20代で「手取り月80万」ホスト内勤が、それでも「お金がない」のはなぜなのか。24時間仕事から離れられない
ホストクラブの内勤マネージャー、Aさん(26歳)の1日は、世間が夕食の準備を始める17時半に動き出す。営業終了の深夜1時半まで、フロアの司令塔としてキャストたちの動きに目を光らせ、売上の最大化を図る。しかし、彼の本当の戦場は、営業中の派手なフロアだけではない。
求人、教育、店舗デザイン、さらには経理や経営戦略の立案まで。多岐にわたる業務をこなすAさんを支えているのは、かつて経験した「大きな挫折」と、そこから得た「現場主義の経営観」だ。中編となる今回は、新店立ち上げの失敗と、内勤マネージャーとしてのリアルな労働実態、そして意外にも質素な私生活について語っていただいた。全2回の第2回。
みんかぶプレミアム連載「あなたの給与明細 見せてください」
目次
グループ期待の新店が「頓挫」。挫折から学んだ、店舗運営の難しさ
ホストクラブの内勤にプレイヤーから転向して5年目になりますが、実は一度、大きな失敗を経験しています。プレイヤーからマネジメント側に回ってしばらくした頃、グループ内で新店を出すことになり、僕がその立ち上げメンバーとして抜擢されたんです。
当時は「自分のやり方なら必ず成功する」という自負がありました。しかし、結果としてその新店はうまくいかず、閉めることになってしまった。プレイヤーとして自分自身が売るのと、組織として人を動かし、店全体の数字を作るのは、全く別次元のスキルが必要なのだと痛感しました。
現在はまた別の店舗に移動して内勤を続けていますが、あの時の「リベンジをしたい」という気持ちは、今も僕の大きな原動力になっています。次にチャンスが巡ってきた時は、必ず成功させる。そのために、今は教育や採用といった店舗運営のあらゆるノウハウを、現場で一から吸収している最中です。
24時間「仕事」が頭を離れない。内勤マネージャーの過酷なルーティン
僕の1日は、朝10時に始まります。一度起きてから最初にするのは、SNSを通じた求人対応や集客の仕掛けです。Xなどでキャスト候補を探したり、ダイレクトメッセージに返信したり。これは「勤務時間外」の作業ですが、良い人材を確保できるかどうかが店の寿命を決めるので、片時もスマホを離せません。
その後、15時から16時くらいまで仮眠をとり、身支度をして17時半に出勤します。そこから深夜1時半の営業終了まで、一気に駆け抜けます。フロアでは、どのキャストをどのお客さんの席に付けるかという「付け回し」を判断し、時にはキャストの悩み相談に乗り、時には店の数字を確認して戦略を練る。経理業務や、販促用のデザイン監修も僕の仕事です。
営業が終わって帰宅しても、すぐには眠れません。週に数回は、お客様とのアフター(営業後の店外交流)が入るからです。結局、家に帰り着くのが朝の3時や4時になることも珍しくありません。休日であっても、指名してくださるお客様と過ごす時間が多く、一人で完全に「オフ」になれる時間はほとんどないのが実情です。
20代で「手取り80万」ホスト内勤はそれでも「お金がない」なぜなのか
プレイヤー時代は、見栄えを気にしてブランド品を買っていた時期もありました。でも、内勤になってからは、持ち物に対するこだわりは驚くほどなくなりましたね。今、仕事で着ているのはユニクロのジャケットの下に「エアリズム」のTシャツを4〜5枚着回しているだけです。
生活費も意外と堅実ですよ。家賃は13万円ほど。食費は、お客様と食事をする時を除けば、自炊を中心に月3万〜4万円に抑えています。水道光熱費が3万円、日用品が1万円程度。趣味といえば、スマホで「シャドウバース」というゲームを無課金で遊ぶくらいで、お金のかかる遊びには興味がありません。
手取りで月80万円ほど稼いでいますが、実は貯金はほとんどできていません。というのも、入ってきたお金の多くを、お客様との関係維持や自宅をレベルアップするために使っているからです。
「稼ぐこと」そのものよりも、今は「自分の市場価値を高めること」に重きを置いています。水商売は不安定な世界です。だからこそ、社会保険や厚生年金といった保証がない代わりに、自分自身を「最強の資産」にしなければならない。その危機感が、僕を突き動かしているのかもしれません。