銘柄コード「4桁の秘密」…なぜ9434を見た古参は涙したのか、なぜ01を見れば相場がわかるのか

 『会社四季報』とは、東洋経済新報社が発刊する企業情報誌。毎号2000ページを超えるボリュームの投資家のバイブルだが、ビギナーからは「読み方が難しい」「どこから読んだらいいか分からない」という声も。30年以上編集してきた山本隆行氏が、株式投資で得する『会社四季報』のココだけ見るべきというポイントをわかりやすく伝授する。(第1回/全4回)

※本記事は、山本隆行著『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい』(東洋経済新報社)より抜粋・再編集したものです。

第2回:持っているだけで資産10倍超! 夢の「大化け株」は売上高さえ見とけば発掘できる
第3回:10年前4560億円赤字「ソニー株」を買っていたら今いくらになったのか…大儲けした人の投資の鉄則
第4回:1年で株価20倍「北の達人コーポレーション」…平均年収の高騰を見抜いた投資家だけが大儲け

投資家なら知っておくべき、4桁の証券コードの秘密

 基本に戻り、会社四季報の読み方について解説していきたい。

 会社四季報の誌面には、小さい文字や数字が所狭しと並んでいる。ビギナーはまず「どこに」「何が」書いてあるのかを把握する基本から始めてほしい。数字の配置は昔からあまり変わっていないので、会社四季報歴の長い投資家は知りたいデータが誌面のどこにあるのか一瞬でわかる。

 ご覧のように会社四季報は大きく分けて7つのブロックと、欄外にある株価チャート、欄外の修正後矢印とニコちゃんマークで構成されている。

 まずはAブロック。ここは人間でいえば自己紹介欄にあたる。名前、生年月日、デビューした年や職業、あるいは特技などが書いてある。

 「株式会社〇×△」のように、社名の上に株式会社がつくいわゆる上株(うえかぶ)の場合は「㈱〇×△」と表記され、「〇×△株式会社」のように下株(したかぶ)の場合は単に「〇×△」となっている。社名の上にある4桁の数字は証券コードで、会社の背番号に相当する。一度上場したら上場廃止になるまで変わらない。

 2015年に旧ソフトバンクが商号変更して持ち株会社のソフトバンクグループとなり、ソフトバンクモバイルが商号継承して新ソフトバンクとなった。通信会社である新ソフトバンクが2018年に上場したときに与えられた証券コードは9434。この数字を見て昔を懐かしむベテラン投資家も多くいたという。

 実は9434番はかつてJR系の通信会社だった日本テレコムが使っていた証券コードなのだ。日本テレコムの子会社で携帯通信会社のJ‐フォンは「写メール」で一世を風靡した。その後、買収により2003年に社名をボーダフォンと変え、2005年7月に上場廃止となり、会社四季報からも2005年3集を最後に9434番は姿を消していた。

 その “末裔” に当たるソフトバンクが十数年ぶりに、欠番となっていた9434番をつけて上場してきた。この “血脈” を、かつて9434番を盛んに売買した古参投資家は懐かしがったのだ。

誰もがうなずく名門企業の証券コードには、01(ゼロイチ)がある

 証券コードはもともと業務内容に基づいて番号が定められていた。会社四季報に最初に登場する銘柄は水産品会社の極洋(1301)で、1300番台は水産・農林セクターに割り当てられている。1700~1900番は建設、2000番台は食品、4000番台化学、6000番台機械……といった具合に分かれる。

 近年は上場会社数が増加し、中でも、本来であれば9400番台となるべきIT(情報・通信)関連企業の新規上場が急増したため、該当するコードが不足するようになった。M&Aで業態が上場当時から変化している会社が多いこともあって、業種による明確な区分はなくなった。

 ただ、証券コードの下2桁が01の会社が01(ゼロイチ)銘柄と呼ばれることは覚えておくとよいだろう。01銘柄は証券コードが導入された際に、各業種で最初にコードが設定された名門企業だ。2801キッコーマン、3001片倉工業、4901富士フイルムホールディングス、5201AGC(旧旭硝子)、5401日本製鉄、6201豊田自動織機、6501日立製作所、7201日産自動車、8801三井不動産、9101日本郵船、9201日本航空などの名を聞けば誰もがうなずくはずだ。

 すべての01銘柄というわけではないが、株式市場が景気の波に乗って力強く上昇する相場や、大幅下落したあとの本格回復相場では、国際優良株を中心とした主力株が相場の先導役になりやすい。

 こうした局面では巨額の資金を動かす国内外の機関投資家が株を買っている。彼らの動かす資金は巨大なだけに、時価総額が大きく流動性の高い銘柄が買いの中心とならざるをえない。見方を変えれば、01銘柄のような主力銘柄が動いているときは上昇相場が長く続く可能性ありといえる。

山本隆行著『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい』(東洋経済新報社)
この記事の著者
山本隆行

『会社四季報』元編集長 1959年生まれ。早稲田大学法学部卒業。東洋経済新報社で『会社四季報』記者として多岐にわたる企業・業界を担当したほか『週刊東洋経済』では副編集長として主にマーケットや投資に関する企画を担当。2002年『オール投資』(現在休刊)編集長、証券部編集委員、名古屋支社長などを経て、2012年『会社四季報』編集長。2013年10月「会社四季報オンライン」立ち上げに伴い初代編集長に就任。2019年4月から編集局会社四季報センターのシニアスタッフとしてマーケットや企業分析における記者教育を担当している。

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