自分の時間をコントロールできていますか? 変わるキャリアにデータサイエンティストが思う「大企業一筋」では武器にならないワケ

「億万長者でもお金の不安って消えてないんですよね」
そう語るのは、データサイエンティストの佐藤舞氏。著書『あっという間に人は死ぬから』で「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」自己啓発部門賞を受賞し、運営するYouTubeチャンネル「謎解き統計学」の登録者は40万人を超える。
データを武器に統計学を語る佐藤氏が、経営者と接する中で目にしてきたのは、「桁違いの資産を持つ人ですら、お金の不安から解放されていない」という事実だった。資産運用に向き合い、それなりの蓄えを築いてきた人ほど、この「終わらない不安」に思い当たる節があるのではないだろうか。
今回は佐藤氏が、統計データと現場の観察から導き出した「お金と幸福度のリアルな関係」を解き明かす。全3回の第2回。
目次
見落とされがちな「社会関係資本」と「人的資本」
前回の記事では、お金の不安から自由になるためには、金融資本だけでなく、健康資本、社会関係資本、人的資本、文化教養資本、時間資本──これら5つの資本も、ポートフォリオの一部として育てていく必要があることをお伝えしました。
とはいえ、多くの日本人は、金融資本以外の資本の育て方には慣れていません。今回は、なかでも見落とされがちな「社会関係資本」と「人的資本」の育て方を中心にお伝えします。
「買ってよかった」を振り返る
最初におすすめしたいのは、自分が最近買ったものを書き出して、それぞれの満足度を振り返ってみる、というシンプルなワークです。
私がかつてお客様30人にアンケートを取った時、ほぼ全員に共通する傾向がありました。買い物の満足度は、高い金額のものを買った時よりも、使用頻度の高いものを買った時の方が上がりやすい、という傾向です。
ウィンドウショッピングで一目惚れした高価な一張羅よりも、毎日の通勤で羽織れる、しっかりしたコートの方が、満足度は高くなる。多くの方は「セールだから今しかない」といった脊髄反射的な感情で買い物をしているため、意図的に振り返らないかぎり、自分が何にお金を使えば満足するのかに気づけません。
このワークをやってみると、自分のお金の使い方を整えていく最初の手がかりが見えてきます。
「家と職場の往復」だけの人は、なぜ成功しないか
次にお伝えしたいのが、社会関係資本の育て方です。
世界的な研究では、所属するコミュニティの数が多い人ほど、幸福度が高くなる傾向があるとされています。職場と家庭の往復しかない方は、所属コミュニティが2つしかない、ということになります。趣味のサークル、勉強会、副業の仲間、オンラインサロン──そういった場が加わるごとに、人生の彩りは増えていきます。
ここで一つ、興味深い研究をご紹介します。新しいチャンスや運を運んでくれるのは、職場の同僚や家族のような「強い関係性」の人ではなく、顔見知り程度の「弱い関係性」の人だ、という研究結果があるのです。
家と職場の往復しかしていないと、自分のキャリアや人生の選択肢が広がりにくいということでもあります。新しい仕事の話、思いがけない誘い、別の世界の情報──そういったものは、普段あまり会わない人から運ばれてくるものなのです。
ただし、ただ場に身を置けばいいというわけではありません。同じジムに通っていても、誰とも会話を交わさなければ、コミュニティに所属しているとは言いにくいでしょう。大切なのは、そこで誰かと言葉を交わし、関係性が生まれることです。