登録者1万人の個人VTuberが語るリアルな収入事情。結局いくら稼げるのか…年収300万円未満時代の趣味がコツコツ育ち立派な副収入に変貌した過程

 「会社員として働き続ける未来に、希望が持てなかった」――。そう語るのは、現在、登録者数1万人弱を抱える個人VTuberとして活動する女性だ。彼女は、映像制作会社で7年間、その後インフラエンジニアとして1年以上勤務するという、一見すると堅実なキャリアを歩んできた。

 しかし、組織の論理に翻弄されて消耗。そんな疲弊しきった彼女を救ったのは、自分自身の「好き」を詰め込んだアバターをまとい、デジタル空間で活動するVTuberという生き方だった。本稿では、映像制作時代の過酷な実態から、エンジニア転身後の挫折、そしてVTuberとしての生々しい収支と、企業に属さず「個人」として自由を貫くための戦略について、本人の口から赤裸々に語っていただいた。全2回の第1回。

 みんかぶプレミアム連載「あなたの給与明細 見せてください」

目次

「年収300万円未満」で7年間。映像制作の現場で失った希望

 私のキャリアのスタートは映像制作会社でした。主に遊技機の映像などを担当しており、職種としてはデザインや制作に近い仕事です。そこに7年間勤めたのですが、正直なところ、環境はかなり厳しかったです。

 給与は、7年働いても年収300万円に届きませんでした。業界全体としてブラックな風潮があり、私の周りの会社も「残業は多いけれど、うちより給与が低い」というところがザラにある。そんな中で、自分たちは「まだマシな方だ」と言い聞かせながら働いていました。

 しかし、会社が親会社に吸収合併されたことをきっかけに、状況が一変しました。かつて尊敬していた上司や同僚たちが次々と去り、社内の文化も変わってしまった。目標を持って頑張ろうとしても、どれだけ成果を出しても給料は上がらない。気づけば、職場全体に「誰もやる気がない」という空気が漂っていました。そこで完全に心が折れてしまったんです。

「面白くない」と痛感したエンジニア生活。自分に嘘をつけなかった

 映像制作の仕事に飽きを感じていたこともあり、次に選んだのは全く未経験のインフラエンジニアでした。エージェントの方に勧められ、「新しいことに挑戦してみよう」とクラウド関連の会社に飛び込んだんです。

 配属先は銀行系のシステム案件。非常に堅い環境でした。そこで1年3ヶ月ほど働いたのですが、結論から言うと、私には全く合いませんでした。「仕事のどこを切り取っても、面白いと思える瞬間が一つもない」という絶望的な状況。資格の勉強をしなければならないのですが、モチベーションが全く湧かないんです。

 上司とも馬が合わず、毎日が苦痛でした。給与こそ年収300万円ジャストくらいになり、家賃補助などの福利厚生も多少は良くなりましたが、心が満たされることはありませんでした。結局、今年の3月末でその会社も退職しました。

「なりたい自分」をアバターに。VTuberという第2の人生

 そんな閉塞感の中で、私の唯一の救いとなっていたのが、4年前に趣味で始めたVTuberとしての活動です。

 もともとは趣味のゲーム実況からスタートしたのですが、映像制作時代に知り合った活動者の方々がVTuberとして活動しているのを見て、「面白そうだな」と軽い気持ちでアバターを作りました。映像制作の知識があったので、イラストは絵師さんにお願いしましたが、モデリングなどは自分で手掛けました。初期費用は10万円もかかっていません。

 VTuberの最大の魅力は、自分の「好き」を詰め込んだ姿で活動できることです。髪の色、目の形、服装――。理想のアバターをまとうことで、それが次第に自分自身の意識と重なっていきます。可愛いアバターが動いているのを自分で見ているだけでも楽しいですし、それは現実の自分とは別の、文字通り「第2の人生」を手に入れたような感覚でした。

 会社員時代、この活動については誰にも話していませんでした。組織の中では「名前のない歯車」として扱われていても、配信の世界では、私の声を待ち望んでくれるリスナーがいる。その事実が、どれほど心の支えになったか分かりません。

登録者1万人Vtuberのリアルな収支事情。ファンボックスとグッズの重要性

 現在、YouTubeの登録者数は1万人弱。活動のメインは週4回のゲーム配信と、週1回の映画同時視聴です。気になる収益のリアルな数字をお話しします。

 毎月の固定的な収入としては、だいたい5万円ほどです。内訳は、ファンコミュニティプラットフォームの「FANBOX」が約4万円、YouTubeの広告収益などが約1万円。「意外と少ない」と思われるかもしれませんが、大きな柱は別にあります。

 それは、お誕生日や活動周年といったイベント時の収益です。誕生日のスーパーチャット(投げ銭)で5万〜10万円ほど、さらにその時期に合わせて販売するグッズの売上が40万円ほどになります。イラストの発注やグッズ制作などの経費で10万〜20万円ほど出ていくこともありますが、これを積み重ねていくことで、会社員の副業としては十分すぎるほどの収益を得ることができています。

 特に「FANBOX」のような、再生数に左右されないストック型の収益は、精神的な安定につながります。また、今年は新たにYouTubeのメンバーシップも開始する予定で、さらに収益の基盤を固めていきたいと考えています。

なぜ「企業」ではなく「個人」で活動し続けるのか

 よく「それだけの登録者がいるなら、どこかのVTuber事務所に所属しないのか」と聞かれることがあります。確かに、大手事務所に入れば露出は増えるかもしれません。しかし、私はこれからも個人として活動していくつもりです。

 最大の理由は「自由」です。私のようにゲーム配信をメインにしていると、企業に所属している場合、ゲームメーカーへの許諾取りが非常に煩雑になります。プレイできるタイトルに制限がかかってしまうことも多い。個人であれば、より柔軟に、自分のやりたいタイトルを、やりたいタイミングで配信できます。

 私は、組織のしがらみや理不尽なルールから逃れるために、今の道を選びました。だからこそ、VTuberとしての活動においても、誰かに主導権を握られるのではなく、自分の意志で舵を切りたい。それが、私がこの世界で生き続けるための絶対条件なんです。

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