iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金) を徹底解説!気になる節税効果から加入資格までわかりやすく紹介

2019年に金融庁から発表された「老後2000万円問題」を皮切りに資産形成の重要性が年々増してきています。
そんな中、投資初心者でもできる資産形成の方法はないか、いろいろ調べているうちに「つみたてNISA」「iDeCo(イデコ)」という制度にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、個人で年金資金を作ることができる「iDeCo」という制度について分かりやすく説明していきます。
つみたてNISAとの比較もしているので、併せてチェックしてみてください。
【注目!iDeCoを始めるメリット】
- 節税効果があり「住民税」「所得税」が安くなる
- 運用益が全て非課税になる
- 月5,000円から始められる
- 自分のそのときの状況にあった受け取り方ができる
目次
iDeCoとは?制度概要を解説
iDeCoとはどんな制度で、どんな目的のために作られたのか簡単に紹介していきます。
iDeCo(イデコ)とは、2002年に始まった個人型確定拠出年金という制度のこと。当初は個人型401Kとも呼ばれていましたが、2016年9月に愛称がiDeCoに決まると、それ以降はこの愛称で呼ぶのが一般的になりました。
この制度の一番の目的は「老後に備えた資産形成」です。
簡単に言うとiDeCoは「個人で用意するタイプの年金制度」のこと。「年金」と聞くと国にお金を納めて老後に少しずつ支払ったお金を受け取れるというイメージを持ちますよね。
しかしiDeCoは、自分で掛け金を決めて金融商品を運用し、その元本と運用益を60歳以降に受け取るという仕組みになっています。そのため掛け金や運用期間をある程度自分でコントロールできるという特徴があります。
また、2017年1月からiDeCoの加入対象が拡大しました。
この制度変更で「サラリーマン(公務員含む)」や「専業主婦」など、20歳以上60歳未満のほとんどの人が加入することができるようになり、2020年12月時点で加入者数は「約181万人」にも及んでいます。
2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 |
---|---|---|
約121万人 | 約156万人 | 約194万人 |
2021年4月 | 2021年5月 | 2021年6月 |
約198万人 | 約201万人 | 約206万人 |
こうみてみると1カ月あたり約4万人ほど加入者が増えていることがわかりますね。
2021年の税制改正によって、会社員や公務員のiDeCoの掛け金の限度額が「1.2万円」から「2万円」まで引き上げられる予定になっており、年々利用しやすい制度になってきています。
iDeCoの加入資格【サラリーマン・主婦・無職でも入れるの?】
ここからは、具体的な職業別の加入条件および掛け金の上限額(拠出限度額)を紹介していきます。一覧表を参考に自分がどの対象なのか確認してみてください。
加入区分 | 加入対象となる方 | 加入できない方 |
---|---|---|
国民年金の第1号被保険者 | 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など | 農業者年金の被保険者 国民年金の保険料納付を免除(一部免除を含む)されている方(ただし、障害基礎年金を受給されている方等は加入できます) |
国民年金の第2号被保険者 | 60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマン、公務員)の方 | お勤めの企業で、企業型確定拠出年金に加入している方(ただし、企業型確定拠出年金規約で個人方同時加入を認めている場合は加入できます) |
国民年金の第3号被保険者 | 20歳以上60歳未満の厚生年金に加入している方の被扶養配偶者の方 | − |

こうして見てみると、ほとんどの人がiDeCoの加入資格を持っていることが分かりますね。
iDeCoがおすすめな人はどんな人?
次にiDeCoはどんな人に特にお勧めなのか紹介していきます。
iDeCoに加入したほうが特にいいという人は、以下のような雇用体系・考えに当てはまる人です。
【雇用体系(被保険者種別)】
- 公務員
- 会社員
- フリーランス、個人事業主
【こんな考え・悩みがある人】
- 国民年金だけでは老後に生活していけるか不安
- 退職後により豊かな生活を送りたい
- 安定した資産運用をしたい
- 長期運用を考えている
まず「雇用体系」について説明すると、基本的にiDeCoは「節税をしつつ資産形成ができる」という点で唯一無二の制度です。
そしてこのメリットを生かせるのが、扶養に入っておらず、一定の所得税・住民税を払っている「公務員・会社員・フリーランス・個人事業主」というわけです。
特にフリーランス・個人事業主の人は厚生年金がないため、iDeCoを利用して節税しながら自分で老後資金を築いていくことが重要になってきます。
続いて「考え・悩み」についてですが、iDeCoは原則として60歳までお金を引き出すことができないので、この特徴を許容できない人には不便な制度といえるでしょう。
したがって「老後をより豊かにしたい」「安定した運用をしたい」「長期運用を考えている」と考えているような人、すなわち60歳まで継続して投資・運用したいという人は、iDeCoが特に向いているといえます。
詳しい恩恵については次節の「iDeCoのメリットは?」で詳しく紹介していきます。
iDeCoのメリットは?
