IR(独自企業分析)

【デジタルトランスフォーメーション、情報セキュリティ、サイバーセキュリティ、業務支援、ERP】デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社(3916)

みんかぶ編集室
公開)

 今回は、情報・通信の分野から【デジタルトランスフォーメーション】、【情報セキュリティ】、【サイバーセキュリティ】、【業務支援】、【ERP】の株テーマから、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社(3916)です。

Key Points

  • 幅広いIT分野における様々な事業領域と、独自性のある自社商品を提供することのできる「多面多様のIT企業」であることが同社の特徴。
  • 直近2023年6月期決算では13期連続の「増収増益」を達成。
  • 自己資本比率は1.2ポイントUPして73.5%へと推移、健全な財務基盤を示している。
  • 上場以来、連続で増配(普通配当)を継続中。2023年6月期の1株当たり配当金額は36円を実施、さらに2024年6月期は46円を見込む。     

目次

Identity

企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)

幅広いIT分野における様々な事業領域と、独自性のある自社商品を提供することのできる「多面多様のIT企業」であること

 同社が属するIT業界は、2018年に経済産業省が「DXレポート」を発表して以来、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の必要性が大きく謳われ、また最近ではAIの進化版である生成AIが出現するなど、益々変化が激しくなっています。この変化の激しい業界において、変化に対応し、時代を先読みする技術で成長してきた企業がデジタル・インフォメーション・テクノロジーです。

 同社は1982年の創業以来、独立系システムインテグレーターとして、システム開発・検証、運用保守などを行う企業です。現在13期連続で「増収増益」を達成中であり、今後さらなる成長が期待されています。

 優位性のポイントは、分野ごとに独立して収益を確保する「社内カンパニー制」にあり、スピード感のある意思決定で、市場の変化に素早く対応しています。また、独立系ならではの、独自の発想で自社商品を製造販売するなど、新規領域にも積極的にチャレンジしています。

 このように同社の特徴は、幅広いIT分野における様々な事業領域と、独自性のある自社商品を提供することのできる「多面多様のIT企業」であることです。

Performance:全体業績

経営環境と同社の動向

 同社の属する情報サービス産業は、堅調なソフトウェア投資が続いており、2023年7月3日に公表された日銀短観(6月調査)による2023年度シフトウェア投資計画(全産業・全規模合計)は、2022年度と比較して14.6%増と引き続き拡大傾向を示しています。

 同社にとっても、DXの実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、RPA(Robotic Process Automation:ソフトウエアロボットによる業務の自動化・効率化)等の進展により、ビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大に繋がりました。また、コロナ禍からの「サイバーセキュリティの対策強化」及び「働き方の効率化」のニーズは引き続き高まっており、これらに対して有効なソリューションを有する同社の追い風となっています。

2023年6月期決算の概要

P/L
直近2023年6月期は13期連続で「増収総益」を達成。

 こうした中、同社の2023年6月期通期決算は13期連続の「増収増益」でした。売上高は12.3%増、営業利益は1.8%増、経常利益は2.8%増、親会社株主に帰属する当期純利益は0.6%増でした。

 また、10年間のCAGR(年平均成長率)は、売上9.5%、営業利益22.4%と着実に成長しており、今後も堅調に推移する見込みです。

B/S
総資産および純資産ともに増加。結果、自己資本比率は1.2ポイントUPし73.5%へと推移。

 総資産は、6.4%UPの81億7千6百万円、純資産は、8.2%UPの60億6百万円となりました。自己資本比率は1.2ポイントUPして73.5%へと推移、引き続き高い数値で健全な財務基盤を示しています。なお、ROEは25.1%と高水準を維持しています。

C/F
フリーキャッシュフローは9億4千3百万円から13億6千万円へと推移。

フリーキャッシュフローは前期の9億4千3百万円から13億6千万円へと推移しています。

株主還元

2023年6月期の配当は36円を実施。さらに次期は10円増配して46円を想定。

 株主還元については、一株当たり配当金額36円を実施しています。記念配当を除いた(普通配当の)配当性向は34.2%から37.9%に向上しており、2024年6月期の見込みでは、普通配当46円、前期までの配当性向35%以上の目標を40%以上に変更しています。

2024年6月期の見通しは、14期連続の「増収増益」を見込む! 

