になる必要はありません。
テレビなどのメディアでは、ショックで一時的に跳ね上がった一番高い価格(例:1バレル90ドルなど)をベースにして、「このままでは世の中のモノすべてが値上がりする」といった最悪のシナリオを煽るような切り取り方がされる傾向にあります。
これを見ていると、どうしても不安になってしまいますよね。
ですが、過去の事例を振り返ってみてください。約4年前のロシア・ウクライナ戦争開戦時も、地政学リスクによって原油価格が急騰し、「ガソリンが恐ろしい値段になる」と世間は大騒ぎになりました。
しかし実際にはどうだったか。政府から元売り会社へガソリン補助金が支給されるなどの対策が迅速に取られ、異常な価格高騰はしっかりと抑え込まれました。
国としても、インフラや国民生活への大打撃をそのまま放置することはできませんから、今回も必要であれば何らかのセーフティーネットが講じられるはずです。
そもそも、原油価格が上がってから、スーパーに並ぶ食料品や日用品にまで価格転嫁されるのにはタイムラグがあります。
事態が何カ月も長期化しない以上、「原油が上がったから世の中のモノすべての値段が連動して上がり続け、手に負えない超インフレになる」という極端な展開は、基本的には起きないと考えています。