竹中平蔵「小泉進次郎さん、素晴らしい」手腕を絶賛…備蓄米の次は海外輸入だ!「岸田政権から始まった政治腐敗」をぶっ壊せ!

小泉進次郎農水大臣によるコメ価格への政府介入が、石破茂内閣の支持率上昇に繋がっている。この政策は「政治判断」と位置づけられ、市場原理に反するとの批判がある中でも、日本人の主食であるコメの特殊性ゆえに、与野党が一致して問題視する現状がある。短期的な対策として備蓄米の放出や輸入の必要性が挙げられる一方、中長期的には減反政策の廃止と株式会社の農業参入を促し、農業の規模拡大と生産性向上による価格引き下げ、そして農家の所得保障を提言しているのは経済学者の竹中平蔵氏である。竹中氏はさらに、農協法の改正も視野に入れ、時代に合わせた制度改革の重要性を訴えている。
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コメ以外の問題は解決していないのに石破内閣支持率があがる皮肉
コメ価格下落に向けて小泉進次郎農水大臣は、政府が直接コメ価格に介入するような政策に打ってでました。すると、これまで低迷していた石破内閣は軒並み上昇を見せました。小泉大臣の手腕は素晴らしいものだと思う一方で、つくづく内閣支持率とはいい加減なものだと感じます。石破政権の根本は何も変わっていないからです。米以外の問題は全く解決していないのです。小泉進次郎さんが農水大臣になるまで自民党の支持率がどうなるか誰も分からなかったわけです。ここまで転換するとも思わなかったというのが正直なところでしょう。
さて、米の価格に政府が介入するのは市場原理に反しているのではないかと批判が聞こえます。これは、コメだから、なのです。例えば、ニンジンの価格が2倍になったからと政府が買い入れるかというと、そんなことはしませんよね。では、なぜ米だけ特別扱いするのか。
実は農産物についてコメにだけ200%の関税がかかっていて、米は特別扱いをしているわけです。米を引き続き特別扱いするかどうかというのは、やっぱり日本人の主食という認識がまだまだ強いが故に、「政治問題」なのです。コメ価格は経済問題ではあるけれども、今回の介入は政治判断なのです。
コメの値段については与党だけでなく、野党も問題視しているのですぁらら、これは国会全体としてそういう政治判断をしているとも言えます。個人的な話をすれば、私はコメをそんなに食べません。パンとパスタを食べますけども、そういう人はまだまだ少数派だという判断を政治的にしているわけです。
この政治判断が正しいかどうかというのは、どうとも言えませんが、おそらく多くの人は正しいと言うと思います。
それでも足りなかったら米を輸入してもいい
では、この価格介入の目的は何なのかというと、米がもう少し安い値段で庶民の食卓に届くようにするということです。米の値段を下げるためにはどうしたらいいか。これは当然のことながら、短期的な対策と中長期的な対策が必要です。小泉さんは自民党の農林部会長をやっていたから、そのことはよく分かっているわけです。
短期的に米の値段を下げるためには方法は2つしかありません。備蓄米を放出するか、米を輸入するかです。まず備蓄米を放出することになります。最初、備蓄米の放出に農協は反対していましたね。そしていざ、競争入札すると大半は農協が買いましたから、これはやはりおかしいでしょう。
そこで安い米をもっと消費者に近いところで届けましょうということで、スーパーなどがいよいよ今度は随意契約で入手できるようになりました。これはすごく正しい当たり前の政策で、当然効果はある程度現れつつあるわけです。
それでも足りなかったら米を輸入してもいいと思います。しかし、輸入米に絶対反対する勢力があって、そんなことをすると食料自給率が下がるという反論をするのですね。でも、これはまた変な議論です。食料自給率はもっと長期的に見る必要があるので、構造改革で米の自給率が高まるようにするということが重要です。
ありえない政策やってきた自民党政権
そもそも、なぜこんな風に米の値段が高くなったかというと、これはある意味で中長期的な政策が間違っていたからです。減反政策により、農家に米を作らせないで、作らない農家に補助金を出していたのです。世界的に食料不足の中で、こんな政策はあり得ない政策ですよね。
だから、減反政策を完全にやめて農家が自由に好きなものを好きなだけ作ればいいのです。そうすれば輸出もできるようになるでしょう。
