安倍晋三元首相は“教育の対象”。3200ページに及んだ統一教会内部文書の衝撃ーーなぜ自民党は「死の原因」の究明から逃げ続けるのか
ジャーナリスト・鈴木エイト氏が、日本社会に潜む「構造的な歪み」を独自の視点から解き明かす連載「鈴木エイトが読む、日本社会の“静かな違和感”」。第2回となる今回は、旧統一教会の衝撃的な内部文書「TM特別報告」からさらなる深層へと切り込む。
文書に克明に記された安倍晋三元首相への「政界工作」の実態と、それに対する自民党の不可解な対応。各政党が再調査の必要性を認める回答を寄せる中で、頑なに拒否を続ける自民党の姿勢は、果たして「弔意」と呼べるものなのか。安倍氏の死を悼み、その遺志を継ぐと標榜しながら、死の「真因」に向き合おうとしない政治家たちの欺瞞ーー。エイト氏が抱く、より深刻で「静かな違和感」の正体を解剖する。
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安倍氏銃撃の前後まで続いた工作。内部文書が語る不都合な真実
韓国の捜査機関が押収した統一教会の内部文書『TM特別報告』の内容が波紋を呼んでいる。3200ページに及ぶ文書は全世界で展開する教団の“摂理機関”と呼ばれる各種組織体の幹部がそれぞれの機関における政界工作の成果を教団最高権力者である韓鶴子総裁へ報告したものがまとめられている。今回、押収されたのは2018年から2022年までの期間の「報告」だ。
日本の教団組織や関連政治団体のトップが報告したものも多数含まれており、そのなかには安倍晋三氏の首相時代から政界のキングメーカーとして権力を揮っていた時期、そして2022年7月の銃撃事件で亡くなった前後の期間まで、どのように教団サイドがアプローチしてきたか、そして何より教団サイドが安倍氏を“教育の対象”としていたことが綴られている。
報告書が名指しした「最重要キーマン」。前首相を教団へと導いた人物
教団側と通じ合う恥ずべき政治家たちの名も羅列されており、そのなかでも一貫して教団サイドと安倍氏を仲介した人物として繰り返し登場するのが萩生田光一氏だ。銃撃事件のトリガーとなった2021年9月の教団系オンライン集会で、韓鶴子総裁を礼賛する安倍氏のビデオメッセージが実現した背景にも萩生田氏の貢献が記されている。
自民党は銃撃事件の翌月、党内の現役国会議員へ自己申告制の点検を行ったのみで、統一教会との関係の調査を形だけで終え、以後関係を断つことで、再調査の必要性はないとしている。総裁以下、自民党の幹部たちも同様の回答を繰り返すのみだ。
「各党の回答」から読み解く隠蔽の構図。政治家が恐れる“外部専門家”というメス
今回の衆院選に際し、統一教会の問題に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会は『旧統一教会の問題についての「公開質問状」』を各政党に送付し、そのなかで再調査の必要性を問うた。