それでは冒頭で紹介してきたiDeCoのメリットについて、さらに詳しく紹介していきます。
節税効果があり住民税・所得税が安くなる
1つ目のメリットは「節税効果」です。
iDeCoでは月々の掛け金を、自分が選んだ金融商品に投資していきますが、この掛け金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象とされています。
そして全部で15種類ある所得控除は、いずれも課税のベースとなる課税所得を減らし、それによって住民税・所得税を軽減する効果(節税効果)があるため、iDeCoに加入すると節税効果があるといえるのです。
例えば年間収入400万円の会社員がiDeCoに年20万円を拠出した場合、400万円から掛け金20万円を控除した残りの380万円だけが課税所得になります。
このように掛け金が所得控除の対象になると、これを基に課税される住民税・所得税を軽減させることができます。
それでは、実際にいくらくらいの節税効果があるのか、年収400万円の会社員(企業年金あり)が毎月上限まで掛け金を拠出した場合をサンプルとして計算してみましょう。
【節税できる所得税・住民税】
- 1年間:21,600円
- 30年間続けた場合:648,000円
本来払っているはずだったお金が「648,000円」も節税できるのはかなり大きなメリットですよね。塵も積もれば山となるというように、毎年の節税金額はそこまで大きくなくても長期にわたって考えれば大きな節税につながることがわかります。
運用益で得た利益は全て非課税になる
2つ目のメリットは、金融商品を運用していく上で生じた「運用益」が全て「非課税」になるという点です。
通常の株式取引や投資信託の運用では、利益を確定した場合には、「運用益に対して約20%」の税が課されます。つまり100万円の利益を出しても、実際に受け取れる金額は約80万円になってしまうということですね。
ところがiDeCoでは、株式や投資信託のように運用益に対する課税がないため、100万円の利益を出していれば100万円をそのまま貰えるということになります。
先程の例と同じ条件でiDeCoを利用した場合、運用益の節税額は以下の通りになります。なお運用利回りは「3%」で計算しています。

これはあくまで一例ですが、所得税・住民税の節税効果と合わせれば「100万円以上」の節税効果が得られることになりますね。
自分の状況にあった受け取り方を選べる
3つ目のメリットは、自分のそのときの状況にあった受け取り方を選べるという点です。iDeCoで運用してきた資金の受け取り方法には、「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類があります。
国民年金・厚生年金に上乗せして毎月一定の金額を受け取りたい場合は「年金」を、退職金と同じように退職時に一括で受け取りたい場合は「一時金」を選びましょう。
また一部は退職時に受け取って、残りを毎月の年金に上乗せして受け取る「年金と一時金の組み合わせ」た受け取り方法も可能になっています。
このように受け取り方が柔軟に選べるのは、iDeCoならではの特徴といえますね。
月5,000円という少額から始められる
最後に紹介するメリットは「少額から始められる」という点です。投資というとまとまったお金がないと始められない印象がありますが、iDeCoは月5,000円から始めることができるため、誰でも無理のない範囲で資産運用することができます。
iDeCoのデメリット
ここまでiDeCoのメリットについて紹介してきましたが、もちろんデメリットも存在します。どんな投資もデメリットはつきものですから「自分が許容できるデメリットなのか」という観点で読み進めていただければと思います。
積み立てたお金は原則60歳まで引き出せない
1つ目のデメリットは、積み立てたお金が原則60歳まで引き出せないという点です。iDeCoは老後の資産形成を目的とした年金制度ですので、原則60歳まで資金を引き出すことはできません。 そのため、結婚や育児等のための貯金とは切り離して考える必要があります。
ライフイベントをこれから控えている20代、30代前半の人は、自分の収入と支出のバランスを考えた上で利用するようにしてください。
