会社のために「勤続35年」…真面目なサラリーマンが損をする「末期の日本 」

20年前と給料が変わらぬニッポン!
「サラリーマンは、気楽な稼業ときたもんだ~♪」。植木等さんの歌声が響いたのは、日本列島が高度経済成長に酔いしれた時代。名曲「ドント節」をユーモア溢れる表情で歌うコメディ俳優に人々は笑ってこたえる余裕がありました。しかし、「停滞の30年」といわれた平成が終わり、令和時代にある今日、この愉快な歌詞を楽しむだけの余裕は国民から失われつつあります。今や、定年まで真面目にコツコツ勤め上げたとしても、気楽とはいかない時代を迎えているのです。
我が国の民間平均給与は1950年から右肩上がりで推移し、1997年には467万3000円に上りました。しかし、その後は減少に転じ、2008年9月の「リーマン・ショック」を機に400万円強にまで急落。雇用環境の改善によって、2018年には440万7000円へと回復しましたが、2020年の平均給与は対前年比0.8%(3万3000円)減の433万1000円となっています。実に、20年以上前と比べ平均給与が上昇していない状況にあります。
国税庁の「民間給与実態統計調査」を見ると、2020年12月31日時点の給与所得者は5928万人で、1人当たりの平均給与は男性532万円(対前年比1.4%減)、女性は293万円(同1.0%減)です。平均年齢が46.8歳(平均勤続年数は12.4年)ということを考えれば、なかなか上向かない現状に「気楽な稼業」と感じないのは無理もないでしょう。