  • 売上高  :19,500百万円(前期比7.4%)
  • 営業利益 :2,500百万円(前期比22.6%)
  • 経常利益 :2,500百万円(前期比21.4%)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:1,734百万円(前期比19.8%)

 今後については、同社が属する情報サービス産業では、AI、IoT、RPA等新分野の進展により、DXの動きが加速度的に広がり、今後もこの傾向は続くものと見込まれています。特に、進展が著しい生成AIをビジネスに活用した動きが広がるものと考えられ、デジタル化の重要性はより高まり、引き続き底堅いIT投資が期待されます。一方、国外では、ロシアによるウクライナ侵攻や世界的なインフレーションの影響は長期化し、先行き不透明な状態は一層深まるものと想定されています。

 同社ではこのような環境の下、中期経営計画(2021年度~2023年度)の最終年度として、これまでの成長を支えてきた「事業基盤の安定化」と「成長要素の強化」の2軸の事業推進を継承しつつ、新中期経営計画(2024年度~2026年度)に備え、新たな目標と戦略をもって更なる成長を目指しています。

 同社グループは、売上高で96.2%を占める「ソフトウェア開発事業」および3.8%を占める「システム販売事業」で構成されています。

「ソフトウェア開発事業」

 2023年6月期における「ソフトウェア開発事業」の売上高内訳は、「ビジネスソリューション」「エンベデッドソリューション」「自社商品」の3つで構成されています。

 「ビジネスソリューション」は、業務システム開発と運用サポートから構成される事業で、旺盛な需要を背景に売上高で100億円を超える水準となっています。

 「エンベデッドソリューション」は、組込み開発と組込みシステム検証で構成される事業で、コネクテッドカーや自動運転への研究開発投資の拡大による車載・半導体関連の社会ニーズに対応することで、20%以上の「増収増益」となりました。

 「自社商品事業」は、将来に向けた成長分野と位置付けられ、サイバーセキュリティ商品や、業務効率化商品を主力製品として提供しています。

 このように、「所有」から「利用」というストックビジネスの比重をより高める事業戦略により、サブスクリプションモデルのライセンス売上が順調に積み上がり利益は大幅に増加しています。

「システム販売事業」

 「システム販売事業」は3.8%の売上高構成比率ですが、2023年10月に導入されたインボイス制度へのニーズ拡大に加えて、IT導入補助金を効果的に活用して、大幅に「増収増益」を達成しています。

ESG Elements:環境・社会・ガバナンス

 同社は経営理念として「社員の生活を守り、且つ社会に貢献する」を掲げ、事業活動を通じて持続可能な社会の実現への貢献に努めています。

 特に、「従業員の福利厚生の充実」、「女性の役職登用などによる多様性の推進」、「ガバナンスを重視した適切な事業経営」を推進しています。

 また、自社の「セキュリティ」「働き方改革」関連商品の導入を通じて、快適で安全なインターネット社会の確立や社会の生産性向上に貢献しています。

 ガバナンス体制では、同社の社外取締役比率は9名中4名と44.4%。また、女性取締役比率は9名中1名で11.1%となっています。

Plan 中期経営計画

 同社は長期ビジョンとして「DIT2030ビジョン~信頼され、選ばれるDITブランドの確立~」を掲げています。その長期ビジョンを実現するために、3年ごとの中期経営計画を3回まわすことを計画しており、現在、第1次中計の最終年度を迎えています。

 同社の成長モデルは、既存事業による「事業基盤の拡大・安定化」と新規事業及び自社商品による「成長要素の拡大」の2軸の事業推進です。

 チャレンジ500と称する経営目標では、2030年6月期の売上高500億円に挑戦する計画です。具体的には、自社の経営資源のみで成長を成し遂げる「オーガニックグロース」で、売上高300億円、営業利益40億円、これにプラスして、新規事業の立ち上げやM&A等を加えることで、売上高500億円、営業利益50億円を目指しています。

Out Look まとめ

 同社の優位性は、様々な分野にも対応できる幅広い事業領域と、新しい発想をソフトウェア製品として実現する技術力を持った「変化対応力のあるIT企業」であることです。

 同社は、携帯電話システム開発からいち早く変化に対応し、そこから、自動運転、コネクテッドカーの車載系システム開発にシフトして、業績を大幅に伸ばしてきました。

 変化への対応と、時代の先を読んだ自社商品の開発で成長を遂げてきた企業と言えます。

 このように現状維持を良しとせず、常にチャレンジを心掛け、時代の変化をチャンスと捉える同社の「変化対応力」は「」です。

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