IR(独自企業分析)

2024年1月期3Q 「増収増益」ネオジャパン<3921>

みんかぶ編集室
公開)

 「グループウェア」「クラウドコンピューティング」「ソフト・システム開発」「DX」などの「株テーマ」関連から株式会社ネオジャパン(3921)をご紹介。今回は、2024年1月期3Q決算における状況についてレポートしていきます。

Key Points

  • 高い技術力が可能とするソフトウェアの「自社開発力」と常に新しい技術やサービスを開発する「企業姿勢」が強み。
  • 2024年1月期3Qは「増収増益」で好調に進捗中。また、2024年1月期は広告宣伝費の増加に伴い「増収減益」を想定だが、期初予想から上方修正を発表。
  • 主力製品「desknet’sNEO」の累計販売実績が500万ユーザーを突破!

目次

Identity

企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)

 創業から30年にわたって成長を継続している同社は、グループウェアやビジネスチャットなどを事業の柱に、上場来増配を続けるプライム上場企業です。

 ソフトウエアの「自社開発力」と常に新しい技術やサービスを開発する「企業姿勢」が特徴で、その優位性は、主力製品「desknet’sNEO」や「AppSuite」における堅調な販売実績に示されています。「desknet’sNEO」はなんと、500万ユーザー以上への販売実績、全国18/47都道府県庁への導入を誇ります。

 また、組織内コミュニケーションの基盤となる同社の主力製品「desknet’sNEO」、および「ChatLuck」と「ChatGPT」との連携を、2023年9月28日より提供開始しており、同社ビジネスの成長可能性への期待が高まっています。

Performance:全体業績

2024年1月期3Q直近決算の概要

P/L
2024年1月期3Qは「増収増益」と想定以上の好調に進捗中!

 2024年1月期3Qは「増収増益」で2Q時点での想定以上の好調な決算状況となりました。売上高は、前年同期比11.1%UPの49億5千6百万円でした。

利益面では、営業利益は前年同期比12.7%UPで10億8千3百万円。経常利益は前年同期比9.3%UPで11億5千万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は16.8%UPの8億2千6百万円となりました。

 今期は、当社製品・サービスの認知度向上を目的としたTVCMを放映するなど、3Qまでに広告宣伝費を1.8億円増加していますが、増益を確保しています。なお、下期に計画しているTVCMは、4Q期間に実施し約2億円を消化する予定です。

B/S
総資産および純資産ともに増加。結果、自己資本比率は2.2ポイントUPし73.4%へと推移。

 B/Sでは、総資産が3億6千8百万円増加し、83億9千3百万円となりました。純資産は4億4千3百万円増加し、61億7千万円となりました。自己資本比率は2.2ポイントUPして73.4%へと推移、引き続き高い財務の健全性を確保しています。

2024年1月期は「増収減益」だが、期初想定からの上方修正を発表(※2024年1月期3Q時点)

  • 売上高  :6,359百万円(前期比5.9%) ⇨6,570百万円(前期比9.4%)
  • 営業利益 :937百万円(前期比△24.4%) ⇨1,128百万円(前期比△9.1%)
  • 営業利益率:14.7%                              ⇨17.2%
  • 経常利益 :951百万円(前期比△28.8%)    ⇨1,201百万円(前期比△10.0%)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:
    • 629百万円(前期比△22.6%) ⇨832百万円(前期比2.4%)

※広告宣伝費を前期比330百万円増加するため、大幅な減益を見込んでいましたが、微減に留まる見込みです。

Performance:セグメント別状況

 ネオジャパンの事業は、「ソフトウエア事業」「システム開発サービス業」「海外事業」の3つで構成されています。

 2024年1月期3Q累計における「事業セグメント別」の売上高の状況はいずれも堅調で、「ソフトウエア事業」が前年同期比9.7%UP、「システム開発サービス」は14.2%UPでした。また「海外事業」は、主に米国子会社において、開発を進めていたサービスの権利を当社に譲渡したことにより、1,058.0%UPとなっています。

 売上高69.6%を占めるソフトウエア事業では、主力製品「desknet’sNEO」をはじめとした自社製品のクラウド提供、パッケージ製品としてのライセンス販売、および関連する役務作業を提供しています。

