「買う株」は2つのルールだけで決める――米国株のプロが実践するシンプルな投資法
株式投資においてさまざまな手法が提唱される中、米国証券業界で30年以上の実務経験を持つ米国株トレーダー・マーケットアナリストの鎌田傳氏が実践するのは、“たった2つのルール”だという。「6カ月移動平均線」と「RSI」を用いたこのルールを、鎌田氏が伝授する。全3回中の3回目。
※本稿は鎌田傳著『米国株ETF投資――「オルカン・S&P500」の次の一手!』(バトン社)から抜粋、再構成したものです。
「6カ月移動平均線」と「RSI」を用いた2つのルール
私は、基本的に空売りはしません。強い上昇トレンドにある銘柄を買い、その上昇による利益を狙うトレード手法です。この手法には、たった2つのルールしかありません。どちらも極めてシンプルなルールです。
①月足チャートには、6カ月移動平均線を入れます。6カ月移動平均線を使うのは、短期的な値動きに振り回されず、中期的なトレンドをシンプルに把握するためです。まず確認するのは、ローソク足が6カ月移動平均線の上で推移していることです。
②そのうえで、RSIの数値を確認します。
RSI(Relative Strength Index)は、「相対力指数」と訳されるテクニカル指標です。1978年に米国のテクニカルアナリストである J・ウェルズ・ワイルダーJr.氏によって開発されました。
株価の上昇・下落の勢いから、現在の相場が「買われすぎ」なのか、「売られすぎ」なのかを0〜100の数値で示す指標です。
RSIの数値別の一般的な解釈は、以下のとおりです。
- 一般的なRSIの判断基準
・70以上:極めて強い上昇トレンド
一般的には「買われすぎなので売り」と言われますが、私は非常に強い上昇のサインととらえています。そのため、ほかの条件が揃えば、積極的に買いを検討する水準です。
・65〜69:強い上昇トレンド
ホールドを継続するか、押し目買いを検討できる領域です。
・55〜64:健全な上昇トレンド
買い手が優勢な局面です。
・45〜54:方向感のないレンジ相場
強い上昇でも下落でもなく、株価が横ばい(一定の範囲内)で推移しやすい局面です。
・45未満:下落トレンド
買いは避けるべき局面です。
・30未満:極めて強い下落トレンド
世界金融危機の際には、RSIが30を割り込むような非常に弱い相場となりました。
RSI「50」が判断の基準
しかし、私はここまで細かい判断はしません。「RSI(相対力指数)」の設定は、デフォルトの14期間のまま使います。そして、RSIが50以上なら買い手が優勢、50未満なら売り手が優勢と考えます。つまり、
・50以上:上昇トレンド
・50未満:下落トレンド
と判断するのです。
私が見るのは、RSIが50以上か、50未満か、それだけです。50以上なら上昇トレンドと判断し、買いエントリーの候補になります。
ローソク足が6カ月移動平均線より上にあり、RSIが50以上である銘柄―。そんな強い上昇トレンドにあるものだけを買う。これが私の基本ルールです。
以下は、私が使用している株価ツール「トレーディングビュー」で6カ月移動平均線とRSIを表示したものです。[インジケーター]を選び、移動平均線は「Simple Moving Average」、RSIは「RSI」で検索します。

月足チャートで移動平均線の期間を「6」に設定し、ローソク足が6カ月移動平均線より上、RSIが50以上であれば、買い候補です。
実際にウエスタンデジタル(WDC)の月足チャートを見てみましょう。ローソク足は移動平均線より上にあり、RSIは50以上です。買い候補になります。
一方、ファイザー(PFE)の月足は6カ月移動平均線の下にあり、RSIが50未満です。これでは買い候補になりません。
買いでエントリーするのは、ローソク足が6カ月移動平均線を下から上に抜けたときです。
買いを検討してもいい「陽線」の条件とは
ここで、ローソク足について少し補足しておきましょう。ひと口に「ローソク足が6カ月移動平均線を上抜けた」と言っても、その形によって強さが異なります。今回の手法は、強い株を買うことが基本です。そのため、買いを検討する際は、できるだけ陽線で終値が移動平均線を上抜けていることを確認してください。
それぞれのローソク足の形と、終値の位置を見ておきましょう。

なかでも強いのは、①上下のヒゲがほとんどなく、実体が大きい陽線です。終値が移動平均線を上回っているこの形は、強い買いの勢いを示しています。
②下ヒゲが長い陽線も、強い形の一つです。途中で株価が下げても、その後に買いが入り、押し戻されたことを示しているからです。
③上下に多少ヒゲがある、ごく一般的な陽線でも問題ありません。
一方、④上下のヒゲが目立ち、実体が小さい陽線は、買いの勢いがそれほど強いとはいえません。買いエントリーをしても構いませんが、積極的に買いたい形ではありません。
一方、⑤長い上ヒゲがある陽線には注意が必要です。上昇したあとに売りが出て、株価が押し戻されたことを示しているためです。
基本的には、陰線でのエントリーは避けたほうがいいでしょう。ただし、⑥下ヒゲの長い陰線や、⑦下ヒゲのある同時線など、買い圧力が確認できる形は例外です。
判断は「月足が確定してから」
さらに、一つ注意点があります。月足は、月末にならないと確定しません。月の途中で移動平均線を上抜けても、月末には再び下回って終わることもあります。
そのため、私は月末の最終取引日の引け間際に、ローソク足が6カ月移動平均線の上で終わることを確認してからエントリーします。
具体的には、月末の大引けの5〜10分前に「6カ月移動平均線の上で引けそうか」を確認して注文を入れる方法です。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQの通常取引は、米国東部時間の午前9時30分から午後4時までです。
日本との時差は、米国が夏時間の期間は13時間、冬時間は14時間あります。そのため、大引けは日本時間で、夏時間なら翌朝5時、冬時間なら翌朝6時です。
米国では、夏時間が例年3月中旬から11上旬月まで適用されます。11月上旬から翌年3月中旬までは冬時間となるため、月足の大引けを確認できる時刻も1時間ずれます。
とはいえ、毎月早朝まで起きている必要はありません。月足が確定したあとで、その日の日本時間の日中や翌月の始値を見てエントリーするという方法でもよいでしょう。重要なのは、時刻そのものではなく、確定した月足を見てから判断することです。
