IR(独自企業分析)

「専門商社、太陽電池、太陽光発電システムテーマ」高島(8007)

 今回は【専門商社】【太陽電池・太陽光発電システム】【建設資材】などの株テーマに関連する、高島株式会社(8007)を取り上げます。

Key Points

  • 「省エネ化」「省力化」ソリューションを戦略的に提供することで、サステナブル経営時代の先進商社として専門性を高め、ユニークなお役立ち機能を発揮する独創性が強み。
  • 2024年3月期2Qは「増収増益」。また利益面ではすべての項目で二桁増益を達成。
  • 株主還元については中間配当20円を実施。加えて株式分割を実施しており、分割換算後の期末配当は40円(普通配当25円、特別配当15円)を想定。2024年3月期は、中間配当20円と合わせて年間配当金額60円を見込む。

目次

Identity

企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)

 同社は1915年に重布(産業用繊維)の商社として創業し、100年を超える老舗企業です。

 現在は 「サステナの先進商社」として、省エネ化、省力化ソリューションを戦略領域に提供することで専門性を高め、同社ならではのユニークなお役立ち機能を発揮する事業を、グループ会社19社とともに展開しています。

Performance:全体業績

 経営環境については、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクが懸念されます。

P/L
2024年3月期2Qは「増収増益」。また利益面ではすべての項目で二桁増益を達成!

 こうした中、2024年3月期2Qにおける同社グループのP/L状況は「増収増益」でした。売上高は420億1千万円で前年同四半期8.2%UPでした。また利益面では、営業利益は70.6%UP、経常利益は68.6%UP、親会社株主に帰属する四半期純利益は41.5%UPといずれも二桁を超える好調な結果となりました。

B/S
総資産および純資産はともにUP。しかし、自己資本比率はDOWNして34.6%へと推移。

 B/Sです。総資産は、前期末比12.4%UPの596億2千8百万円、純資産は、5.6%UPの206億3千3百万円となりました。なお、自己資本比率は2.2ポイントDOWNして34.6%へと推移しています。

C/F

 フリーキャッシュフローは、前期末の▲7億4千8百万円から▲42億9千1百万円へとマイナスで推移。また現金及び現金同等物四半期末残高(期末残高)は、前期末の77億7千2百万円から56億8千8百万円へとマイナス推移しています。

株主還元

 株主還元については、2Qにおいて中間配当20円を実施。また、2023年10月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割を実施しており、分割換算後の期末配当は40円(普通配当25円、特別配当15円)を想定。2024年3月期は、中間配当20円と合わせて年間配当金額60円、配当性向22%を見込んでいます。

 2024年3月期は一層の「増収増益」を見込む(※2024年3月期2Q時点で業績予想を上方修正)

  <2023年3月期(実績)> <2024年3月期(予想)>
売上高 79,683百万円
(前期比7.6%)
⇨ 94,000百万円
(前期比18.0%)
営業利益 1,764百万円
(前期比14.0%)
⇨ 2,300百万円
(前期比30.3%)
営業利益率 2.2% ⇨ 2.4%
経常利益 1,939百万円
(前期比5.4%)
⇨ 2,400百万円
(前期比23.7%)
親会社株主に帰属する当期純利益 1,585百万円
(前期比22.3%)
⇨ 4,800百万円
(前期比202%)

Performance:セグメント別状況

 同社の事業は、「建材」、「産業資材」、「電子・デバイス」、「賃貸不動産」の4セグメントです。

 2024年3月期2Qの各セグメントの状況を見てみましょう。

建材セグメント

 建設資材分野は、物流施設や工場案件等をターゲットに工事受注を伸ばし、売上高が増加しました。再生可能エネルギー分野は、産業用、住宅用ともにゼロカーボン社会に向けての需要が高まり、自家消費を目的とした機器導入拡大を背景に売上が伸長。断熱資材分野は、資材販売に加え、工事案件獲得が売上増加に寄与しました。住宅資材分野は、売上高は減少しましたが、利益面では業績貢献しています。結果、建材セグメント全体の売上高は、26,313百万円(同17.4%増)、セグメント利益は544百万円(同966.4%増)となりました。

産業資材セグメント

 樹脂関連資材分野は、自動車分野を中心に回復し、成型加工品の受注が拡大し売上高が増加。繊維関連資材分野は、アパレル関連が円安による小売販売価格上昇の影響を受け需要が低迷し減収でした。結果、産業資材セグメント全体の売上高は8,198百万円(同3.8%増)、セグメント利益は232百万円(同252.8%増)となりました。

