「全員に2万円給付」やっぱり無理です…「一つも公約を守らない自民党」え、新税もつくるのか!国民を馬鹿にしている“国民政党”

政権与党の「国民との約束」を守らない状態が続いている。自民党は7月の参院選で国民1人あたり2万円(子どもと住民税非課税世帯の大人は4万円)の給付を公約し、石破茂首相(自民党総裁)は今年中の給付を想定していると約束した。だが、衆院に続いて参院でも少数与党になったことで党内は世論離れした「石破おろし」で大忙しだ。国民そっちのけの権力闘争に明け暮れる始末に、経済アナリストの佐藤健太氏は「高市早苗、小林鷹之、小泉進次郎氏といった『ポスト石破』候補たちは現金給付や消費税の減税・廃止を実現する気があるのか早期に宣言すべきだ」と指摘する。今生活で苦しんでいる国民に救いの手を差し伸べる気はあるのか。自民党は「国民政党」ではないのかーー。
目次
期待される公約の実現はほとんど未達成
「仕事の話はやめましょう。大統領とか、総理大臣とかをやっているとあまり楽しいことはございません。楽しいことはそんなに多いわけではございません」。8月22日に閉幕したTICADアフリカ開発会議の晩餐会で、石破首相はつい愚痴をこぼした。
おいおい、一国のトップが公の場で世界のリーダーたちにそのような発信をするなよ、と思うのは筆者だけではないはずだ。何より、石破首相は今年1月の施政方針演説で「これからは一人ひとりが主導する『楽しい日本』を目指していきたい」「『楽しい日本』を実現するための政策の核心は『地方創生2.0』」などと宣言していたではないか。
昨年の自民党総裁選で念願叶って自民党のトップとなり、宰相の座までのぼりつめたわけだが、「楽しい日本」を目指すと語った当の本人はそんな気持ちにはなれないらしい。だが、残念ながら首相に同情する人はあまり多くないのではないか。なぜなら、首相は自民党のトップとして様々な「約束」を国民にしてきたものの、期待される公約の実現はほとんど未達成だからだ。
先の参院選で、自民党は「責任政党 3つのビジョン」として①強い経済②豊かな暮らし③揺るぎない日本―の3点を掲げた。その中に足元の物価高騰対策として「物価高騰下の暮らしを支えるため、税収の上振れなどを活用し、子供や住民税非課税世帯の大人の方々には1人4万円、その他の方々には1人2万円を給付します。マイナンバーカードの活用により、手続きの簡素化、迅速化に努めます。」と明記している。
2万円給付「現実的には難しい」
公明党も「生活応援給付」として国民1人あたり2万円を一律給付し、子供や住民税非課税世帯の大人には1人あたり4万円とすることを掲げた。石破首相は7月2日、毎日新聞のインタビューで「年内には当然開始する」と明言し、参院選中には「速くなければ意味がない。実現したが1年後でしたみたいなことにはならない」と繰り返した。
だが、7月の参院選で与党が惨敗し、一気に公約の実現が怪しくなっている。8月24日に読売新聞が報じた「参院選公約『2万円給付』、政府・自民党内で見直し論・・・野党賛成のメド立たず」と題した記事によれば、少数与党となったため衆参両院で野党の賛成が得られる保証がないことから給付対象の再考を求める声が出ているのだという。筆者も、この点について複数の首相周辺に投げかけたが、やはり「現実的には難しいだろう」との答えが返ってきた。給付対象を絞り、低所得者対策に限定するなどの案が浮上しているようだ。
これでは、物価高騰対策として全国民に給付するという「目的」が完全に破綻するのは言うまでもない。立憲民主党の野田佳彦代表は8月24日、1人あたり2万円の現金給付に関し「明確に民意に否定された。2025年度補正予算案にそのまま出してきても、どの政党も反対するだろう」と与党への協力を否定している。
「減税」も動き出していない
国民がイラ立つのは、少数与党下の自民党が政策推進力を失われたのであれば、野党が公約を実現するチャンスを迎えているはずなのだが、参院選で野党が掲げた「減税」が動き出していないことにある。立憲民主党と日本維新の会は消費税の「食料品0%」(2年)を掲げた。社民党、日本保守党も「食料品0%」の立場だ。