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政治家の信仰暴露は「アウティング」なのか?旧統一教会との蜜月を隠蔽する「信教の自由」という名のすり替え

 「政治と宗教」の闇を長年追い続けてきたジャーナリスト、鈴木エイト氏による待望の新連載がスタートする。世に発信される何気ないニュースや事象。その裏側に潜む「既視感のある構造」を、独自の視点から解き明かしていく新連載「鈴木エイトが読む、日本社会の“静かな違和感”」。記念すべき第1回は、年明けに『週刊文春』が報じた旧統一教会の内部文書「TM特別報告」を巡る議論だ。流出した膨大な報告書の内容から、政治家の信仰と「アウティング」という極めて繊細な問題に対し、エイト氏が抱いた「違和感」の正体を問う。

目次

3200ページの内部文書「TM特別報告」が暴いたもの

 2015年12月、韓国で進む統一教会による請託禁止法違反などの捜査の過程で韓鶴子総裁への報告文書を綴った「TM特別報告」が押収され、内容が報じられている。この報告書には世界各地での教団を含めた関連団体の総称である「摂理機関」の工作などの進捗状況が記されており、そのなかに日本における政界工作の進捗状況を日本の教団や関連団体トップなどが報告したものが多々あるのだ。

「TM」とは「トゥルーマザー/真の母」つまり教団の最高権力者、韓鶴子総裁のことである。昨年末に韓国ではハンギョレ新聞、聯合ニュース、京郷新聞が相次いで報じ、日本の複数のメディアも韓国での報道を引用する形で第一報を出した。年が明けて、1月8日の週刊文春が巻頭特集で『「高市総裁が天の願い」統一教会㊙報告書 3200ページ全文入手!』と題した記事を掲載、文春オンラインでも『【独占入手】統一教会マル秘報告書3200ページがしめす自民党との蜜月「高市早苗氏が総裁になることが天の最大の願い」《長島昭久・前首相補佐官は合同結婚式を挙げていた》《萩生田光一が受け取ったエルメスのネクタイ》』と報じた。私は記事を書いた石井謙一郎氏から同報告書の提供を受けた。

文春報道への反発と「アウティング」という批判

 週刊文春のスクープが反響を呼ぶなか、私が気になったのは特定の政治家の信仰を暴露することは問題ではないのか?といった声が挙がったことだ。というのも「TM特別報告」に日本法人の会長を務めた徳野英治氏による2021年の衆院選後の報告に自民党の長島昭久衆院議員に関する以下の記載を文春が報じたからだ。

> <我々に近いキーパーソンで今回当選した国会議員たち>
> 『長島昭久(59歳) ⎯ 東京比例区で今回当選。近い将来の大臣候補。 彼は元々マッチング家庭(会員)でしたが、しばらく教会を離れていた時期があり、今回内的な信仰基準は失いましたが最近再び我が団体に繋がり始め、我々からの応援を受けました』

 長嶋氏は文春の取材に応じ、“学生時代に国際勝共連合の集会に足を運んだのを機に入信して妻と出会い、マッチングを受けた”と認めている。だが、記事内で言及があるように「三十年以上前、霊感商法などの被害が知られ始めて看過し得ない矛盾と疑問を感じ、二人で脱会しました。それ以降は一切の関係を経って今日に至っております。選挙応援を依頼したこともありません」と報告書の内容には反論している。

 この一連の記述に対し、過去のこととはいえ個人の信仰について報じることはアウティングに当たるのではないかという批判の声が挙がった。確かに個人の信仰をメディアが安易に報じることには様々な問題があるだろう。だが、政治家という公人についてはどうか。

山際大臣への質疑に見る「信仰を問う合理性」

 似たようなケースが過去にもあった。

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この記事の著者
鈴木エイト

ジャーナリスト・作家、「日本ペンクラブ」理事(言論表現委員会副委員長)、「日本脱カルト協会(JSCPR)」理事、「やや日刊カルト新聞」主筆。カルト問題、宗教カルトと政界、カルトの2世問題、選挙、ニセ科学、HPVワクチン訴訟を取材、執筆。著書に『NG記者だから見えるもの』『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社+α新書)、『統一教会との格闘、22年』(角川新書/KADOKAWA)、『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』『自民党の統一教会汚染2山上徹也からの伝言』(小学館)、共著・編著多数

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