掛け金の調節が年に一回しかできない
2つ目のデメリットは、掛け金の調節が年に1回しかできない点です。iDeCoの制度では、年に1回だけ掛け金の額の調節ができますが、一度変更してしまうと来年まで変更ができません。
そのため、突然の出費があっても家計を圧迫しない金額に設定しておく必要があります。
ただし思わぬアクシデント等で収入が大きく減り、iDeCoの拠出の最低金額である月額5,000円を積み立てることも難しくなってしまった場合には、掛け金の拠出を一時的に停止することが可能なので、いざというときのために覚えておきましょう。
運用商品によっては元本割れリスクがある
最後のデメリットは、「運用商品によっては元本割れリスクがある」という点です。
iDeCoで運用する金融商品は、大きく分けて「元本保証型(主に銀行預金)」と「元本非保証型(主に投資信託)」がありますが、運用先は全て自分で選択し、運用損が発生した場合は自己責任となります。
しかし、運用期間が長いほどリターンが大きく下に振れることは少なくなっていくと言われているので、現金を持ち続けてインフレ率で損をしていくことを考えれば、妥当なリスクといえるのではないでしょうか。
iDeCoとつみたてNISAを比較
最後に非課税制度としてよくiDeCoと比較されるつみたてNISAの特徴を、比較表を交えて簡単に紹介していきます。
それでは早速、iDeCoとつみたてNISAの主な違いについて見ていきましょう。
iDeCo | つみたてNISA | |
---|---|---|
投資金額 | 月5,000〜、1,000円単位で調節 | 月100円〜 |
非課税期間 | 加入時〜60歳まで | 投資を始めた年から20年間 |
引き出し可能な年齢 | 満60歳から | いつでも可能 |
投資対象 | 投資信託、保険、定期預金 | 投資信託、ETF |
節税効果 | ・掛け金の金額が所得控除 ・運用益も非課税 ・受取時も税制控除あり |
・購入した年から20年間の運用益が非課税 |
加入可能年齢 | 基本的に20歳以上、60歳未満 | 20歳以上 |
どんな人におすすめ? | ・老後資金を作りたい ・お金を60歳まで使わずに長期運用したい ・ついお金を使ってしまい貯金や投資をうまくできない |
・ライフイベントに備えたい ・比較的柔軟に運用したい ・20年後にまとまった資金を作りたい |
かかる手数料 | ・加入時手数料(初回のみ) ・管理手数料(毎月) ・還付手数料(掛け金受取時) ・(投資信託の場合)信託手数料 |
・信託手数料 |
この表からも分かる通り、比較的柔軟に資金作りをしたい人はつみたてNISAの方がよいかもしれません。
しかし、ある程度大きなライフイベントを終えて、給料も上がってきた30代以上の人は、老後資金を作りながら節税効果も見込めるiDeCoの方がメリットが大きい場合もあります。
特に収入が上がると、それに伴って支払う税金も増えてしまいますから、こうした税制面の対処法としてiDeCoを選ぶのも一つの手だと思います。
また、よくiDeCoのデメリットとして挙げられる「60歳まで引き出せない問題」ですが、少し利益が出た時点で売ってしまう、暴落で積み立てをやめてしまうといった長期投資のよくある失敗を避けられるという観点では逆にメリットともいえます。
「自由度があるとつい積み立てた資金を崩してしまいそう」といった悩みを抱えている人は、iDeCoで自動的に積み立てを始めてみてはいかがでしょうか。
結論:資金拘束のデメリットはあるものの節税効果や老後資金形成にはおすすめ
ここまでiDeCoについて概要からメリット・デメリットまで詳しく紹介してきました。結論としては、「資金拘束などのデメリット」を許容できるのであれば、節税効果もあって、なおかつ資産形成ができるので、老後資金の形成の手段としてはお勧めできます。
iDeCoを通じて投資に興味を持ち、自分でも資産運用などを始めることができれば、自分の資金を増やす手段が格段に広がることでしょう。
まずは難しい個別株などではなく、iDeCoのような非課税制度を利用してみてはいかがでようか。
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