電子・デバイスセグメント

 2024年3月期2Qは、電子機器関連市場が世界的に減速したことに加えて、市場全体に部品在庫が積み上がった影響を大きく受け、減収減益でした。結果、電子・デバイスセグメント全体の売上高は7,401百万円(同12.0%減)、セグメント利益は184百万円(同56.3%減)となりました。

賃貸不動産セグメント

 前期から保有不動産に変動はなく、売上高、セグメント利益ともに横ばいでした。結果、賃貸不動産セグメント全体の売上高は96百万円(同0.9%減)、セグメント利益は56百万円(同0.3%減)となりました。

ESG Elements:環境・社会・ガバナンス

 高島グループでは、ESGを意識したサステナブル経営を推進しており、特に2020年以降は、コロナ禍におけるEC・物流市場の拡大を受け、大型物流施設の「省エネ化」「省力化」に則した事業活動を推進しています。例えば住宅関連では、高性能化・高機能化を進めており、エネルギー消費量の削減につなげる目的で、EVを代用蓄電池としたり、V2H提供で住宅の防災対策につなげたりと、エネルギー活用の新しい形の提案を行っています。

 環境関連では、TCFD提言に賛同しており、CO2削減目標など、気候変動に関するリスク低減と機会創出に向けた開示項目の検討を進めています。

 社会関連データでは、特に、独自の人財育成に注力する上で「キャリア型人財」という類型を設定しています。経営力×専門力を持続的にアップさせ、中長期的ゴールをデザインすることで、社内外でキャリアアップを実現できる人財の育成を目指しており、持続的成長企業を目指すための教育的アプローチを体系化しています。

 ガバナンス体制では、社外役員比率は8名中4名と50%。女性役員比率は8名中1名で13%と経営におけるガバナンスの多様性数値は平均以上と思われます。

Plan:中期経営計画

 現在、3ヶ年の中期経営計画「サステナV(バリュー)」を推進しています。

 変化する市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時実現することを目指します。「省エネ化」「省力化」のニーズに対して、必要な機能・ソリューションを提供する機能商社として価値創造による持続的な成長を目指しています。

 事業ポートフォリオとして、縦軸に売上高成長率・ポテンシャルを置き、横軸に収益性・営業利益を置き、成長性と収益性の向上の両面を見据え、右上の基盤拡大注力事業と左上の将来投資事業を戦略領域と設定しています。

 M&Aを含む投資総額は150億円を設定しており、積極的に戦略領域に経営資源を投入していく考えです。

 戦略領域では、将来的に大きな成長が見込める「省エネ化ニーズ」とターゲット市場において成長が顕在化している「省力化ニーズ」に焦点をあてています。

 具体的には、太陽光パネル、蓄電システム、V2H・急速充電器などの「再生可能エネルギー関連事業の拡大」、断熱材、省エネデバイスのモジュール化やアセンブリなどの機能を発揮し「省エネルギー関連事業の拡大」、精密機器向け物流資材などの「環境対応」、耐火・断熱・耐震等の機能建材、省力工法などの「省力化貢献関連事業の拡大」などを推進する計画です。 

 中計の最終年度に向けて、成長の中核を担うドライバーへの投資は攻めの経営判断ですが、ROICなど投資効率指標の推移が要注目点です。

Out Look:まとめ

 現在同社は、プライム市場における「上場維持基準」の達成に向けて、中期経営計画を積極的に推進しています。高島グループの優位性は、「省エネ化」「省力化」ソリューションを戦略的に提供することで、サステナブル経営時代の先進商社として専門性を高め、ユニークなお役立ち機能を発揮する独創性です。

 創業以来、変わらずに独自の優位性を追求し続ける同社の不変の企業姿勢は「◎」です。

 その他注目の「専門商社、太陽電池、太陽光発電システム」テーマ株

神栄(3004)
繊維老舗。衣料、食品輸入が柱。湿度センサーで世界トップ。PPフィルムコンデンサも。

グローセル(9995)
半導体・電子部品商社。ルネサス製品特約店。自動車関連が主。ひずみセンサー開発。

ジオリーブグループ(3157)
住宅資材卸大手。建材・合板が主力。建築・リフォーム事業や流通ITサービスも。

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