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50年間「ひたすらジリ貧」の大阪経済…本当に最後の起爆剤「万博」「カジノ」「ライフサイエンス」の大きな賭け

 大阪経済再生の切り札と期待される2025年大阪・関西万博。ここにきて、建設コストの上昇や跡地のIR利用などで賛否が上がっているが、実際の進捗状況はどうなのか。その後の経済再生への道筋は見えているのか。「みんかぶプレミアム:特集『大阪沈没~名古屋に完敗、福岡に抜かれる』」第3回では、大阪経済研究の第一人者が、両イベントの状況と、その後の大阪経済のポテンシャルについて解説する。

目次

「失われた50年」を経て、2023年、ようやく大阪経済に光明が

  大阪経済の全国に占めるシェアは1970年、つまり前回の万博開催の年をピークとしてじりじりと低下しています。もちろんこの間、ただ手をこまねいていたわけではなく、例えば2000年代初頭の、パナソニックやシャープなどが主体となった「パネル・ベイ構想」のような、大阪経済の復活に向けた動きもありました。ですがこの時は結局、韓国や台湾といったアジア勢との競争に敗れてしまい、それ以降は経済が伸びない、強みとなるリーディング産業が生まれないという状況が続き、大阪府のGRP(域内総生産)も、2010年代前半に愛知県に追い付かれ、東京に次ぐ第2位の都市と言えなくなりつつあります。

 ただ、そんな流れを変えたのが、インバウンドの急増です。2013年ごろから、大阪を訪れる外国人観光客が年々増加を続け、その影響が飲食や宿泊業だけでなく、大阪経済のあらゆる分野に及んでいきました。そうしたなか、4年前の2018年に2025年の万博開催が決まり、大阪の経済界は一気に盛り上がりました。このまま2025年に向け大阪経済は拡大が続く、誰もがそう思っていたところにコロナが直撃したわけです。 

 コロナ前、2019年の関西のインバウンドによる収入は1.3兆円で、全国の4.8兆円の3割弱を占めていました。関西の地域GDPシェアは15%前後ですから、いかにインバウンドの恩恵が大きかったかが分かります。だからこそ、反動が大きかった。コロナ渦のピークでは、あれほど賑わっていたミナミの繁華街にも人は全く歩いていませんでしたし、飲食関係者やホテル関係者の誰に聞いても「厳しい、厳しい」という言葉しか返ってこない、暗い2年間が続きました。

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この記事の著者
若林厚仁

日本総合研究所・調査部・関西経済研究センター長。1977年、滋賀県生まれ。2000年、京都大学理学部卒、02年京都大学大学院理学研究科(修士)卒。三井住友銀行入行後、民間シンクタンクの日本経済研究センターへの出向。三井住友銀行中国有限公司(上海)などを経て、19年7月から現職。大阪府・市「副首都ビジョン」意見交換会の座長を務める。

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