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「車の税金」今年度から変わる?…ガソリン税の暫定税率廃止に難色の自民・宮沢氏、解決されぬ「自動車ユーザーの重税感」

(c) AdobeStock

 4月は自動車ユーザーが重税感を抱く時期だ。4月1日時点の所有者に自動車税が課せられるためで、高止まりするガソリン価格も追い打ちをかける。石破茂首相(自民党総裁)はガソリン税に上乗せされている暫定税率に関し「(廃止されて)消費者の手取り増につながることは望ましい」と意欲を見せるものの、動きはあまりに遅い。経済アナリストの佐藤健太氏は「『暫定』『当分の間』という名の下に自動車ユーザーの負担は重すぎる。もっと国民は怒っても良いのではないか」と指摘するーー。

目次

ガソリン税の暫定税率廃止がぜんぜん進まない

 「暫定税率を廃止するためには、税法を改正しなければならない。夏までに入れ込んでいくのは簡単な話ではない」。3月27日に行われた自民・公明両党と日本維新の会による税制協議で、維新側は今夏をメドにガソリン税の暫定税率を廃止するよう求めた。これに対し、自民党の宮沢洋一税制調査会長は代替財源の必要性などを念頭に難色を示した。

 年収103万円を超えると所得税がかかる「103万円の壁」見直し議論と同様に、こうした与党側の煮え切らない姿勢に辟易とする人は多いだろう。与党と国民民主党の幹事長は昨年12月、ガソリン税に上乗せされている暫定税率を廃止することで合意した。合意文書には「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は廃止する」と明記されている。

 ガソリン税とは、揮発油税・地方揮発油税の総称だ。1リットルあたり53.8円が課せられ、そのうち25.1円は本来の課税額に上乗せされている暫定税率分となっている。道路整備の財源不足などを理由に1974年から上乗せが始まったが、なぜか道路財源の確保などを理由に続いてきた。暫定税率が廃止されれば、1リットルあたりの税金は28.7円にまで縮小する。

 資源エネルギー庁の調査によれば、3月24日時点の店頭小売価格(現金)はレギュラーガソリン1リットルあたり184.5円で依然高止まりしている。全体は前週から0.1円の値下がりとなったが、都道府県別に見ると24道府県で値上がり。横ばいは6県、値下がりは17都府県だ。ガソリン価格高騰の背景には、石破政権が2022年1月から石油元売り各社に支給してきた「ガソリン補助金」の縮小を昨年11月に決定したことがあげられる。

自動車ユーザーの重税感は決して軽くない

 つまり、政府は価格抑制策を打ち切りにする一方、ちゃっかり「暫定税率分」も維持しているわけだ。加えて、ガソリン税に消費税が課されるという不可解な二重課税問題も解消されてはいない。

 誤解を恐れずに言えば、日本は本当に「平和な国」と感じる。最近は「財務省解体デモ」なるものが注目を浴びつつあるが、「暫定」だったはずの課税も「二重課税」の問題にも国民は耐え続けているのだ。元々の課税根拠だった道路特定財源の一般化により、すでに理由が喪失されていても「即刻廃止せよ!」との声が高まるわけでもない。その意味からも本当に「不可解」な状況なのである。自動車ユーザーの重税感は決して軽くない。

 さて、ここで1つ問題を出したい。皆さんは自動車に対する税金を何種類払っているのか把握しているだろうか。答えは、なんと「9」もある。自動車メーカーでつくる一般社団法人「日本自動車工業会」(会長・片山正則いすゞ自動車会長)の資料によれば、自動車関係諸税は1954年度に道路特定財源が創設されて以来、増税や新税創設が繰り返されてきた。もはや驚くほかないだろう。

自動車ユーザーは取得・保有・走行の各段階で課税されまくっている

 大切なポイントなので詳しく説明すると、環境性能割の自動車税・軽自動車税から始まり、種別割の自動車税・軽自動車税、自動車重量税、揮発油税・地方揮発油税、軽油引取税、石油ガス税、そして車体課税分の消費税と燃料課税分の消費税がある。2024年度の当初予算でみると自動車ユーザーが負担する税金の総額は国の租税収入117兆円の7.7%にあたる約9兆円に上っているという。

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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