 特に、販促を加速させているノーコード業務アプリ制作ツール「AppSuite」が高い伸び率を示しており、プロダクト累計販売実績におけるユーザー数は、対前年同期比80.8%UPして30.2万人。クラウドユーザー数では34.1%UPして5.5万人と堅調に推移しています。なお、「desknet’sNEO」の解約率は、他社のクラウド製品解約率と比較して極めて低い水準で推移しています。理由としては、グループウェアという製品の性格上、利用を開始すると業務推進に欠かせないものとなることや、安価に多くの機能が利用できることが要因として考えられます。

 また、システム開発サービス事業は、主に取引先に常駐して、システムの企画開発から保守・運用まで一貫して請け負う業務を子会社で手掛けています。

 海外事業については、中長期的な成長を見据え、グローバルネットワークの構築を進めており、米国、マレーシア、タイ3拠点に展開する海外子会社の事業で構成されています。

経営環境と同社の動向

 2024年1月期3Qにおける国内経済は、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられました。また先行きについては、ウィズコロナの下で、政府による各種政策の効果により、回復が継続していくことが期待されますが、世界的な金融引き締め、物価上昇、不安定な為替変動、中東地域をめぐる情勢等の影響には注意が必要であり、先行きが不透明な状況が継続しています。同社グループが属するIT業界は、ソフトウエア投資が増加しており、企業収益の改善等を背景に、今後もITへの投資は堅調に推移することが期待されます。

 このような状況の中、2023年3月に、利用ユーザーの声を受け15機能・50項目以上の機能改善を行ったdesknet’s NEOバージョン7.5を、2023年9月にはOpenAI社が提供する「ChatGPT」との連携により、生成AIを安全かつ安心して社内に展開できるdesknet’s NEOバージョン8.0及びビジネスチャットChatLuckバージョン6.0をリリースしました。

 また、日経コンピュータ顧客満足度調査 2023-2024 グループウエア/ビジネスチャット部門において、同社が三年振りに1位を獲得。全5評価項目中、「信頼性」、「運用性」、「コスト」の3項目で高いスコアを獲得しています。

 この他、横浜市が募集した民間企業のデジタル技術を活用して行政サービスのDX化を進めるプロジェクト「YOKOHAMA Hack!」の第一回実証実験事業者に選定されたことを受け、ノーコードアプリ作成ツールAppSuiteおよびグループウェアdesknet’s NEOを活用した「要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の取組強化」の実証実験を実施し、「避難確保計画」をシステム化することで、関係者全体の工数を41%削減することに成功しました。この成果を受け2023年10月に横浜市に要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の作成支援システムの提供を開始しています。今後は、同様の機能を横浜市のみならず他の自治体にも横展開していくことを計画しています。

Q&A:機関投資家からの質疑応答

 2024年1月期2Q決算後に、機関投資家から寄せられた質問をご紹介します。

 最も多かった質問は、「製品・サービス」に関してで、「値上げは行わないのか?」「ここ数年の「AppSuite」売上伸長の背景、特に製品として変化があるのか?」でした。これに対して、「値上げは市場環境を鑑みて慎重に判断したい」、「販売当初に比べ機能が向上し、より使い易くなっている。導入事例の蓄積が進み、利用イメージがつきやすくなった」と回答しています。

 また、「オンプレミス市場の見通し」についての質問に対しては、「市場は緩やかな減少もしくは横ばいの見通しであるが、引き続き一定の根強い需要がある。特に他社の撤退が相次ぐことで、シェア拡大により売上を伸ばせると考えており、実際にプロダクト売上は拡大している」としています。

 この他「TVCMのその後の効果を教えて欲しい」については、「問い合わせは増えている。認知度向上に繋がっており、販売パートナーからも好意的な反応」と回答しています。

Topics 理念をベースとした成長戦略とトピックス

 同社は、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念として掲げており、一部の先進企業だけでなく、すべての企業にすぐれたITのメリットを提供することを目指しています。 

 また同時に、「継続した成長を目指した製品開発」、「クラウドサービスの拡大と全国展開による国内販売」、「ノーコード開発ツール「AppSuite」を中心としたクロスセル」、「グローバル市場への新たな取り組みとしての海外販売」という4つの成長戦略を積極展開することで、将来に向けた企業成長を確かなものにしていく考えです。

 オジャパンの3Q決算は、広告宣伝費増を打ち返し「増収増益」と好調な業績を上げ、2024年1月通期見通しを上方修正しました。さらに、経営課題である知名度向上や海外展開についても前向きな動きが見られるようになっています。こうした同社の果敢にビジネス展開する攻めの姿勢は間違いなく「◎」です。

ネオジャパン(3921)

グループウエアソフト「desknet’s NEO」の開発・販売。企業、官公庁、幅広い顧客。

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