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東大王・後藤弘の中学受験戦略。「苦手な社会」の暗記を母が日常に溶け込ませたタイパ重視の防衛術

(c) AdobeStock

「すべての科目を平均的に底上げしなければ合格できない」――そんな受験のセオリーに囚われ、苦手科目の克服にばかり時間を費やして我が子の強みを潰してはいないだろうか。惜しまれつつ終了した大人気TV番組「東大王」の元レギュラーであり、現在株式会社bestieeを経営している後藤弘氏は「全科目のバランスを意識した一見正しい戦略こそが、子供を追い詰める罠になる」と語る。

 本稿では、苦手の穴埋めよりも「アイデンティティとなる得意科目」を突き抜けさせるべき戦略的理由から、暗記を日常に溶け込ませる学習法など、中学受験の枠を超えて子供を劇的に変える環境選びの真実を余すところなくお届けする。全4回の第4回。

 みんかぶプレミアム特集「中学受験 夏休みで伸びまくるコツ

目次

「全科目バランスよく底上げ」の落とし穴。社会が超苦手だった私の苦い経験

 中学受験が近づいてくると、多くの親御様は「とにかく足を引っ張っている苦手科目を克服させなければ」「全科目をバランスよく底上げして、平均的に高い点数を取れるようにしなければ」と焦ってしまいがちです。限られた受験勉強の時間の中で、苦手な部分をすべて完璧に埋めようとするのは、受験のセオリーのように思えるかもしれません。しかし、私はすべての科目を同じように平均高く仕上げる必要はないのではないか、と考えています。

 私は当時「社会」が圧倒的に苦手でした。暗記を中心とした学習にどうしても興味が持てなかったのです。結局、受験生活の最後まで社会を完全に克服することはできませんでした。当時、第一志望校の入試本番でも、やはり社会が極端に足を引っ張ってしまい、不合格という苦い結果を味わうことになりました。

 その後は第二志望であった開成中学校に入学しました。結果的に開成での日々は最高で、心から大好きになれたのですが、当時は本当に悔しかったです。なぜ第一志望に届かなかったのか。当時の自分を振り返って実感しているのは、限られた時間のリソースをどこに使うかという配分が極めて重要だということです。苦手科目を無理に完璧にしようと躍起になるあまり、子供の強みや勉強へのモチベーションまで奪ってしまっては本末転倒です。完璧を目指して全科目を平均的に伸ばそうとする一見正しい戦略が、実は子供を追い詰める罠になることもあるのです。

苦手の底上げよりも「アイデンティティ」を伸ばす方が、総合偏差値が上がる理由

 では、苦手科目に対する時間のリソース配分について、より具体的なノウハウを掘り下げていきましょう。社会が最後まで足を引っ張ってしまった私の実体験から言えるのは、苦手科目は「周りから極端に遅れを取らず、足を引っ張りすぎない程度」に最低限の守りを固めておくくらいが現実的だということです。

 限られた時間の中で子供の成績を大きく伸ばしたいのであれば、苦手科目の底上げに大半の時間を費やすよりも、むしろ「得意な科目を徹底的に伸ばすこと」に注力した方が良い結果に繋がりやすいと私は考えています。その最大の理由は、子供の中に「これだけは誰にも負けない」という強力な得意領域ができると、それが勉強に対する大きなアイデンティティになるからです。

「自分は算数なら誰にも負けない」「理科の生物の分野だったらクラスで一番だ」というような自信が1つあるだけで、子供の勉強に対するモチベーションは劇的に向上します。周りに優秀な子がたくさんいる塾の環境であっても、自分の心の拠り所となるアイデンティティがあれば、勉強を前向きに続けるエネルギーが湧いてきます。

 そして不思議なことに、その得意科目で得た自信と学習への前向きな姿勢は、結果として他の科目の学習にも非常に良い影響を及ぼし、全体の底上げへと繋がっていく好循環を生み出します。まずは突き抜けた強みを1つ作り、それをフックにして全体を牽引していくアプローチこそが、受験期に最も効果を発揮する戦略なのです。

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