減反政策を続けてきた理由は農家の所得を守るためです。特に農家の所得が高いか低いかというのは、規模の大きさによって全然違うわけです。大規模でやっているところは年間2000万円の所得を超えているところもあります。一方、兼業でやっているような小規模の農家もあります。しかしこの兼業農家も、大規模農家も、選挙では同じ1票ですから、まさに水田ではなくて票田が大事だということで、政治的に小規模農家を保護する政策をずっと取ってきた経緯があります。
日本政府はできもしないのに何でも需給調整しようとする
問題は、日本の米の値段が安いと農家は言うのですけども、世界的に見ると日本の米は高いのです。だから大規模農業をやれるようにして、価格を下げていかなければいけません。
これはまず、減反政策をやめることです。もう1つは大規模にできるようにするために株式会社の参入をちゃんと認めることです。そして投資をして生産性を上げれば、生産量も増えるし価格も下がります。
世界中どの国を見ても地方の主力産業は農業です。だから農業をしっかりとやってもらう仕組みを作らなければいけない。そのためには今のように生産量を制限するのではなくて、思い切った量を生産してもらう。そしてマーケットで価格が決まるようにする。でもその場合に価格があまりに下がって生活ができないようになると困るので、一定の所得保障をするのです。
これが普通のやり方で、そういう方向に一気に変えるべきです。大体、日本の政府は何でも需給調整しようとするんです。タクシーもそうですよね。米でもそうです。需給調整なんて国にできるわけがない。そこはマーケットに任せなければいいのです。
農地法と農協法を両方変えなければいけない
今の永田町「農水族」の人たちは、小泉さんの短期的政策にまでちゃちゃを入れています。特に株式会社の参入になると、JAとバッティングするという問題があります。大きい会社になればなるほど、JAの存在が無意味になってくるからです。
だからこそ、農地法と農協法を両方変えなければいけないのです。農協が役に立つのなら残ればいいし、役に立たないのならなくなればいいとのです。
農業の共同組合が10年後も有用だったら残るでしょう。別に解体する必要はありません。なくなる農協もあれば、ちゃんとやっていく農協もあるはずです。問題は1つの地域には1つの農協しか作らせないという点です。これは独占体制になっていて、そこは変えなければいけません。新しい農協を設立したいというのであれば作ればいいのです。
個々の農協は地域では頑張っていますよ。今の制度の中でみんな頑張っているのです。ただ農業組合なのに金融もやっている。この金融に関しては組合じゃないところからも受け入れて、無駄な投資をして不良債権を作ってしまった。
この制度そのものが悪いのです。制度の改革が必要なのです。時代時代の要請に合わせて制度は変わらなければいけないのです。
今大手小売りスーパーなどでは直接取引をしているわけで、その方が農家の所得は上がります。
岸田政権で始まった政治腐敗
もちろん、農協が果たした役割というのは間違いなくあります。そもそも、なぜ今のように小さな農家に分かれているかというと、農地改革したからです。農地改革はGHQの政策でした。当時のGHQは、一種のドミノ理論で日本が共産化することを恐れていました。農民は非常に強い労働者集団であってそこが中心になって共産主義化するのを防ぐために、民主化という名のもとに小さな農地所有者を作ったわけです。
これは当時としては意味があったわけですが、社会主義化の恐れがなくなり、グローバルな農業の競争になった中で、やはり規模集約をもう一度しなければいけないのです。
そして、今後、日本の農家が規模を大きくしていくような時代がきた場合、ある程度の規模を持っているところにだけ所得保障することです。零細のところは、もう土地を貸すとか、土地を売るとか、大きな農業生産法人に入るとかすればいい。そうすることによって集約化ができるわけです。農業を大規模化すれば生産性が上がる一方で、リスクも当然高まります。大規模化するためにはインセンティブがいるわけで、大規模化したところに重点的に所得保障すればいいのです。
さて、一連のコメ騒動で非常に明らかになったのは、元の農水大臣が誰かということです。JA出身の野村哲郎元農林水産相は大鉈を振るう小泉農水大臣に「ルールを覚えて」と苦言を呈したことが話題を呼びました。そもそも、選挙の表欲しさに、岸田内閣で初めてこうした人事が行われました。他にも特定郵便局の関係者が総務大臣になるなど岸田政権では政治の腐敗が進みました。これは政治としては間違っています。